【2013】

2013年11月 2日

驚速スバルBRZ GT300&ミシュランタイヤ、今季5度目のポールポジションを奪取!

2013 AUTOBACS SUPER GT第8戦(最終戦)

もてぎGT250kmレース

11月2日(土) 公式予選

ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡):全長4.801379km

入場者数:14,500人(主催者発表)

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 GT300/GT500の両クラスのチャンピオン決定が持ち越されて迎えることになった2013年のSUPER GTシリーズ最終戦の公式予選がツインリンクもてぎで行われ、GT300クラスにおいてミシュランがタイヤを独占供給しているスバルBRZ R&DスポーツのNo.61 スバルBRZ GT300(山野哲也/佐々木孝太)がまたも圧巻のスピードを披露。見事最速タイムを叩き出し、実に今季5度目となるポールポジションを獲得しました。

 前戦のオートポリスでは、その直前にJAF-GT規定のGT300車両に対する性能調整が図られ、それによってスバルBRZ GT300やホンダCR-Z GTなどは軒並み大幅に戦闘力低下に見舞われて伸び悩むことになりました。

 このときの性能調整は、JAF-GT規定のGT300車両がすべてターボエンジンを使用する一方でFIA-GT規定の車両は一部を除いてすべて自然吸気エンジンを搭載していること、そして前戦の舞台であったオートポリスがSUPER GT開催サーキットの中でひときわ標高が高く空気密度が低いことの2点を鑑みて実施されたものでした。つまり、高地ではターボチャージャーによって機械的に空気を燃焼室に押し込むことができるターボエンジンの方が出力低下が小さく済んで有利であり、その突出を抑えるために「高地適用」という名目でBRZ GT300らは吸気リストリクターの径を通常より1サイズ絞り込まれたのでした。

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 しかし、今回のシリーズ最終戦の舞台であるツインリンクもてぎの標高は標準的なものであることから、この性能調整は解除に。No.61 スバルBRZ GT300らはオートポリスより前のサイズのリストリクターに戻して今大会に出場します。

 また、レギュレーションに基づき、シリーズ最終戦の今大会ではすべての車両がハンディウェイトを降ろして出走。すなわち、マシンとタイヤのそもそものポテンシャルが一層明確になるレースでもあり、パドックには予選日の朝から程よい緊張感が漂っていました。

■公式練習

 雲が空を覆い尽くしながらも太陽が時折見え隠れするという天候のもと、午前9時から公式練習が2時間にわたって行われました。このセッションで各チームは、車両のセッティングを詰め、予選/決勝に向けたタイヤ選択を行っていきます。したがって、このセッションでのタイムがレースの行方を直接左右するわけではありませんが、各チームにとってはライバルたちの状況やタイムの出方を見ながら実際の戦いをイメージしていく重要な走行時間となります。

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 このツインリンクもてぎでは9月半ばに公式テストが行われており、そこでNo.61 スバルBRZ GT300は1分48秒746という最速タイムをマーク。大きな手応えをつかみながら今大会を迎えました。

 そして最初の走行セッションとなる公式練習が始まると、BRZ GT300は佐々木孝太がまず乗り込んで走行を開始しました。気温が低く路面温度があまり上がらない中でスピンを喫する車両が続出しましたが、BRZも3周ほどしたところでスピン。大事はなく、再スタートを切ると、この公式練習での予定メニューをこなし続けました。

 そしてセッション終盤には山野哲也にドライバー交替。結局、この公式練習におけるNo.61 スバルBRZ GT300のベストタイムは1分50秒427で、このセッションでは9番手という結果でした。

 なお、この公式練習でトップタイムをマークしたのは、シリーズランキング3位につけているNo.11 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3でタイムは1分49秒264。2番手タイムを記録したのはNo.16 ホンダCR-Z GTでした。

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏とのQ&A:

Q:今回の公式練習では主にどのようなメニューをこなされたのでしょうか?

「9月の公式テストでの結果が良かったので、反省すべき部分には修正をかけつつ、さらに良いところを伸ばそうとセッティングを変更していったのですが、思いのほかタイムが伸びませんでした。できれば1分48秒台に入れたかったところです。テストでは出ていますからね。LSDやサスペンションのセッティングを大きく変更したことがちょっとだけ裏目に出ました。この公式練習の後にミーティングを行い、公式テストのときの仕様に戻す方向でいくことを決めました」

Q:セッション序盤でのスピンは何が原因だったのでしょうか?

「車両的な問題ではありません。今回試したセッティングを煮詰め切れていなかったせいですね。具体的には、公式テストのときよりも曲がる方向にしているので、ちょっとマシンが不安定すぎたのだと思います。ただ、(佐々木)孝太としては好感触だったようで、『クルマがとってもよく曲がる』というコメントが出ていました。気温も路面温度も低いので、リヤタイヤを十分にウォームアップできていなかったこともあると思います」

Q:シリーズ最終戦となりましたが、どういうイメージを持って今回のレースに臨まれようとしていますか?

「予選で一番前に出ることが大切でしょうね。そして逃げ切る、と。前にFIA-GT規定の車両が入ってしまうと、BRZの持ち味のコーナリング速度を活かせません。JAF-GT規定の車両が前にいる分にはレース展開によって勝負のしようがあります。とにかく、予選でポールポジションを獲りたいですね!」

Q:最終戦ということでハンディウェイトがすべて降ろされましたが、マシンバランスは良くなりましたか?

「はい。やっぱりウェイトはない方が良いですね(笑)。ストレートスピードも上がったようで、ドライバーも『速くなった!』と言っています。これは予選だけでなく、レースでも有利になる要素ですね」

■予選第1セッション(Q1)

 午後2時ちょうどから始まったQ1は15分間で、No.61 スバルBRZ GT300は山野哲也がこのセッションを担当。依然として路面温度は低く、山野はタイヤを温めるために序盤から積極的に周回を重ねました。

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 そんな折、No.55 ホンダCR-Z GTがコースインした周にスピンを喫してコースアウト。その車両回収のために赤旗が提示されました。レギュレーションに基づき、予選において走行中断の原因を作ったマシンは残り時間のセッションに参加することができません。このため、No.55 CR-Z GTはタイムを記録することなくQ1を終えることになりました。

 そしてセッションが残り7分を切ったあたりから、各車による本格的なタイムアタックが始まりました。まずNo.0 ポルシェ911 GT3Rが1分49秒702を記録してトップに立つと、これをNo.48 日産GT-R GT3が1分49秒530でかわし、さらにはNo.3 日産GT-R GT3が1分49秒377を刻んで上回っていきました。

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 ここで山野哲也が駆るNo.61 スバルBRZ GT300もアタックに入り、朝の公式練習を上回る1分49秒156をマーク。しかし、ほどなくNo.11 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3が1分49秒090を記録。そして最後はNo.16 ホンダCR-Z GTが1分48秒636と、1分48秒台中盤のタイムを叩き出してQ1トップの座を手中にしました。BRZ GT300はそれでも3位という上々の結果でQ2進出を果たしました。

■予選第2セッション(Q2)

 12分間のQ2は午後2時45分にスタート。短いセッションだけに、ここに進出した13台のマシンは我先にコースへ飛び出していきます。ただし、相変わらずの路面温度の低さから、セッション開始から3分が経過しても各車はストレート上では車両を意図的に左右に振ってタイヤに懸命に熱を入れているという状況でした。

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 セッション開始から5分ほどのところで、佐々木孝太がステアリングを握ったNo.61 スバルBRZ GT300はタイムアタックに入るかに見えました。しかし、その前方にマシンがいることを確認。佐々木は一度極端にスピードを落とし、クリアラップを取るために前走車との間隔を大きく開けることに務めました。

 そしてセッションも残り3分を切ろうかというとき、ついにBRZ GT300がタイムアタックに入りました。そして叩き出されたタイムは1分48秒264というコースレコード! 佐々木はたった一度のアタックで完璧なスーパーラップを決めてみせたのでした。

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 このNo.61 スバルBRZ GT300に続く1分48秒354をマークしたのはNo.11 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3でしたが、それ以上のタイムアップは望めないと踏んだのか、セッション終了前にピットへとマシンを戻してしまいました。一方、Q1でトップタイムを記録したNo.16 ホンダCR-Z GTは最後までアタックを行いましたが、1分48秒389を刻むのが精一杯。この瞬間、BRZ GT300の今シーズン5度目となるポールポジション獲得が決定しました。

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「朝の公式練習の結果を踏まえて、セッティングを9月の公式テストと同じものに戻し、これがうまく行きました。ここ(ポールポジション)にいないと明日のレースで優勝する権利が遠のきます。その意味では第一段階の目的をきっちりクリアすることができました。明日のレースでも我々がやるべきことの最善を尽くすのみという気持ちで闘おうと思っています。

 それにしても、ミシュランタイヤは本当にすごい。映像を見ていても、マシンの姿勢の乱れがほとんどありませんでした。そのおかげでコースレコードとなるタイムを出すことができました」

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山野哲也 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「予選ではピットアウトした瞬間に『あ、本来のBRZにかなり戻ったな』と感じ取ることができました。タイヤはとてもグリップが高かったです。温めるにはちょっと時間がかかると分かったので早めの段階からスピードを出して走りました。アタック中は縁石に乗ってクルマが跳ねたりしているんですけど、それでもあれだけのタイム(1分49秒156)が出ているので、マシンの状態は本当に良いのだと思います。

 今回はかなりソフトなタイヤを選んでいるので、これを消耗させずに、どこまで長く走らせられるかが勝負になるでしょう。後ろのクルマたちはみんなストレートが速いので、難しいところもあるけれど、まず1コーナーまで抜かれないようにしたい。そしてコース上でクルマがばらけたときに良いパフォーマンスが出せるように頑張ります」

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佐々木考太 (No.61 スバルBRZ GT300/スバルBRZ R&Dスポーツ)のコメント:

「前回のオートポリスの予選ではスピンをしてしまってみんなに迷惑をかけたので、今回はじっくりタイヤを温めてアタックの機会をうかがいました。タイヤの一番おいしい部分を導き出して、集中して走った結果、獲れたポールポジションだと思います。

 ハンディウェイトが降りたことについては、みんなも速くなっているので、結果的には影響はありませんでした。逆に公式練習では失敗してしまいましたが、そこからすぐに良い状態に戻してくれたチームとエンジニアに感謝したいです。予選までの短い時間ですぐに元に戻すことができるのは、彼らが僕たちの好みを理解してくれているから。"絆"があってこそです。

 この時期はどうしてもタイヤが温まりにくいんですけど、その中では初期のグリップがいつもより良いように思います。ただ、このタイヤにはもっとポテンシャルがあって、それを引き出すにはもう少し周回が必要だと思います。

 僕らのBRZはコーナリングスピードで稼ぐマシンで、ライバルに対してエンジンパワーでは非力なので、明日はバトルに持ち込ませることなく逃げ切って勝つ! リスクのある闘い方ですけど、それができるのも僕たちしかいないと思っています!」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:非常に良い予選結果でしたが、想定内でしたか?

「そうですね。予選に関しては今回も含めて5回ポールポジションを獲得しているわけで、安心して見ていることができました。マシン、ドライバー、チームそれぞれに力を持っているので、今回もポールポジションを獲ったことに不思議はありません」

Q:今日のコンディションにおけるタイヤのパフォーマンスをどう評価しますか?

「9月の公式テストの結果を受けて、この時期の温度を予想して持ち込んだタイヤなので、想定どおりの性能が発揮できたと思います。この週末にかけての天候や温度域も計算に入れたものなので、決勝においても予想外のサプライズはないでしょう。午前中の公式練習でオートポリス以降に試していたセッティングがうまく機能しなかったときは正直少し不安になりましたが(苦笑)、それもチームがリカバリーしてくれましたし」

Q:ツインリンクもてぎはタイヤ的にはどのようなコースですか?

「『縦と横がはっきりしたコース』です。鈴鹿のように長く旋回するコーナーはありません。縦方向の力と横方向の力を合わせて使うのではなく、ブレーキングとコーナリングがはっきり分かれています。アペックス(コーナーの頂点)で横Gが一瞬最大になるだけで、コーナーでは大きな負荷が長く続かないのです。あとは縦方向にグリップを使うだけですね」

Q:そういうコースに対して、タイヤとしては特別な対策をするのですか?

「もちろん、もてぎに対するタイヤの最適化は行っていますが、『縦方向だけ特別良くしたタイヤ』とか『横方向だけ特別良くしたタイヤ』といった作り方を我々はしていません。やはりトータルパフォーマンスが大切です」

Q:明日のレースについては?

「ツインリンクもてぎは抜きにくいコースなので、この位置(ポールポジション)からスタートできることは何よりです。スタートから逃げ切れたら最高ですが、それができるかどうかは分かりません。また、このレースで勝つことができても、シリーズチャンピオンになるためには相手のポジションも関係してくるので、我々としてはベストを尽くすだけだと考えています。ベストを尽くして、他のクルマがどの順位でフィニッシュするかを見るだけですね」