【2013】

2013年8月18日

スバルBRZ GT300+ミシュランタイヤ、ポールtoフィニッシュで待望の初優勝を飾る!

2013 AUTOBACS SUPER GT第5戦

第42回 インターナショナル ポッカサッポロ1000km

8月18日(日) 決勝レース

鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市):全長5.807km

入場者数:36,000人(主催者発表)

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 今年で42回目の開催となった伝統の一戦「鈴鹿1000km」がSUPER GTシリーズ第5戦として行われ、今シーズン実に4回目のポールポジションからスタートしたスバルBRZ R&DスポーツのNo.61 スバルBRZ GT300(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人)はレース序盤からトップを快走。途中、セーフティーカーが入ったことでそれまでに築き上げた大量リードを削がれ、レース終盤にはNo.4 BMW Z4 GT3に先行される局面もありましたが、BRZ GT300は実力でこれをかわし、最終的には15秒近くにまでリードを広げてフィニッシュ。待望の今季初優勝をポールtoフィニッシュで飾りました。また、今回はGT500クラスにおいてもミシュラン・パートナーチームの車両が予選、決勝レースの双方を制圧。過酷なコンディションにおけるミシュランタイヤの強さを圧倒的な内容で知らしめた一戦となりました。

WT1_0311.JPGシリーズで一番長い1000kmというレース距離で争われるこの鈴鹿ラウンド。その決勝レースのフォーメーションラップは予定どおり12時30分に開始され、迎えたスタートでは佐々木孝太が乗り込んだNo.61 スバルBRZ GT300がポールポジションから飛び出して見事にホールショットを奪取。オープニングラップを終えて早くも2位を3.6秒も引き離し、続く2周目を終えた時点ではメインストレート1本分に迫るリードを築き上げるという猛烈なドライビングを披露。この2周目のラップタイムは2分02秒606とすさまじく、これが今回のGT300クラスの最速ラップとなりました。

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 その後もNo.61 スバルBRZ GT300は順調に周回を重ね、27周目に佐々木から井口卓人に交替。このとき、路面温度は50℃を超えており、初めてハード側のタイヤが装着されました。

 そして59周目には2度目のピットストップを行って井口から山野哲也へと交替しますが、すでに十分なマージンを築き上げていたことから、トップをキープしたままコースに復帰することに。レースはNo.61 スバルBRZ GT300のまさに一方的な展開となっていました。

 ところが、ここでライバルのGT300車両がタイヤバーストに見舞われて、燃料系を破損したのかマシンから出火するというアクシデントが発生しました。オフィシャルの迅速な作業によって火はすぐに消し止められましたが、この車両の撤去のためにセーフティーカーが導入されることに。これで、実に1分30秒近くにもなっていたNo.61 スバルBRZ GT300の大量マージンは一気に消えることになってしまいました。

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 しかし、レース再開後もNo.61 スバルBRZ GT300はライバルたちを寄せ付けぬスピードを再び披露しながら改めてリードを広げにかかりました。ステアリングを握る山野哲也は、路面温度が下がってくると2分03秒台を連発。再度、後続を引き離して、96周目に井口卓人へとバトンを渡しました。

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 ここでのピットストップ時間は1分11秒9と長くなり、No.61 スバルBRZ GT300は5位までポジションを下げて戦列に復帰することになりましたが、今回のレースで2度目のドライブとなった井口卓人は燃費を考慮した走行に徹しつつ、2分05〜06秒台を基本としながらも、ときには2分04秒台へとタイムを突入させる好走を続けて巻き返します。そして他車のピットストップもあって着実に順位を回復、101周目にはトップを奪い返しました。

 127周目、No.61 スバルBRZ GT300は最後のピットストップを行い、アンカーである佐々木孝太が乗り込んでコースに復帰しました。そして、ドラマはこの最終スティントで起こりました。

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 139周目に差し掛かるころ、ピットストップを終えたばかりのスバルBRZ R&Dスポーツのピット前に再びタイヤが並べられました。車両後部の空力パーツであるディフューザーが何らかの原因で破損し、その一部が当たってリアタイヤを傷つけている可能性があったためでした。ラップタイムは一端は2分12秒台にまで落ちますが、一時的に2分08秒台にまで回復。果たして、もう一度タイム損失覚悟でタイヤを交換するべきなのか......。すぐ後ろには、予選17位からの追い上げを成功させていたNo.4 BMW Z4 GT3が迫ってきていました。

 140周目、No.61 スバルBRZ GT300は最後の燃料給油の為にピットへ。合わせてディフューザーの破損した部分を取り去り、リアタイヤのみを交換し、慌ただしくコースへと飛び出していきます。ですがその瞬間、No.4 BMW Z4 GT3がBRZ GT300の目の前を通り過ぎていき、トップが入れ替わりました。

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 ここからは、「ちょっとくらいセッティングが合っていなくても、ここ一番というときにタイムを出す」とチーム総監督の辰己英治氏が前日に評していたばかりの佐々木孝太がその真骨頂を発揮しました。ディフューザーの破損によって空力バランスの狂ったNo.61 スバルBRZ GT300をハードプッシュ。コースが荒れたレース終盤のコンディションとしては驚異的な2分03秒722のスーパーラップを記録しながらNo.4 BMW Z4 GT3を猛追し、146周目のヘアピンカーブでついにライバルを抜き去ってトップを奪還してみせました。

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 その後もNo.61 スバルBRZ GT300はハイペースでの走行を続け、最終的にはNo.4 BMW Z4 GT3に対して15秒近くのリードを築いたところでチェッカー。これまで、予選で見せたパフォーマンスを決勝レースでも同様に披露することができないレースが続き、ある意味、苦杯を嘗め続けてきた格好のBRZ GT300+ミシュランタイヤのコンビネーションが、シーズンで最も過酷な一戦である鈴鹿1000kmで待望の初勝利をもぎ取ることに。そしてシリーズポイントにおいても一躍ランキング2位へと急浮上を果たすことになりました。

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佐々木考太 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「燃費の問題から僕たちはライバルたちよりピットストップを1回多く行わなければならなかったので、最初のスティントからそれこそ必死で走りました。その後、セーフティーカーが入ってリードが帳消しになったりもしましたが、山野さんも井口くんも良い走りをしてくれたので、『最後は楽できるかな......』なんて思っていたんです。ところが、最終スティントでリアのディフューザーが壊れてしまって、それが当たってリアタイヤが削れてマシンのバランスが崩れました。ディフューザーが壊れた原因は分かりません。他車の追突によるものなのか、拾ったタイヤかすによるものなのか......。それでも、タイヤを換えた後は何とかバランスを取って走ることができました。

 今回のレースは、タイヤ的には完璧でしたね。最後、リアだけ新品になったときも、きちんとタイヤに熱が入ってからは速く走ることができましたし。今回の勝利はチームのみんなの力です。本当に『やっと勝てた!』という感じです」

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山野哲也 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「自分で言うのも何ですけれど、パーフェクトでした! タイムも良かったし、タイヤもきちんと持たせることができましたから。セーフティーカーが入って、レース前半で築いた大きなマージンがなくなった後も、タイヤマネージメントをしながら良い走りをすることができました。そのとき、『このタイヤは大丈夫だな』と分かりましたよ。だから、レース終盤に孝太がトラブルに見舞われたときは、『2分04秒台で走り続けても大丈夫なタイヤなんだから!』とアドバイスを送りました。

 今回の優勝は本当にうれしいです。まずはファンのみなさんにありがとうと言いたい。去年はまったく表彰台に乗れず、今年もポールポジションは何度も獲るんだけど、レースでは思うような結果をなかなか出せなかった。チームのみんなは勝ちたくて勝ちたくて仕方ない状態でした。そんなみんなの思いがひとつになって、今回勝つことができたんだと思っています」

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井口卓人 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「スバルの一員としてSUPER GTに復帰することができ、しかもこの鈴鹿で勝てたことが本当にうれしいです。クルマの状態はものすごく良くて、毎周安定して走ることができました。レース後半になると若干燃料が足りなくなる可能性があったので、自分の2スティント目では燃費走行をしました。チームからは『2分05〜06秒台でラップを安定させてほしい』とリクエストされたのですが、それを踏まえて燃費を抑えた走りにした上で2分04秒台も出せたので、自分としてはきっちり仕事ができたと思っています。

 最初のスティントで僕がハード側のタイヤを試し、そのコメントから残りのスティントは全部プライマリータイヤ(基準タイヤ)で行くことになりました。ハード側のタイヤは少しだけアンダーステアが強かったのですが、プライマリーに換えるとこの問題も無事に解決でき、燃費を稼ぎながらマージンを広げていくことができました。今回はタイヤが素晴らしかったと思います」

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏とのQ&A:

「ポールポジションを獲ると『もうダメかな......』って思ってしまうくらい不安だったので、勝つことができて本当に良かったです。今回の勝利は、タイヤ、マシン、チーム、ドライバー、これらすべてを合わせた総合力の高さによるものです。クルマのパフォーマンスをタイヤがしっかり受け止めてくれたことで得られた優勝だと思います。最後のトラブル以外は本当に順調なレースでした。この鈴鹿が獲れたことで、チームにも勢いがついたと思います。次戦からはシリーズチャンピオンを目指して頑張ります!」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:今年の鈴鹿1000kmのコンディションはどうでしたか?

「路面温度がスタート時で路面温度は50℃近くあり、昨年よりも高かったですね。舗装を新設してから1年が経ちましたが、μも相変わらず高かった。しかしタイヤ的には、この厳しいコンディションをトラブルなく走り切ることができたと捉えています」

Q:今回、井口選手の1回目のスティントでのみハード側のタイヤを使った理由は?

「あのときが路面温度が一番高かったことがひとつの理由ですね。そして、ハード側のタイヤは規定変更で車高が上がってから一度もロングランを試していなかったので、まず一度履いておこうとチームが判断しました。もちろん、状況が許せばすべてプライマリーのタイヤで走ることもあり得たと思います」

Q:それぞれのタイヤはレースではどのように機能しましたか?

「今回のレースの直前にJAF-GT規定の車両は一律で車高を8mm上げるという性能調整が入ることになって、BRZ GT300も車高を8mm上げねばならなくなり、おかげで事前テストのデータが反映できなくなって、今回はレースの中でロングランのテストをやっているような状況でした。しかし、プライマリーとハードのどちらのタイヤも他のマシンよりラップタイムが速く、そのタイム推移に関しても問題はありませんでした。また、摩耗状況も良かったため、想定どおりに機能してくれたと思います」

Q:1000kmという長いレースでしたが、ここで得られたデータは残り3戦に役立ちますか?

「車高が8mm上がった状態のジオメトリーとしてマシンを走らせたのは今回が初めてでしたから、この状態が今後も続くのであれば、多くのデータが取れたことになると思います。ただし、今回のようにぶっつけ本番でレースをやらなければならないようなことはもう勘弁していただきたいですね(苦笑)」

Q:今回のレースはディフューザーの破損以外は盤石だったように見えますが?

「あれだけ速く走っても、BRZ GT300はピットでの給油時の損失が大きいので、そのマージンを考えるとギリギリだったと思います。もちろん、勝つためのレースペースのコントロールはできていました。給油時間の損失を考え、必要なマージンの計算をして、その予定は達成していました。ただし、その余裕があまりなかったので、最後のアクシデントは厳しかったですね。本来は給油のみで済ませてNo.4 BMW Z4 GT3の前に出るはずだったわけです。最終的に勝つことができたのは良かったですね」