【2013】

2013年8月17日

ここまで予選最速率80%! スバルBRZ GT300+ミシュランタイヤ、今シーズン4回目のポールポジションを奪う!

2013 AUTOBACS SUPER GT第5戦

第42回 インターナショナル ポッカサッポロ1000km

8月17日(土) 公式予選

鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市):全長5.807km

WT2_2203.JPG

 日本全国が熱波に包まれる中、SUPER GTシリーズ第5戦インターナショナル ポッカサッポロ1000kmの公式予選が灼熱の鈴鹿サーキットで開催され、GT300クラスで唯一ミシュランタイヤを装着してシリーズを戦うスバルBRZ R&DスポーツのNo.61 スバルBRZ GT300(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人)がまたも素晴らしいスピードを披露。Q1(予選第1セッション)、Q2(予選第2セッション)ともにトップタイムで通過し、今シーズン5戦目にして4回目となるポールポジションを獲得しました。今回の予選ではGT500クラスにおいてもミシュランタイヤを使用するNISMOのNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rがポールポジションを獲得しており、ミシュラン勢はGT300とGT500の両クラスの最前方グリッドを独占する結果となりました。

■公式練習

WT1_9508.JPG

 23台のマシンが出場する今回のGT300クラス。そのトピックのひとつは、No.61 スバルBRZ GT300の第3ドライバーに井口卓人選手が起用されたことです。井口選手は24歳の若手ながら、これまでメーカーワークスドライバーとしてGT300クラスやGT500クラスで活躍。ミシュランタイヤでのレースも数多く経験している頼もしいドライバーです。

 2時間にわたる公式練習は、気温30℃、路面温度34℃というコンディションのもとで午前9時20分から行われました。鈴鹿1000kmは通常の300kmレースに比べ3倍も長いレースであり、ここでスポットでステアリングを握ることになる第3ドライバーにとってはマシンに慣れるための貴重なセッションとなります。

WT2_2022.JPG

 その序盤に好タイムを出してきたのはFIA-GT規定のマシンでした。まずNo.11 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3が2分04秒093でトップに立ち、その後にNo.48 日産GT-R、そしてNo.52 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3が続きます。その後もNo.62とNo.11のメルセデスがトップタイムを塗り替え合い、その好調さをアピールしました。

 ライバルたちが順調に周回を重ねている頃、No.61 スバルBRZ GT300はマイナートラブルのためにピットに入っていました。これを解決してコースに出たBRZは、佐々木孝太のドライブでいきなり2分01秒815のトップタイムを叩き出します。その時点での2番手であったNo.62 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3とのタイム差は0.781秒と大きく開いていました。

WT1_8823.JPG

 その後、No.61 スバルBRZ GT300は山野哲也が7周、そして井口が3周の周回をこなし、セッティング確認の走行を無事に終えました。そして、佐々木が出したタイムは結局破られることなく、No.61 スバルBRZ GT300は2時間の公式練習をトップで終えました。

WT1_8858.JPG

スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏とのQ&A:

Q:今回のレースで井口選手を起用した理由を教えて下さい。

「まず、本人からのコンタクトがありました。そこで彼と話をして、そのモチベーションの高さ、レーシングドライバーとしての決意を知った上で、7月の鈴鹿での公式テストで走行してもらうことにしたんです。彼には十分な実績がありますし、実際に鈴鹿テストでも非常に良いパフォーマンスを見せてくれました。ミシュランタイヤをよく理解しているし、ロングランでもタイムが落ちないことから、鈴鹿1000kmの長丁場で十分以上に戦力になると判断したんです」

Q:昨年の鈴鹿1000kmは山野選手/佐々木選手の2名で出場されましたが、今年はなぜ3名体制にされたのですか?

「我々は昨年の鈴鹿1000kmでは2スティント目にリタイアしてしまっています。ですから、"本当の鈴鹿の暑さ"は経験していないと言えます。それでも昨年のレースでは第1スティントが終わった時点でドライバーがとても消耗していたので、今年は第3ドライバーを使うことを最初から決めていました。実は昨年もそのつもりだったんですが、いい人材と巡り会えなかったんです」

Q:今回、GT300クラスのJAF-GT規定車両に対する性能調整措置によって車高が8mm上がることになりましたが、実際に車両の動きなどはどう変わりましたか?

「BRZ GT300はそもそもは最低地上高45mmで設計されたレーシングカーで、その車高を8mmも上げればまるで別物になります。今回の措置はとても厳しいものでした。7月の鈴鹿テストでは2分を切るタイムを出せていたのですが、今ではその走りはまったくできません。公式練習ではこの車高8mmアップに対応したセッティングを模索するので精一杯でした」

Q:それでも公式練習ではトップタイムをマークされたわけですが?

「それはドライバー(佐々木孝太)が良かったからです。2分01秒というタイムは、相当苦労して出していると思いますよ。実際、車高が8mmも上がれば、車両の重心位置が高くなり、ロールセンターも上がり、空力特性も変わってしまいます。でも、孝太はちょっとくらいセッティングが合っていなくても、ここ一番というときにタイムを出すんです。とは言っても、決勝レースを見据えて、もっと柔軟性のあるクルマを作らないといけないと思います」

Q:ミシュランタイヤで初めて臨まれる鈴鹿1000kmをどう戦おうと考えておられますか?

「ミシュランタイヤの絶対的なグリップ性能の高さは我々のBRZの車両特性に合っていると思います。ただし、前回の菅生のような急激な天候の変化や温度の変化にはまだ十分に対応できるようにはなっていません。そこが不安といえば不安です。また、BRZとミシュランタイヤの組み合わせでレースを戦うのはまだ4回目ですから、条件を網羅し切れていません。予選はいいけれど、決勝レースで最適なセッティングがつかみ切れていない、ということです。我々としては、ミシュランタイヤの環境変化に対する懐の深さとロングラン性能をこのレースでつかむことができれば、と考えています」

WT1_9400.JPG

井口卓人 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「BRZ GT300は今まで僕が乗ってきたGTマシンの中で一番フォーミュラカーに近いですね。ステアリングを切っても動きに遅れがなく、切った分だけ曲がっていけます。空力もGT500に比べてダウンフォース量が若干少ないくらいで、よく作り込まれたレーシングカーという印象です。

 ミシュランタイヤについては、GT300やGT500で履いた経験があるのですが、その性格はいい意味でまったく変わっていませんでした。ミシュランのレーシングタイヤは、荷重をかけていったときにものすごく高いグリップを発揮するんです。だから、"いかにタイヤを潰せるか"が勝負だと思っています。低中速コーナーではブレーキングで思い切りよく飛び込めないとタイムを出せません。逆に高速コーナーは黙っていても速いんです。ただ、高速コーナーでも速く旋回するほどタイヤに荷重がかかりますから、やっぱりドライバーは"行く!"方向ですね(笑)。なので、抑えるべき部分とプッシュするべき部分を見極めることが大切ですね。

 ミシュランのエンジニアとはとても仕事がしやすいです。しっかりコミュニケーションが取れていると思います。今回予選は走りませんが、決勝は期待していて下さい!」

■予選第1セッション(Q1)

 午後2時から始まった予選。その第1セッション(Q1)では山野哲也がタイムアタッカーを務めました。

WT1_9206.JPG

 新品タイヤを温めながらも、快調な走りでライバルたちをパスしていくNo.61 スバルBRZ GT300。前方のマシンにパッシングをしてタイムアタック中であることを示しながら、最終コーナーを勢いよく立ち上がります。そして山野は期待どおり、計測3周目にいきなりコースレコードを樹立。2分01秒481という素晴らしいタイムを叩き出してトップに立ちました。そして、決勝レースの第1スティント用にタイヤを温存するため、まだ6分の時間を残してこのセッションを切り上げ、早々にガレージへと引き上げました。

 この時点での2位には、公式練習では影を潜めていたNo.55 ホンダCR-Z GTが浮上してきましたが、そのタイムは2分03秒229と、No.61 スバルBRZ GT300との間には1.7秒以上もの差がありました。そして、気温・路面温度が相当に高いのか、他の車両も2分03秒の域を出ません。その後、上位陣はBRZ GT300のタイムを無理に抜きには行かず、Q2進出を見定めると早々にタイムアタックを終了。結局、このセッションの2位はBRZ以外で唯一2分03秒を切ってきたNo.3 日産GT-R、3位はNo.52 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3で、先述のNo.55 ホンダCR-Z GTはその後はタイムアップならず4位でQ1を終えました。

WT1_9457.JPG

 かたやポイントリーダーであるNo.16 ホンダCR-Z GTは苦戦を強いられ、Q1の時間いっぱいを使ってタイムアタックを試みながらも14位でチェッカー。また、ポイントランキング3位のNo.11 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3が16位、同5位のNo.4 BMW Z4 GT3も17位と、多くの実力派チームがQ2進出を逃す厳しい予選となりました。

■予選第2セッション(Q2)

 午後2時40分から12分間で争われたQ2には13台のGT300マシンが出走しました。

WT2_1817.JPG

 Q1同様、まずはFIA-GT規定のマシンがどんどんタイムを出していく中、佐々木孝太がステアリングを握ったNo.61 スバルBRZ GT300はゆっくりとウォームアップ。セッションの残り時間が7分となった時点でトップに立ったのは2分03秒273を出したNo.62 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3で、No.52 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3、No.9 ポルシェ911 GT3Rが続きました。

 一方、2周目を2分06秒台で周回したNo.61 スバルBRZ GT300は、3周目にアタック。セクター1で唯一33秒台をマークし、コントロールラインを通過して刻んだタイムは2分01秒802。Q1には及びませんでしたが、やはり2位を1.5秒あまり離す素晴らしい走りをみせました。  

WT2_2192.JPG

 佐々木はさらにアタックを試みましたが、他の車両に詰まって仕切り直しに。その間にNo.3 日産GT-Rが2位へ上がりましたが、タイムは2分02秒475。まだまだマージンが十分にあることを確認すると、佐々木はマシンをピットへ。結局、No.61 スバルBRZ GT300のトップの座は揺るがず、今シーズン5戦目にして実に4回目となるポールポジションを獲得しました。

WT2_2189.JPG

山野哲也 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「今日はバッチリでしたね! しかし僕の役目は一貫していて、『タイヤを残しながら大事にQ1をクリアする』こと。今回もその目的で走っていました。今朝の公式練習ではクルマのバランスが悪くて、これを直すのに時間を費やしました。僕らのコメントをもとに、チームクルーが頑張ってクルマを良くしてくれたと思います。予選では、少なくとも午前中よりは動きが安定していました。

 でも安定しただけじゃダメなんです。今度はタイヤを持たせるセットアップを見つけなければいけない。まだこのチームはタイヤを持たせることができていません。明日の決勝はこれができるように戦いたいです。

 今日の予選では2種類あるうちのソフトめなタイヤを使いました。決勝用にはロングランを見越したもう少しハードなものがあります。予選はQ1、Q2ともソフトで行ったので、明日のレースはまず第1スティントをどれだけ持たせられるかで、それ以降の戦い方が決まると思います。ハードめのタイヤは公式練習でちょっと確認しただけなのですが、タイム的には2分02秒台が出ているので、悪くはないと考えています」

WT1_9561.JPG

佐々木考太 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「Q2の最後はちょっと前に詰まってしまったので、もう1回アタックに行った方がいいのかな......と思ったんですけど、すでにトップを取れるタイムは出ていたので、1000kmという長丁場のレースためにタイヤを温存することにしました。余力的には、もっと行ける感触はありましたよ。そんなに大きくはタイムアップしなかったとは思いますけど。

 公式練習ではちょっとしたトラブルが出てしまったので満足の行くセットアップができていませんでした。でも、Q1で山野さんがいいタイムを出してくれていたので、たぶんセッティングの方向性は合っていたんだろうと思っていましたし、タイヤも非常にグリップ感があるので、Q2には安心して臨めました。

 ただ、僕たちはロングランのテストができていないんです。そのあたりが明日の決勝レースに向けて一番気になるところですね」

WT1_9542.JPG

スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「午前中の公式練習では苦戦していましたから、ポールポジション獲得は想定内だなんて言ったら、それは言い過ぎですね(笑)。でも、公式練習の後、ドライバー的には『完璧ではないけれど、行ける』というセットアップができたので、ポールポジションはその結果得られたのだと思います。今までの予選のようにはいかなかったのですが、性能調整措置で車高を8mm上げられた状況の中ではいい結果を出すことができました。

 あとは、ハードめのタイヤで、ロングスティントでどうなるかですね。でも、我々のBRZとミシュランタイヤがもともと持っているパフォーマンスで、明日の決勝レースでもきっと良い結果が得られるだろうと思っています!」

WT1_9520.JPG

日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:GT300クラスでは今シーズン4回目のポールポジション獲得となったわけですが、今回の予選はタイヤ的にはどんな戦いだったのでしょうか?

「今回はとにかく車高変更の問題が大きかったです。7月の鈴鹿での公式テストを終えて、今回のレースに向けたタイヤのスペックを決めた後に、JAF-GT規定の車両に一律で車高を8mm上げるという性能調整が入ることになったのです。つまり今日は、現状の"8mm車高が上がったマシン"を今回持ち込んだタイヤで走らせたデータは一切ない状態で走り出さなければなりませんでした。ぶっつけで本番を迎え、今回の仕様の車両とタイヤではどういうことになるのかを検証するのが今日の仕事でした」

Q:そんな状況で、今回用意したタイヤはどのように機能したと言えますか?

「少なくとも、タイムは悪くありませんでした。よって、"速さ"は持っていると言えます。ただし、鈴鹿テストのデータは使えないので、耐久性は未知の部分です。あれだけ車高が上がると、動きを抑えるためにいろいろセッティングを変えなくてはいけなかった。結果として速さは出せたけれども、果たして耐久性はどれだけ落ちるのかはまったく分かっていないんです。今日の午前中の公式練習も予選に向けてタイムを出せるようにセットアップしていくのが精一杯で、耐久性についてはまともに見ることができませんでしたから。1000kmを戦うにあたっての標準的な戦略で物事を進めることが本当にできるのかがどうか......レースをやってみなければ分からない、というのが正直なところです」

Q:今回持ち込んだタイヤはどういうものですか?

「クルマの状態がまったく変わってしまったという理由から、タイヤが狙いどおりになっているのかを確認できていないので、どういうタイヤだと断言することができないんです(笑)。

 仮にクルマが鈴鹿テストのときと同じ状況だと仮定して言えば、プライマリー(基準的なタイヤ)に対して、もうひとつ、暑い状況でも対応できるタイヤを用意しました。予選で使ったのはプライマリータイヤです。今回は『テストはしたけれど、その直後にマシンが大きく変わってしまった』というのが、タイヤ側としてもっとも大きな問題だったと言えますね」