【GT300】

2013年4月 8日

スバルBRZ GT300&ミシュランタイヤ、初陣は実り多き5位フィニッシュ

2013 AUTOBACS SUPER GT第1戦

OKAYAMA GT 300KM RACE

4月7日(日) 決勝レース

岡山国際サーキット(岡山県美作市):全長3.703km

入場者数:16,000人(主催者発表)

 ミシュランのGT300クラス復帰初戦となる2013年SUPER GTシリーズ開幕戦の決勝レースが開催されました。同クラスで唯一ミシュランタイヤを装着して今シーズンを戦うスバルBRZ R&DスポーツのNo.61 スバルBRZ GT300(山野哲也/佐々木孝太)は、300kmの決勝レースを5位でフィニッシュ。貴重なポイントとデータを手にしました。
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■フリー走行

 SUPER GTの決勝日には、決勝レース以外にSUPER GTの走行セッションがふたつあります。それが、朝に行われるフリー走行と、決勝レース直前のウォームアップ走行です。中でもフリー走行は、当日の天候に合わせたタイヤ選びや、チームによってはセッティングの最終確認を行うセッションとなります。

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 午前9時15分から30分間行われた今回のフリー走行はウェットコンディションのもとで行われました。No.61 スバルBRZ GT300もレインタイヤを装着して、まずは山野哲也がコースイン。ポールポジションを獲得した前日の予選の快走を再現する「恵みの雨」になるかが注目でした。

 しかし周回を重ねるごとに雨量は減り、セッションの途中からは完全なドライ路面となります。そこでスリックタイヤに交換して再びコースイン。途中、セッティング変更も行いながら周回を重ねましたが、1分33秒087というタイムで10位となりました。

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰巳英治氏のコメント:

「現状の我々のBRZ GT300は、レインタイヤでは非常にいい走りをするのですが、ドライタイヤを装着するとバランスが崩れてしまうんです。ウェットとドライの差が少し大きいわけです。同じミシュランタイヤを使うGT500の車両はどうなのかとミシュランのエンジニアにたずねたのですが、『そんなに差がない』とのことでした。つまり、我々のクルマがまだそのレベルまで到達していないということです。これが現状の課題ですね」

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山野哲也 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「セミウェットでのクルマの動きがすごくいい。動きだけでなく、速いタイムで周回できるのが確認できました。ミシュランの『ウェットからドライ』のレンジを狙ったタイヤが、ドライタイヤに近いタイムを出せるんです。これはレースをするうえで強み。対して、ドライタイヤを履いた状態はまだ良いとは言えない。タイヤのポテンシャルを引き出し切れてないんですね」

※注:山野のコメントにある「『ウェットからドライ』のレンジを狙ったタイヤ」ですが、レースをご存じの方はこれを「インターミディエイトタイヤ」(浅溝タイヤ)のことと思われるかもしれません。しかし、今シーズンのSUPER GTにおけるミシュランのウェットコンディション用タイヤには、GT500用、GT300用ともに、溝の深さは1種類しかありません。山野が言及したのは、タイヤが性能を発揮する作動温度領域がよりドライタイヤの領域に近い種類のレインタイヤのことになります。

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佐々木考太 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「フリー走行では、2種類あるレインタイヤの両方について、ラップタイムが何秒になったらタイヤを交換するべきなのかをそれぞれチェックしました。つまりタイヤの換えどきのチェックですね。このフリー走行で順位が10位だったことはあまり気にしていません。僕らはユーズドタイヤを履いていましたから。ドライコンディション用のセットアップは確かにまだまだ詰めなくてはいけないですが。でも、悪すぎるということでもないと思います」

■決勝レース

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 ウォームアップ走行を終え、各車スターティンググリッドへ。国歌斉唱が終わると、いよいよ300kmのレースがスタートします。

 ペースカーが2周かけて隊列を整え、まずはGT500勢がフル加速。そして、しばらく距離を置いて続いていたGT300勢もスタートを迎え、山野哲也がスタートドライバーを務めたNo.61 スバルBRZ GT300がポールポジションから鋭いダッシュを決めました。
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 しかし、1周目のバックストレートにさしかかったところで、No.61 スバルBRZ GT300をNo.3 日産GT-R NISMO GT3がパス。3番手グリッドからスタートしたNo.11 メルセデスベンツSLS AMG GT3も先行していきました。FIA GT3という車両規定に則っているこれらのマシンは、JAF GT300規定のBRZ GT300に対して排気量やストレートスピードで勝っており、5周を終えるころにはNo.61 スバルBRZ GT300は4位にまで後退していました。

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 その後方ではNo.55 ホンダCR-Z GTがスピン、話題のマクラーレンMP4-12C GT3がポルシェ911 GT3Rと接触するなどのアクシデントも起こりましたが、No.61 スバルBRZ GT300を駆る山野はなるべくペースを落とさずにコンスタントに走ることを心掛ける丁寧なドライビングを披露していました。

 そんなNo.61 スバルBRZ GT300の強みは、車重が軽く、燃費がFIA GT3勢に比べて良い点。それを生かしてピットストップで約20秒の差を取り戻せるか? それがひとつの注目ポイントでした。

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 トップを快走するのはNo.11 メルセデスベンツSLS AMG GT3。これをNo.3 日産GT-R NISMO GT3とNo.87 ランボルギーニ・ガヤルドGT3が追いかけます。そして37周目、No.4 BMW Z4 GT3が最初のピットインを行い、迅速なピットアウトでレースを動かしました。

 そのとき、No.61 スバルBRZ GT300もピットストップを行いました。ここで山野から佐々木孝太へバトンを渡します。ピット作業時間は明らかにFIA GT3勢よりも早く、ここからの巻き返しが期待されました。

 その後も他の車両が続々とピットに入り、順位が目まぐるしく変わっていきました。これが落ち着いたのは、トップを走るNo.11 メルセデスベンツSLS AMG GT3がピットストップを行ったころ。同車は2位との差をさらに5秒広げてコースに復帰し、その後もトップを快走しました。

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 そのころ、No.61 スバルBRZ GT300は6位につけていました。そしてレース終盤にはNo.52 メルセデスベンツSLS AMG GT3との攻防を繰り広げ、No.33 ポルシェ911 GT3Rの後退にも助けられて5位まで順位をアップ。そしてGT500クラスが81周の周回を終えたところでNo.11 メルセデスベンツSLS AMG GT3は77周を走り優勝。No.61 スバルBRZ GT300は5位のままゴールしました。同車にとっては、昨年の同車の最上位である4位に次ぐ結果となりました。

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山野哲也 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「公式テストのときと同じで、スティントの中盤から後半にかけてタイムが落ちてしまう。それを今回は改善できませんでした。そうなってしまうということが確実に分かったので、次までに対策をしてこないといけないですが、その原因についてはある程度のイメージを持つことができました。やっぱりBRZにはまだまだやるべきことがたくさんありますね。でも、ひとつ良かったのは、トップグループと同じ1分29秒台で走れると分かったことです。今はとにかく、スティントの中盤から後半にかけてのグリップダウンを防ぐことが最大の課題になりますね」

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佐々木考太 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「山野さんがピットインするタイミングが予定より早かったので、その分、長く走らなければならなくなりましたから、『タイヤを持たせなければ』と気を付けて走りました。レースではSLS(No.52)にずっとひっかかってしまったのでタイムは遅くなってしまいましたが、とにかく無事に完走させるために無理せず走ることにしました。タイヤに関しては、最初はバランスも悪くなかったのですが、残り23〜24周のところからグリップ感が減ってきて......。それが気温のせいなのか摩耗のせいなのかはまだ分からないのですが。しかし、その状況下でもしっかり走って、5位というリザルトを手に入れることができたのは悪くない。これは今後につながる結果だと思います」

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰巳英治氏のコメント:

「今回の結果に関しては、良かったと考えています。ドライバーも素晴らしい走りをしてくれました。だからこそ、ドライタイヤへの対応を我々がもっと頑張って、BRZを速くしていかなければいけないと感じました。具体的には、タイヤに対してもっと荷重をかけていけるようにしなければいけないと考えています。空力面ももちろん重要ですが、まずはサスペンションのセッティングを煮詰めます。次の富士までにひとつの回答を出していかなければいけないですね。頑張りますのでご期待下さい」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:今回のNo.61 スバルBRZ GT300のレースをどう評価していますか?

A:BRZに関しては、開幕前に充分なドライコンディションでのロングランテストを行えずに今回のレースを迎えることになりました。それでも最終的に5位を得たのは、選手権的に見ても次につながる、まずまずの評価ができる結果だと思います。また、今回実戦を走れたことは大きなプラス材料になりました。いくらテストで長く走っても、実戦データの正確性は再現できないからです。

Q:セッション中盤以降のグリップダウンについてはどのように捉えていますか?

A:今日は非常に気温が低いコンディションでした。我々の想定レンジではありますが、その中でも最も低い気温でした。この温度領域だと、タイヤと路面の間にタイヤかすが入りやすく、タイヤ自身が摩耗していなくてもグリップダウンの傾向が強くなります。よく「ピックアップ」と表現される状況です。

 岡山のコースは、平均速度が低く、高速コーナーが少ない。低荷重・低負荷に分類されるサーキットです。そして、今回のレースは寒い時期に開催されました。こうしたコース特性や開催時期の気象条件はツインリンクもてぎで行われるシリーズ最終戦が同じ傾向です。そして、そのような条件で我々は課題を持っていますが、大胆な言い方をすれば、ここで勝てなくても目標とするポイントを得られればシリーズ全体に影響は少ない。今回のレースを「評価できる結果」と言ったのはそうした理由からです。

 だからといって、我々が岡山を軽視しているわけはないんですよ。テストは岡山で一番行っているんですから。

「ミシュランは寒さに弱い」という言い方をされることもありますが、それは相対的なものであり、重要なことは我々はシリーズ全体を見て開発をすることです。開幕戦だけを勝つことよりも、すべてのレースで想定した結果を得ることの方が、チャンピオンを獲るためには大切なんです。