【GT300】

2014年6月 2日

スバルBRZ R&D SPORT、わずか2.2秒勝利に届かずも今季最高の2位フィニッシュを果たす!

2014 AUTOBACS SUPER GT第3戦
SUPER GT in KYUSHU 300km
6月1日(日) 決勝レース
オートポリス(大分県日田市):全長4.674km
入場者数:予選日1万3800人/決勝日2万4400人(主催者発表)

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SUPER GT第3戦の決勝レースが前日に続いて晴天に恵まれたオートポリスで開催され、GT300クラスはミシュランタイヤを履くR&DスポーツのNo.61 スバルBRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人)とハイブリッド車のNo.55 ホンダCR-Z GTの一騎討ちとなりました。走行ペースにおいてはライバルと互角以上のものがあったNo.61 スバルBRZ R&D SPORTでしたが、勝負のあやからレース後半は2位走行を余儀なくされ、懸命なチャージを続けたものの、わずか2.2秒届かず。それでも今シーズンのベストリザルトとなる2位表彰台を獲得しました。

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初めての初夏の開催となったSUPER GTのオートポリス大会。前日より日差しは若干弱まったことから、決勝レースがスタートする午後2時の時点で気温は28℃。ただし路面温度は43℃あるというコンディションでした。

前日の予選で圧倒的なパフォーマンスを見せてポールポジションを奪ったNo.61 スバルBRZ R&D SPORTは、佐々木孝太が第1スティントを担当。スタートをきっちり決めてホールショットを奪うと、ポジションを落とすことなくトップでオープニングラップを終えました。

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このNo.61 スバルBRZ R&D SPORTの後方には、予選2位からスタートしたNo.55 ホンダCR-Z GTを先頭に、No.3 日産GT-R GT3、No.11 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3、No.60 BMW Z4 GT3というオーダーで数珠つなぎに。しかし、No.61 スバルBRZ R&D SPORTとNo.55 ホンダCR-Z GTのペースは他を確実に上回っており、トップ争いはほどなくしてこの2台のJAF-GT300車両によるマッチレースの様相を呈していきました。

もっとも、トップを行くNo.61 スバルBRZ R&D SPORTはひとつの不安を抱えていました。第1スティントで選んだタイヤは、タイム的にもドライバーのフィーリング的にもベストなものだったのですが、現状のBRZ GT300とのマッチングにおいては摩耗の進行がやや早い傾向のものだったのです。もちろんそれを承知の上で、つまり摩耗が比較的早く進むことに目をつぶってでもフィーリングが良くタイムを出しやすいタイヤを第1スティントでは選んでいったわけですが、果たして、ステアリングを握る佐々木孝太は周回数が16周を超えたあたりからタイヤのフィーリングが変化してきたことを無線でチームに訴えかけてきたのでした。

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しかし、今回の最大のライバルであるNo.55 ホンダCR-Z GTを依然としてしっかり押さえることができていること、同車に対して1秒以上のアドバンテージを持っていることを理由に、チームは佐々木に対してそのまま走行を続けることを指示しました。そして佐々木もチームの期待に応え、トップの座を死守したまま29周を走り、タイヤを最後まで使い切ったところでピットに滑り込んできました。

ここでR&Dスポーツがピットストップに要した時間は約42秒。井口卓人が新たに乗り込んだNo.61 スバルBRZ R&D SPORTはこの時点ではクラス8位で戦列に復帰しました。これに対して、No.55 ホンダCR-Z GTは3周後の32周目にピットへ。同車は40秒を切る停車時間でピットを離れます。そしてここで順位が逆転し、No.55 ホンダCR-Z GTがNo.61 スバルBRZ R&D SPORTの前に出ることとなりました。

ただし、このときのNo.61 スバルBRZ R&D SPORTはすでにタイヤが温まっていて全力で走れる状態であるのに対して、No.55 ホンダCR-Z GTはインラップ。BRZが前に出るのはそう難しいことでないように思われました。ところが、No.61 スバルBRZ R&D SPORTの前にはNo.50 アストンマーチンV12ヴァンテージGT3が立ちはだかりました。同車はロングスティント戦略に討って出ており、ペースはNo.61 スバルBRZ R&D SPORTよりかなり遅いものの、この時点では同じ順位を争う関係でした。したがって、オフィシャルがNo.50 アストンマーチンに対して道を譲るように促すことはありません。

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そうしてNo.61 スバルBRZ R&D SPORTがNo.50 アストンマーチンの後方に封じ込められているうちにNo.55 ホンダCR-Z GTはタイヤを温めてペースを上げていくことに成功しました。そして38周目にNo.61 スバルBRZ R&D SPORTがNo.50 アストンマーチンをようやくかわして前に出たときには、No.55 ホンダCR-Z GTは約8秒も先行した状態となっていました。

No.55 ホンダCR-Z GTとNo.61 スバルBRZ R&D SPORTのその時点でのラップタイムの推移を見ると、約8秒という差はかなり決定的なもののように思えました。そんなところへ、GT300クラスの上位が43周目に入った周回の第1コーナーで1台のGT300車両が高速でコースアウトし、サンドトラップでも十分にスピードを落とせずにガードレールを乗り越えてしまうほどの大きなクラッシュが発生しました。幸いドライバーは無事でしたが、その処理のためにセーフティカーが導入されました。

このセーフティカー導入はNo.61 スバルBRZ R&D SPORTにとってはNo.55 ホンダCR-Z GTとの差を詰めるチャンスとなりました。そしてレースはGT300クラスの上位車両が50周目に入るところで再開。セーフティカーが導入されたタイミングの関係から、トップを行くNo.55 ホンダCR-Z GTと2位のNo.61 スバルBRZ R&D SPORTとの間には1台のポルシェ911 GT3Rが挟まる格好になっていましたが、BRZの第2スティントを担当した井口卓人はほどなくこれをかわし、2秒ほど前を走るNo.55 ホンダCR-Z GTを追撃しました。

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この2台のJAF-GT300車両の一騎討ちがレース後半のGT300クラスのハイライトとなりました。No.55 ホンダCR-Z GTが1分49秒001をマークすれば、No.61 スバルBRZ R&D SPORTは1分48秒446で迫ります。さらにNo.61 スバルBRZ R&D SPORTが1分47秒725を刻んで差を縮めにかかれば、No.55 ホンダCR-Z GTは1分47秒296を叩き出して振り切りにかかるというハイレベルの攻防です。

ハイブリッドマシンであるNo.55 ホンダCR-Z GTは要所要所でモーターアシストを駆使し、コーナーを全開で攻めることでタイムを切り詰めていくNo.61 スバルBRZ R&D SPORTに対するマージンをキープ。2台のバトルは10周にわたって続きましたが、約2秒の差は詰まり切ることなくついにチェッカーを迎えることに。No.55 ホンダCR-Z GTが今季初優勝をマークし、No.61 スバルBRZ R&D SPORTは2.257秒遅れの2位でフィニッシュという最終結果となりました。

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なお、GT300クラスでトータル60周を走行したのはNo.55 ホンダCR-Z GTとNo.61 スバルBRZ R&D SPORTのトップ2台のみ。今回のオートポリスでこの2台がいかにレベルの高い走りを見せていたかが如実に表れた格好でした。

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佐々木孝太 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「自分のスティントでタイヤがキツくなることは分かっていたことで、後ろを見つつ、タイヤを使う位置を変えつつ、なんとか乗り切りました。僕自身、久々にタイヤを上手にマネージメントできたように思います。ようやくミシュランタイヤを使い切ることができた、という思いです。

 今回は本当にいい戦いができました。最終結果では負けちゃいましたけど、スピード的には僕らも負けてはいなかったと思いますし、この先は僕らが強いコースが続くと思うので、ミシュランタイヤとBRZ GT300のコンビネーションはさらに力を発揮してくれると思います」

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井口卓人 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「ピットアウト後はアストンマーチンに引っかかってしまって思うような走りをさせてもらえませんでした。そしてセーフティカーが入ったときにはCR-Z(No.55 ホンダCR-Z GT)との間にポルシェが入ってしまいました。相手は譲ってくれるのですが、立ち上がり加速の差でなかなか抜けませんでした(苦笑)。そこでついた2秒差が最後まで響いた気はします。

 でも、セーフティカーが退いた後の自分は全力でプッシュしました。それができたのは、セーフティカーランの間にタイヤを温存できたこともあるとは思いますが、後半スティント用に選んだミディアムハードのミシュランタイヤが最後までいい仕事をしてくれたからだと思います。

 今回優勝したCR-Zのレースは素晴らしかったと思います。自分(井口)との差を見ながら、追いつかれたら少し引き離して......と完璧にレースをコントロールしていました。また、コース上だけでなく、すべての局面において彼らは完璧だったと思います。ですから、次回はそれを僕らがやって、結果を出すつもりです」

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「最終的に2秒の差でライバルに追いつけなかったことは残念ですが、今回の2位は我々の目指す戦い方をした上で獲得できたものなので、非常に意義あるものだと思います。具体的には、スティント後半でのタイムの落ち込みを防いで、狙ったタイムを出し続けるという今年の課題をかなりのレベルで達成することができたと評価しています」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:今回のレースでNo.61 スバルBRZ R&D SPORTが使用したタイヤについて教えてください。

「予選と決勝の第1スティントを走ったタイヤはミディアムコンパウンドです。第2スティントはそれに比べて少し耐久性が高いもの。"ミディアムハード"と言えば良いと思います」

Q:今回は第1スティントで柔らかめのタイヤを使いながら佐々木選手がそのスティントの最後まで良好なペースを保って走り抜いたことがひとつの大きな成果だったのではないでしょうか?

「そうですね。今までですと、タイヤを持たせることができずに第1スティントが若干短くなってしまい、結果的に長くなってしまった第2スティントではデグラデーション(タイヤの摩耗による性能低下)で順位を落とす......というケースが何度もありました。それが今回は、両方のスティントでタイヤをきちんと使い切ってくれた。これによって得られたのが今回の結果だと思います」

Q:それはチームが目指している"強いBRZ"の戦い方ですか?

「佐々木選手が第1スティント中盤の時点でタイヤの摩耗を訴えていたときに、チームが冷静にタイムの推移を見て、そのまま走り続けさせる指示を出し、佐々木選手もそれに応えて最後まで担当スティントを走り切った。これぞ"強い闘い方"だと言えます。

 レースのタイム推移から見れば、今回のレースにおけるライバルは55号車(No.55 ホンダCR-Z GT)だけだったことが分かります。3位以降は28秒以上引き離している状況でしたから、悪くても2位。もちろん走る上では1位を狙うのは当然ですが、この"悪くても2位"を今回きっちり取ったことが、強いチームになれた証だと思います」