【GT300】

2013年4月29日

ポールポジションスタートのスバルBRZ GT300、決勝レースは得意のペースに持ち込んだ矢先に無念のリタイア

2013 AUTOBACS SUPER GT第2戦

FUJI GT 500km Race

4月29日(月) 決勝レース

富士スピードウェイ(静岡県駿東郡):全長4.563km

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 予選日に続いてゴールデンウィークにふさわしい青空が広がった中、SUPER GT第2戦の決勝レースが開催されました。シリーズ戦では2番目に長い500kmという長丁場で争われたレースでしたが、2戦連続のポールポジションからスタートしたNo.61 スバルBRZ GT300(山野哲也/佐々木孝太)は4周目で駆動系のトラブルに見舞われて無念のリタイアとなりました。 

■フリー走行

 午前8時30分、定刻どおりに30分間のフリー走行が始まりました。気温は15℃、路面温度は23℃。予選とは違う、燃料を満タンにした状態での走行や、決勝に向けた様々な状況をシミュレートするために、GT500マシンとGT300マシンが一斉にコースへ飛び出しました。

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 1分40秒991という好タイムをまず出してきたのはNo.7 日産GT-Rでした。これを皮切りに、No.0 ポルシェ911 GT3Rが1分39秒361、No.52 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3が1分39秒896と、FIA GT勢がタイムを上げていきます。途中、No.50 アストンマーチンV12 ヴァンテージGT3の左フロントタイヤがパンクを起こしましたが、マシンをコースサイドへ寄せて安全が確保されたため走行中断はありませんでした。

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 そして5ラップ目にNo.7 日産GT-Rが1分38秒779へタイムを伸ばしたとき、このクラスで唯一ミシュランタイヤを使用するNo.61 スバルBRZ GT300は佐々木考太のドライビングによりこの時点で3番手のタイムとなる1分39秒658をマーク。最終的には1分39秒322を記録してこのセッションの2位につけました。予選よりも1秒7ほど遅いラップタイムですが、セクター2(※注:Aコーナーから100Rにかけての区間)では相変わらず突出して速く、トップの車両を1秒4も上回る区間タイムを記録していました。

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 12時50分からはスタート前進行の前半8分間を使ってウォームアップ走行が行われました。出走全車にとってレース前に行える最後の確認走行となりますが、朝のフリー走行でセッティングを変更した場合やトラブルが起きていた車両にとってはとりわけ重要なセッションです。もっとも、No.61 スバルBRZ GT300はここまで順調に走行をこなしてきており、このウォームアップ走行でもGT300クラスのベストタイムとなる1分40秒592をマーク。間もなく始まる決勝レースに向けて期待はさらに高まりました。

■決勝レース

 GT300クラスのポールポジションにつけたNo.61 スバルBRZ GT300は、今回は佐々木孝太がスタートドライバーを担当。グリッドウォークを終え、午後2時ちょうどに500kmのレースが始まりました。

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 スタート前のフォーメーションラップでは、予選3位のNo.55 ホンダCR-Z GTがコカコーラコーナーを過ぎた下り坂でスピン。その後、隊列に復帰しましたが、コースを外れた際の衝撃で車体横のサイドスカートが外れ、レース序盤でピットインを強いられるという波乱がありました。

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 そして注目のスタートでは瞬発力に勝るハイブリッドマシンのNo.16 ホンダCR-Z GTが素早いダッシュを決め、第1コーナーでNo.61 スバルBRZ GT300をかわしてトップへ。さらに、予選4位のNo.52 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3もBRZ GT300に迫りましたが、佐々木はこれを阻止。Aコーナーまでの直線区間でミシュランタイヤのトラクション性能を活かして逃げ、得意のセクター2へ入るとNo.52 SLS AMG GT3に対して確実にリードを奪っていきました。

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 慌ただしいオープニングラップを終え、No.61 スバルBRZ GT300が得意のペースに持ち込んでいった矢先の4周目。そのメインストレートにブルーのBRZ GT300の姿はありませんでした。「3周目の13コーナーでマシンの異変を感じた」と言う佐々木は、その周回を終えるとそのままピットイン。メカニックたちがマシンを取り囲んだ後、残念ながらBRZ GT300はそのままピットの中へと仕舞い込まれたのでした。

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 序盤にしてポールポジションスタートのBRZ GT300がリタイアを喫したレースは、1周目でトップに立ったNo.16 ホンダCR-Z GTが2位を最大40秒近く引き離し、盤石のペースで優勝を決めるかに思われました。ところが、同車は94周目に傷んだフロントタイヤを交換するために予定外のピットイン。代わってNo.31 トヨタ・プリウスGTがトップに立ち、最後はNo.16 CR-Z GTに17秒403の差をつけてハイブリッドマシン対決を制しました。全日本GT選手権の時代から数えて今年で20年目を迎えたSUPER GTですが、これがハイブリッド車の初優勝となりました。

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「端的に言うと、今回のリタイア原因は駆動系の故障でした。この駆動系のコンポーネントを製作したパーツメーカーとしても、そして我々スバルテクニカインターナショナルとしてもその耐久性には自信を持っていたので、ここで壊れるという認識は持っていませんでした。可能性としては、今年は昨年に対してエンジントルクが上がっていることと、我々のターボエンジンでは自然吸気エンジンに比べてトルクの出方が急であることがあるかもしれません。これは次回までに対策を立てるつもりでいますし、その方法論もいくつかすでに思いついています。

 練習走行でドライ路面に対しても良い感触がつかめ、速さ的には問題ないところまでこれたと思います。あとは長い距離を走って、燃費や耐久性を見たかっただけに残念です。でも、良い方向には進んでいると思います。とにかく、信頼性向上が急務ですね」

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佐々木孝太 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「4周目の13コーナーに入ったところでマシンが揺れて、『おかしいな、何か踏んづけたかな?』と思ったのですが、プリウスコーナーでも同じ挙動が出たので、『これは駆動系だな』と感じました。

 結局、決勝で得られたものはほとんどなかったのですが、予選から今朝のフリー走行にかけてセッティングもほとんど変える必要がないほど決まり、BRZとミシュランタイヤのコンビネーションがかなり良くなってきていることが分かりました。これを決勝の結果につなげられるように、今後みんなで努力していくしかないですね」

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山野哲也 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「こういうこともあります、と言うしかありません。個人的には、もちろん走りたかった。でも、レースって誰もが一番を競っている場所なわけです。そこでは人間も機械も『ギリギリのところ』まで追い込まれている。だから、人間ならミスをすることもあり、機械なら壊れることもあるんです。そして、これを一番少なくできたチームがシリーズでチャンピオンを獲るわけです。

 もしこのトラブルが朝のフリー走行や8分間のウォームアップ走行で起こったのであれば、決勝レースの前に解決できたかもしれません。でも、もしかしたらチェッカーフラッグを受ける直前で起きたかもしれない。それは分からないことです。いずれにしても今回は、『誰もが経験するトラブル』を我々が経験したのだと思います。そして、これを乗り越えていかないと、チームは強くならないと思います」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:決勝レースについてはどんなことが言えますか?

「スタートこそトルクの大きなハイブリッド車にトップの座を明け渡しましたけど、ペース的には悪くなかった......という矢先の出来事でした。1コーナーをクリアした後のストレートでもメルセデスに抜かれなかったのはトラクション性能の良さもあったのかとは思いますし、得意であるセクター2、そしてセクター3ではメルセデスを十分抑えられたので、このペースで行ければ上位でのフィニッシュは十分狙えたのではないかと思いますが、残念ながら今回は確かなことは何も言えません」

Q:今回ミシュランはミディアムレンジのタイヤを2種類用意しました。チーム側はこれを「第1スティント(佐々木孝太)ではハード、第2スティント(山野哲也)でも同じくハード、そして最終スティント(佐々木)ではソフトを使いたかった」と言っていました。その作戦に関しては?

「それは『佐々木選手でソフトなコンパウンドを使い、最後にアタックをかける』というよりも『第3スティントでは気温や路面温度が低くなる可能性が高い』という意味だと思います。コンパウンドとしてはハードあるいはソフトという言い方もできますが、タイヤとしては高温域用(暖かいとき用)/低温域用(寒いとき用)と考えていただく方が適しています。そうした捉え方をすれば、そもそもの目的が『タイヤが常に安定した性能を発揮することにある』ということを理解していただけると思います。それは戦略というよりも、気温や路面温度が下がる状況を想定して準備しておくということです。コンディションが変われば、当然対応も変わるということですね」