【GT300】

2013年6月16日

好調続くスバルBRZ GT300、予選3位から初優勝を狙う

2013 AUTOBACS SUPER GT第3戦

SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA

6月15日(土) 公式予選

セパン・インターナショナル・サーキット(マレーシア):全長5.543km



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 シリーズで唯一の海外開催ラウンドとなる第3戦の公式予選がマレーシアのセパン・サーキットで行われ、GT300クラスで唯一ミシュランタイヤを装着してシリーズを戦うスバルBRZ R&DスポーツのNo.61 スバルBRZ GT300(山野哲也/佐々木孝太)は予選3位を奪取。開幕戦から2戦連続で奪ってきたポールポジションの連続獲得記録を伸ばすことはできませんでしたが、戦いを有利に進めるには十分上位のスターティンググリッドを得て、明くる16日(日)の決勝レースは待望の初優勝を目指して戦うことになります。

■公式練習

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 日本で開催されるラウンドよりも遅い時間帯に各走行セッションを行うスケジュールが組まれるセパンラウンド。GT500&GT300混走による100分間+各クラス占有の10分間の公式練習は13時ちょうどから開始されました。

 その序盤で2分05秒460を記録してトップにつけたのはNo.48 日産GT-R NISMO GT3でした。これに、No.31 トヨタ・プリウス、No.3 日産GT-R NISMO GT3、No.88 ランボルギーニ・ガヤルドが続きます。一方、No.61 スバルBRZ GT300は佐々木孝太が乗り込んで数周を走ったものの、2分13秒956というタイムを刻んだきりピットインを繰り返していました。原因はクールスーツの水漏れというマイナートラブルでしたが、灼熱のセパンではこれをきちんと直すのも大切な作業でした。

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 セッション開始から30分が経過した頃、No.55 ホンダCR-Zが2分05秒215というタイムでトップに。これにNo.48 日産GT-R NISMO GT3、昨年王者のNo.0 ポルシェ911 GT3R、一昨年王者のNo.4 BMW Z4 GT3といったそうそうたるメンバーが続きました。

 公式練習が始まってから1時間が経過しても、ホンダCR-Z、日産GT-R NISMO GT3、ポルシェ911 GT3Rといった車両が上位を占める展開は変わらず。No.61 スバルBRZ GT300はこの時点では2分06秒347がベストタイムで11番手あたりにつけていました。しかし、過去の例から見ても、このあたりからBRZがタイムを出してくるのが定番。実際、今回もセッションの残り時間が50分を切ったあたりで、No.61 スバルBRZ GT300がトップに躍り出ました。しかも、佐々木が記録したタイムは2分05秒115と、それまでトップにつけていたNo.55 ホンダCR-Zのタイムを0.1秒上回るものでした。

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 さらに計測17周目、BRZのタイムはGT300では初の2分04秒527へと突入。そしてこのタイムはセッションが終わるまで破られることがなく、No.61 スバルBRZ GT300は堂々のトップタイムでセパンラウンドの公式練習を終えました。

■予選第1セッション(Q1)

 午後4時30分に始まったQ1セッション。各車は様子を見るようにゆっくりとコースイン。タイヤを暖めると、まずNo.16 ホンダCR-Zが2分04秒229でトップに躍り出ます。これにNo.48 日産GT-R NISMO GT3、そして山野哲也がドライブするNo.61 スバルBRZ GT300、No.3 日産GT-R NISMO GT3らが続き、公式練習で好タイムを出した上位メンバーが予想どおりの走りを見せました。

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 セッションが残り25分を切った頃、No.55 ホンダCR-Zが2分03秒674をマークしてトップを奪取。その後、No.10 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3、No.88 ランボルギーニ・ガヤルドなどFIA GT勢が熾烈な3位争いを展開しました。そしてセッション終盤になってもCR-Z勢の1-2体制は変わりませんでしたが、続く3位にはNo.87 ランボルギーニ・ガヤルドが2分4秒396で飛び込んできました。

 GT300クラスで24台のマシンが参加したノックアウト形式の予選は13位までがQ2に進出できることになっています。Q1でのタイムアタックは山野哲也が担当したNo.61 スバルBRZ GT300は2分05秒247というタイムで、最終的に9位のポジションを得て、無事Q2進出を果たしました。

■予選第2セッション(Q2)

 午後5時10分からスタートしたQ2は12分間のセッションとなります。ここで真っ先にコースへと飛び出していったのはNo.55 ホンダCR-Z。そこから間隔を置いて、No.33 ポルシェ911 GT3R、No.11 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3、No.48 日産GT-R NISMO GT3らが続きました。

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 このQ2では佐々木孝太がステアリングを握ったNo.61 スバルBRZ GT300は、集団とは距離を置いてアタック。3台のランボルギーニ・ガヤルドも後からコースインしてくるなど、それぞれが自分の間合いを守りながらの予選となりました。

 多くのFIA GT勢がウェービングを繰り返す中、No.16 ホンダCR-Zが早々と刻んだタイムは2分03秒975。これに続いたNo.33 ポルシェ911 GT3Rは2分05秒327で、この時点でFIA GT勢のトップとJAF-GT勢のトップとの差は1秒以上もありました。

 セッションも残り4分に差し掛かってもFIA GT勢のタイムが伸び悩む中、今度はNo.55 ホンダCR-Zが2分03秒025という驚くべきタイムでトップに立ちます。

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 その頃、No.61 スバルBRZ GT300は10位近辺を走行。対してFIA GT勢はNo.0 ポルシェ911 GT3Rが2分03秒901とついに2分4秒の壁を破って3位へ浮上します。

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 終盤、No.61 スバルBRZ GT300がアタックに入ります。しかしここで佐々木は痛恨のスピン。次の周を仕切り直しに使って2分06秒517をマークすると、正真正銘、最後のアタックに臨みました。テールを滑らせ、あわやコースアウトか!? というマキシマムアタックを敢行した佐々木。ここで記録したタイムは......2分03秒850! トップには0.825秒及びませんでしたが、見事に3位のポジションを獲得してQ2を終えたのでした。

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰巳英治氏のコメント:

「富士ではクルマのパフォーマンスが高まり、ドライバーも乗れてきたので、今回の予選は期待が高まりました。ただ、ハイブリッド勢が2分03秒フラットを出してきたときは、さすがに驚きました。それを無線で聞いた佐々木も、相当気持ちが入ったのだと思います。

 スピンに対しては、渾身のアタックをした結果ですから、悔いはまったくありません。そのあとにひと呼吸置いて、2分03秒台に入れてくれたことを評価したい。決勝に向けて良いポジションを取ることもできましたし、素晴らしい結果だと思います。

 一発の速さという面では、何も気にしていないんです。大切なのはレースを戦い切ること。ロングディスタンスでの経験がないので、そこが一番の焦点ですね。そういう意味で、ミシュランタイヤというのは非常に大きな武器です。決勝が楽しみですね」

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佐々木考太 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「ハイブリッド勢があまりにも速いですね。2分03秒台後半なら自分もなんとか行けると思っていたんですけど。

 マシン的には、仕様を変更したらアンダーステアが強くなってしまいました。GT500クラスが走った後だからなのか、路面状況も変わってしまった感じです。マシンがアンダーで、路面はスリッピーで、アンダー/オーバーが激しかった。スピンは、クルマ的にバランスが悪くなってしまったのにプッシュしてしまった結果ですね。ちょっとやり過ぎちゃったかな(苦笑)。スピンをした後は残り1周しかチャンスがなかったですが、やっぱり全開でプッシュしました。それをさせてくれるチームですし、これは本当にありがたいと思っています。

 決勝に向けては、トラクションがかかる方向のセットは見えたので、それを生かして走らせれば良いところが狙えると思っています」

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山野哲也 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「公式練習ではトラブルが続いて十分に走ることができなかったこともあるのですが、タイムが出せずに苦しみました。マシンが非常にオーバーステアで乗りにくかった。自分はスピンをしないタイプなのですが、それでも2回スピンしましたからね。そこで予選に臨む前に、足まわりとウイングでマシンのリアのスタビリティを上げました。それですぐに2分05秒台に入れることができたので、ホッとしています(笑)。また(佐々木)孝太のときには、さらにリアを落ち着ける方向としました。

 タイヤは今回、狙った温度レンジに対してソフトとハードの2種類を持ち込んでいます。午前中に孝太がタイムを出したときはハードを使ったんですが、例年よりも気温が下がっていることから、決勝もきっと下がると想定して予選はソフトを使ったんです。ふたりがソフトを使うことで、抽選でどちらになってもスタートでソフトを使うことができますから。明日のレーススタートは16時と遅いから、気温はもっと下がるはず。決勝を楽しみにしていて下さい」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:今回の予選結果をどのように捉えていますか?

「予選セッション中にはスピン以外にトラフィックもあって、結局アタックは1回しかできませんでした。その中で3位というのは結果が出せたのではないかと思っています。これまで2戦連続でポールポジションを獲ってきていましたので、みなさん期待されていたと思いますが(苦笑)、それを狙うというよりも、決勝レースを考えた上でいるべき位置につけることができたと考えています」

Q:挙動を乱すマシンが多かったのですが、路面は厳しかったですか?

「路面状況が厳しいというよりは、タイヤのグリップ自体が上がってこない状況でしたね。バランスは悪くないのですが、グリップが上がるきっかけをいまひとつつかめないという感じでした。ここ数年でセパンの路面が老朽化してきているというのも影響しているかもしれません。今日の感触では、タイヤが本来持っているグリップを十分に発揮したとは思っていません。でも、それもレースです」

Q:気候的には例年より涼しく、タイムもより出るかと思われたのですが?
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「そうですね。雨が降ってないですし。一般的に雨が降ると、路面状況がリセットされてしまうんです。そこで雨も降らなかったので、路面が出来上がってきているはずだと思ったのですが、そうでもなかったというのが結論です」

Q:そもそもセパンはタイヤ的に見るとどういうコースなのでしょうか?

「温度が高いので『タイヤには厳しいコース』と思われがちですが、コースレイアウト的にはそんなに負荷が掛かるコースではありません。つまりタイヤとしては厳しいコースではないのです。また、低・中・高速コーナーがまんべんなく存在するので、タイヤが"どちらかに偏る"ということもありません。

 また、路面が老朽化してきているので、スライドによる摩耗を誘発しやすい。それを気をつけないといけないですね。先ほどまでのお話で『グリップ』という言葉を何度も出しましたが、それを意識しているのもタイヤをスライドさせない(摩耗させない)ためなんです。我々としては、『熱対策で守りに入るコース』というより『タイヤのグリップを上げていくコース』だと捉えています。タイヤへの厳しさでは菅生や鈴鹿の方が上だと思いますね。セパンはダウンフォースが大きくかからないコースでもあるので、余計にタイヤ自体のグリップが必要になります」

Q:今回のタイヤ選択を教えて下さい。
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「温度レンジとしては、高温方向のタイヤをベースにしています。これくらいの温度レンジに耐えることができて、グリップと安定性、両方のバランスが取れたタイヤを『プライマリー』と呼んでいます。もうひとつは、プライマリーよりもう少し安定性を重視した方向に振ったタイヤです。そして、予選でのチョイスはプライマリーとしました」

Q:決勝でのレース展開はどうなると予想しますか?
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「セパンは抜き所が決して多くはないサーキットと捉えていますので、コース上での『抜きつ抜かれつ』は難しいと思います。多少タイヤのデグラデーション(≒性能低下)が出たとしても、抜けるポイントが少ないので、よっぽどタイヤの性能が低下しないかぎりは、前のマシンは抜けないと思います。そこで重要になってくるのはピット戦略でしょう。

 そのときタイヤの性能として大切なのは『どこまで持つか』ということなんです。ライバルたちよりもライフが長ければ、どこでマシンをピットに入れるかということに関して幅を持たせることができます。交換したタイヤが長持ちするのであれば、チャンスを作るためにライバルたちよりも早めのピットインを選ぶこともできますし、逆にコース上がクリアだったら、そのまま走らせ続けることもできるわけです。

 我々は、今回がスバルBRZ GT300とともに戦う初めてのセパンであり、初めての高温域なんです。『この温度領域になったら、クルマをどう走らせなければいけない』というアドバイスは、データがなければできないこと。それを蓄積するためにも、明日はたくさん勉強させてもらうつもりです」