【2013】

2013年11月24日

FUJI SPRINT CUP第2レース スバルBRZ GT300は予想外の不調に見舞われ、山野哲也は残念な勇退レースに

JAF Grand Prix SUPER GT & SUPER FORMULA

FUJI SPRINT CUP 2013

11月24日(日) 決勝第2レース

富士スピードウェイ(静岡県駿東郡):全長4.563km

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 シーズンのフィナーレを飾るSUPER GTスペシャルイベントのFUJI SPRINT CUPの第2レースが開催され、GT300クラスで唯一ミシュランタイヤを履くスバルBRZ R&DスポーツのNo.61 スバルBRZ GT300は、先ごろ「スバルのファーストドライバーのシートを後進に譲る」という発表を行った山野哲也のドライブで出場しましたが、序盤からペースが上がらず、レース半ばにはピットインして別なセッティングを試みるなどしたことから、トップから2周遅れでのフィニッシュという残念な結果となりました。

■決勝第2レース

 往年の名ドライバーが現役ドライバーとコンビを組んで走りサーキットを大いに沸かせた「レジェンドカップ」の決勝、そしてスーパーフォーミュラの決勝第2レースを終えた午後2時5分、SUPER GT GT300クラスの決勝第2レースの火蓋が切って落とされました。前日に行われた第1レース同様、スタンディングスタートから富士スピードウェイを22周(100.386km)し、ドライバー交替なしで争われるスプリントレースとしての開催です。

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 2013年の走り納めとなるこの一戦でNo.61 スバルBRZ GT300のステアリングを託されたのは、これをSUPER GTのレギュラードライバーとして戦う最後のレースとする覚悟で臨んだ山野哲也でした。去来する様々な思いを胸に仕舞い込み、山野は普段のSUPER GTではあり得ないグリッド上での静止状態から、今にも切り替わろうとしているスタートシグナルを睨んでいました。

 このスタートでいきなり波乱がありました。前日の予選で唯一1分36秒台を叩き出してポールポジションを奪ったNo.3 日産GT-R GT3がレッドシグナル消灯前にスタートを切ってしまったのです。同車にはすぐにドライブスルーペナルティの裁定が下り、冒頭から優勝候補の一角が崩れることになりました。

 逆に最高のスタートを決めたのは、レギュラーシーズン中は苦戦続きだったNo.2 マクラーレンMP4/12C GT3でした。7番手グリッドから一気に3番手までジャンプアップを果たします。その後、No.3 GT-Rがペナルティを消化するために戦列から外れると、トップ争いはNo.55 ホンダCR-Z GTとNo.2 マクラーレンによる一騎打ちに。そして7周目に入るストレートでNo.55 CR-Zのスリップストリームを使ったNo.2 マクラーレンが1コーナーへの進入で前に出て、とうとうトップに立ちました。

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 一方、9番手グリッドからスタートした山野哲也のNo.61 スバルBRZ GT300は、いち早く1分41秒台にタイムを入れていきました。ところがその後はタイムが伸びず、少しずつ順位を落としていきます。

 後方集団の波に飲み込まれながらも山野は奮闘を続けました。しかしラップタイムは回復しません。さりとて、BRZ GT300にトラブルが出ている様子でもなく、この日のコンディションにセッティングが合わず手を焼き続けているという様子でした。

 レースも折り返しを過ぎ、13周目を終えたところで、山野はNo.61 スバルBRZ GT300をピットロードに向けました。チームはここで4輪すべてのタイヤを、それまでとは別のコンパウンドのものに交換。作業を終えると山野は猛然とピットアウトし、戦列に復帰しました。それは、このレースの結果は二の次にしてでも来シーズンに向けていくらかでも有益なデータを残していこうという、プロフェッショナルドライバーとしての意地と誇りが示された行動でした。

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 結局、No.61 スバルBRZ GT300はトップから2周遅れでのフィニッシュに。今年はSUPER GT史上最多記録となる5回のポールポジション獲得を成し遂げたBRZ GT300でしたが、最後の最後で大きな課題を突きつけられた格好でシーズンを終えることになりました。

 なお、この第2レースはNo.2 マクラーレンMP4/12C GT3が優勝。スタートで出遅れたNo.11 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3がレース後半に追い上げ、16周目にはNo.55 ホンダCR-Z GTをかわし、さらにNo.2 マクラーレンのテールに迫りましたが、同車はポジションを譲らず逃げ切りました。そして、第1レースと第2レースの結果に基づいて各エントラントに与えられるポイントの合計によって最終成績が決まるこのFUJI SPRINT CUPのSUPER GT GT300クラスの総合優勝はNo.11 メルセデスが手にしました。

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「これは今回のレースについても、そして今シーズン全体の総評としても言えることですが、気温や路面温度が低くなってきてからのレースにおいて、我々はタイヤにクルマをうまく合わせ込むことができていなかったと思います。天候の急変があった際もそうです。条件が良いときには圧倒的に良い結果が得られているわけですから。クルマ自体が悪いわけではないですし、タイヤが悪いのでもない。そのマッチングを取ることが大切なのです。セッティングとタイヤとコースの特徴。この3つの組み合わせを、我々はまだ読み切ることができていませんでした。

 今後は、苦手なところのアベレージを上げていくことで、さらに隙のないチームにしていきたいと思います。ミシュランとのパートナーシップはこれがまだ1年目だったわけですから、まったく悲観することはありません。非常に良いシーズンだったと思います」

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佐々木考太 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「良いことも悪いこともたくさんあった一年ですけど、結果的には年間5回のポールポジション獲得という新記録を作れましたし、1勝することもできましたし、スバルとしては過去最高位のシリーズ4位を獲得することもできました。ただ、課題も多くあり、まだまだやらなければいけないことがあるということが今回のレースでハッキリしました。それを自分としては『伸びる可能性がまだまだあるということ』と前向きに捉えています。今年培ったデータは来年すごく活きてくると思います。今年は"速いクルマ"でしたが、来年は"強いクルマ"にできたらいいですね」

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山野哲也 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「セッティングはアジアン・ル・マン(※9月に富士スピードウェイで開催。No.61 スバルBRZ GT300は予選3位/決勝3位)で調子が良かった内容を引き継いだので、あの感じが出せれば表彰台も狙えると思っていたのですが、実際にはあのときのようなラップタイムと安定感を得ることができませんでしたね。"山野哲也"的には、今日のレースは不完全燃焼で終わってしまった感じかな......。予選は悪くなかっただけに残念です。

 レース半ばでピットインしたのは、あのまま走り続けるよりも、チームにとって来年につながるデータを残したかったからです。そこで別のタイヤに交換しました。

 今シーズンを振り返ると、BRZ GT300というマシンがとても発展したことが印象的です。これはチームに山野哲也と佐々木孝太という、タイプの違うドライバーがいることで、たくさんの情報量を得ることができたからだと思っています。どこよりも進化したチームであるということは、去年と今年のタイムを比較してもらえれば分かるし、間違いのないことだと思います。

 これでスバルのレギュラードライバーの立場からは卒業しますが、来年からは自分にとってまた新たなステージが始まると思っています。これまでのご声援、どうもありがとうございました!」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:苦しい決勝レースでしたが、どのような評価をされていますか?

「まだ原因が追及できていないので詳しいことは分からないですが、決勝レースについては良い結果とは言えなかったですね。どうしてタイヤとのマッチングが図れなかったのか......。路面温度が昨日よりも若干高くなったことがありますが、それがすべてではないと思います。まだ何とも言えません」

Q:レース途中でピットインした理由は?

「タイヤにトラブルがあったとか、摩耗などの問題によるものではありません。予選9位からスタートしましたが、レース中盤までに17番手にまで下がってしまい、『このまま走っていても得るものがない』ということで、チームの判断として『タイヤを換えてみよう』ということになりました。来年、GT500は車両が大きく変わりますが、GT300は現行の車両規定のままでいきますので、今回のレース中にトライを行っておくことで、少しでも何らかのヒントがつかめればという考えがありました」

Q:2013年シーズンについての総評を聞かせてください。

「まず、今年初めてスバルBRZ R&Dスポーツというチームと一年間闘い、決して悪くないシーズンを送ることができたと思っています。ただ、BRZ GT300は比較できる車両が他にないマシンであり、その中でGT300を闘わなければならなかったので、その成果や失敗をはっきりと捉えることが難しかった、というところがあります。ですから、今年課題となった部分を来年に向けていかに解決していくか、そして発展させられるかですね。それが評価につながるのだと考えます」