【GT300】

2014年9月 1日

予想外の苦戦を余儀なくされるもスバルBRZ R&D SPORTは粘り強く9位完走、貴重なポイントを手に

2014 AUTOBACS SUPER GT第6戦

第43回 インターナショナル 鈴鹿1000km

8月31日(日) 決勝レース
鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市):全長5.807km
入場者数:予選日 25,000人/決勝日 36,000人(主催者発表)
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通常のシリーズ戦の3倍を超えるレース距離で争われたSUPER GT第6戦鈴鹿1000kmの決勝レースが開催され、GT300クラスで唯一ミシュランタイヤを使用するR&DスポーツのNo.61 スバルBRZ R&D SPORTは同クラスのセカンドロウからスタートしましたが、見込んでいたほどのペースで走行することができず苦しい戦いを余儀なくされました。それでも佐々木孝太と井口卓人のコンビは、何台もの車両がトラブルやアクシデントに見舞われて戦列を去っていった長丁場のレースを粘り強く戦い抜き、最終的には9位でフィニッシュ。貴重な3ポイントを獲得しました。

■決勝レース

夏休みの最後を飾る鈴鹿1000kmの決勝レースは晴天のもと定刻の12時15分にスタート。気温は29℃、路面温度は40℃というコンディションでした。前日の公式予選で4位となり、GT300クラスのセカンドロウから出ることになったNo.61 スバルBRZ R&D SPORTのスタートドライバーの役は佐々木孝太が務めました。

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パワーではライバルに劣るところをコーナリングスピードの高さで補って勝負しているBRZ GT300の持ち味を生かすため、佐々木としてはスタート直後からできるだけ"自分のスペース"を確保して走りたいところでした。しかし実際には、No.61 スバルBRZ R&D SPORTはローリングスタートからの加速〜第1コーナーへの進入で1台の車両に先行されると、その後も自分の後方に連なっていたFIA-GT3車両の集団に飲み込まれる形に。得意のコーナーでは前方が詰まり、その後のストレートでは後続車にかわされるという悪循環となって、スタートから18周を過ぎた頃には8位にまでポジションを落としていました。

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チームではNo.61 スバルBRZ R&D SPORTにはアベレージで2分3秒台から4秒台のラップタイムで周回させることを想定していましたが、集団の中でもがく格好になった同車の実際のペースはそれより遅く、チームとの無線でのやり取りの結果、佐々木は19周目を終えたところでピットイン。燃料補給と全輪のタイヤ交換を行い、井口卓人に交替して戦列に復帰しました。

真っ先に1回目のルーティンストップを行ったことからトップから1周遅れの22位につけることになったNo.61 スバルBRZ R&D SPORTでしたが、目論見どおり前にスペースを確保。自由なライン取りによるハイペースでの追い上げが可能な状態となったはずでした。ところが実際にはペースが思うように上がりません。使用するタイヤのコンパウンドを第1スティントでのミディアムハードからこの第2スティントではミディアムへと1ランク柔らかめのものに変更したのですが、それでもフロントタイヤの温まりが遅く、フロントタイヤが十分に温まると今度は「これ以上ペースを上げるとリアタイヤを最後まで持たせられない!」という悲痛な報告がドライバーからチームに入ることになりました。

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ラップタイムの上限は2分4秒台とし、井口はタイヤのライフをできるだけ伸ばすドライビングに徹さざるを得ませんでした。そして47周目を終えたところで2度目のピットストップを実施。その後、75周目終了時点、106周目終了時点とルーティンストップをこなしながら、No.61 スバルBRZ R&D SPORTはポイント獲得圏内を走り続けました。

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ただし、No.61 スバルBRZ R&D SPORTはもうひとつ、燃費という問題を抱えていました。エンジン回転数を相対的に低く抑えられる大排気量エンジンのFIA-GT3車両や、電気モーターのアシストがあるハイブリッド車両のライバル勢が軒並み4回ストップ・5スティントの戦略を採ることができたのに対して、小排気量の2ℓターボエンジンゆえに常に高回転まで回してパワーを絞り出させていく使い方になるBRZ GT300は小刻みな給油のためにピットストップが1回多くなり、5回ストップ・6スティント戦略で行かざるを得なかったのです。

結局、最後となる5回目のピットストップを終えて戦列に戻ったとき、No.61 スバルBRZ R&D SPORTのポジションは10位となっていました。その後、2位を走行していたNo.55 ホンダCR-Z GTがレース終盤に来てトラブルに襲われて脱落したことにより、No.61 BRZは9位に浮上。そのポジションをキープし、トップから2周遅れの158周を走ってレースを終えました。

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No.61 スバルBRZ R&D SPORTとしては不本意な内容の一戦となりましたが、それでも同車は3ポイント(9位に通常与えられる2ポイント+ボーナスポイントの1ポイント)を獲得。前戦終了時からひとつ順位を下げたランキング4位で、次なる第7戦タイ(ブリラム・ユナイテッド・インターナショナルサーキット/10月5日決勝)に臨みます。

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佐々木孝太 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「自分たちが持っている武器のポテンシャルを引き出し切れなかった。それが今回のレースを終えての率直な感想です。タイヤはとてもポテンシャルが高かったです。しかし、それを僕らは使いこなすことができませんでした。正直に言うと、公式練習のときからクルマのバランスはあまり良くありませんでした。それを直し切れなかったところがダメだったんです。もっと徹底的にこだわって、最後の最後までセッティングを詰めなくてはいけなかったんだと思います。

 もはや残り2戦を両方勝つつもりでやらなければタイトルは見えてきません。今回できなかったことをやり尽せるよう頑張りたいと思います」

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井口卓人 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「我慢のレースでした。僕も孝太さんも、ドライバーとしてはやれるかぎりのことをやったと思っています。それでもペースを上げることができなかった。2回目以降のスティントではトラフィックに引っかからない状況も作れました。しかしタイヤマネージメントを考えると、最初から全開で飛ばしていくことはどうしてもできませんでした。

 今回は何としても勝ちたかった。なのにこういう結果に終わってしまって、応援してくださった皆さんには申し訳ない気持ちです。それでもポイントが取れたことをポジティブに捉えて次に進んでいきたいと思います」

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「今回のレース内容については、正直、『なんで?』という感じです。ラップタイムが常に想定よりも下回る結果となってしまいました。もちろんきちんと回答を出すつもりですが、レース直後の現時点ではその原因がよく分からない。最初はコースのトラフィックが原因だと思っていました。しかし、スペースを確保してもタイムを上げていけず、状況は変わりませんでした。優勝した去年の鈴鹿1000kmとはまったく違うレースになってしまいました。

 シリーズも残すところあと2戦になりました。もうこれは"やるしかない!"と思っています」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:今回のNo.61 スバルBRZ R&D SPORTのレース内容についての評価を聞かせて下さい。

「第1スティントはトラフィックを嫌ったため短くなったのですが、それ以降は予想よりもタイヤを持たせることができませんでした。具体的には、タイヤにブリスターができてしまう状況でした。これを避けるために、もう少し車両のバランスを改善したいというところをチームと話し合っています」

Q:今回のタイヤ選択について教えて下さい。

「第1スティントではミディアムハードコンパウンドを使いました。それ以降はミディアムコンパウンドです。スタート時点で気温が29℃、路面温度が40℃で、ピークである午後2時ごろまでこのレベルで続きました。最終的には気温が26℃、路面温度は31℃にまで下がったのですが、この時期の数値としては想定できるもので、路面温度が低すぎたということはありません」

Q:さらにハードな方向のタイヤであったならブリスターを防ぐことができたのではないでしょうか?

「そのようなタイヤを使っていたなら、ラップタイムのアベレージがもっと落ちてしまっていたと思います。現状では予選などの状況では良いタイムを出せているのですから、ロングランにおいてもそのスピードを維持するように用意していくのがセオリーだと考えます。ドライバーも『決勝でも予選での速さを発揮できるようにセッティングをもっと煮詰めたい』と言ってきてくれていますので、我々としても協力して実現していきたいと思っています」