【GT300】

2014年10月 4日

灼熱のタイ大会が開幕! 特別開催の練習走行ではミシュランタイヤ装着車がトップ2を独占!

2014 AUTOBACS SUPER GT第7戦

BURIRAM UNITED SUPER GT RACE

10月3日(金) 練習走行
チャン・インターナショナル・サーキット(タイ):全長4.554km
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昨年までマレーシアで催されてきたSUPER GT唯一の海外ラウンドの舞台が変わり、今年はタイでの開催となりました。そして今回は特別に2時間の練習走行がレースウィークの金曜日に実施され、地元チームであるi-mobile-AASから出場のNo.99 ポルシェ911 GT3R(V.インタラプバサク/A.インペラトーリ)が最速タイムを記録。これに続く2番手タイムをNo.61 スバルBRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人)が刻み、ミシュランタイヤ装着車がトップ2を独占することに。GT500クラスのトップタイムもミシュランユーザーのNo.46 S Road MOLA GT-Rが記録しており、SUPER GT初開催となったタイのレースウィーク初日はミシュランタイヤがそのパフォーマンスの高さを見せつけるような展開となりました。

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今大会が行われるチャン・インターナショナル・サーキット(※当初は「ブリラム・ユナイテッド・インターナショナル・サーキット」と称していましたが、先頃変更されて現在の名称となりました)は完成したばかりで、今回のSUPER GTが初めての開催レースとなります。全長は4.554㎞でコーナー数は12。メインストレートの他にも2本の長いストレートを持ちます。ただし、第5コーナー以降のインフィールドでは左、右とコーナーが連続し、入力方向が繰り返し変わりながらタイヤに絶えず大きな負荷がかかるレイアウトで、さらには複合コーナーもあるため、「本当のところは走ってみるまで分からない」というのが各エントラントの見方でした。

■練習走行

10月3日(金)の午後3時から2時間の練習走行がスタート。天候は晴れ、気温は34℃、路面温度は54℃と灼熱のコンディションでした。

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何しろこれが同サーキットでの初めての走行となることから、各車はいつにも増して慎重にセッションを開始。路面状況や車両の状態を確認し、コースインしたその周のうちに再びピットに入って調整を行う車両が多く見受けられました。

このセッション序盤においてNo.11 メルセデス・ベンツSLS AGM GT3がひとつの指標となる1分39秒145を出し、このタイムがしばらくタイミングモニターのトップに位置し続けました。一方、GT300クラスで唯一ミシュランタイヤを使用してシリーズ参戦しているR&DスポーツのNo.61 スバルBRZ R&D SPORTには佐々木孝太が乗り込んでおり、各種確認作業をじっくりと進めていました。

そしてセッション開始から20分が過ぎた頃、No.61 スバルBRZ R&D SPORTは新品タイヤに履き替えてタイムアタックモードに入っていきました。早速1分38秒528という頭ひとつ飛び抜けたラップタイムを刻んで一番時計を更新すると、ほどなくして1分37秒615をマークし、さらには1分37秒186へとタイムを詰めていきます。この時点で2位につけていた車両に対して1秒以上も速い圧倒的なトップタイムでした。

しかし、セッション開始から1時間が過ぎたところでSUPER GTレギュラー参戦勢を驚かせる事態が起こります。ミシュランタイヤを履いて地元タイから今回スポット参戦してきたNo.99 ポルシェ911 GT3Rが、主に日本のレースでの活躍が知られるアレキサンドレ・インペラトーリによってNo.61 スバルBRZ R&D SPORTを上回る1分37秒099をマークしてタイミングモニターのトップに躍り出てきたのです。No.99 ポルシェはまだまだアタックを続け、最終的には1分35秒052にまでタイムを縮めてみせたのでした。

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その頃、No.61 スバルBRZ R&D SPORTは井口卓人のドライビングによって連続周回を行って様々な確認を行っていました。そして再び佐々木孝太に交替。コースに出て車両の状態を確認するとすぐにピットに戻ってセッティング調整を行うという作業を繰り返していました。

その後、多くの車両が周回を重ねたことで新しい路面の上に各車のタイヤのラバーが乗っていき、次第に路面が出来上がっていきました。すると、No.3 日産GT-R GT3やNo.86 ランボルギーニ・ガヤルドGT3などが続々と1分35秒台へとラップタイムを入れていきました。

そしてセッションの終盤に来たところでNo.61 スバルBRZ R&D SPORTが満を持して新品タイヤを装着してコースに出ていきました。佐々木孝太がタイムアタックを行い、1分35秒263という自己ベストを記録。ただし、No.99 ポルシェのタイムには届きませんでした。

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この結果、チャン・インターナショナル・サーキット初の走行セッションではスポット参戦のNo.99 ポルシェ911 GT3Rが堂々のトップ。2位にNo.61 スバルBRZ R&D SPORTが続き、今大会のGT300クラスに出場する2台のミシュランタイヤ装着車がトップ2を占めるという結果となりました。

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佐々木孝太 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「コースはすぐに覚えることができるので、多くの時間はセットアップに費やしました。と言っても、このコース用にセッティングを出すというのではなく、前戦の鈴鹿でダメだった部分の改善がテーマでした。ダメだったところを、今回ここに持ち込んだ状態でどこまで直せているのか。それを路面が出来上がるのを待ちながら確かめた、という感じです。

 今日の練習走行で僕らは早い段階でロングランのテストを行って、そこである程度のタイムも出ました。その後はマシンの状態を良くするために走り続けて、そして最後にニュータイヤを履いたら今回の自己ベストが出た、という流れです。トップタイム狙いでしゃかりきにアタックしたのではないんです。あくまで決勝レースを速いラップタイムでコンスタントに走るためのセッティング出しを行った結果なんです」

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井口卓人 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「今回は僕がロングランを担当しました。ここは新しいサーキットで、路面はまだ出来上がっていない上にダストも多かったので、グリップ感がとても低かった。ですから、コースを覚えながらタイヤの様子をつかんでいくという感じでした。

 そんな中でも2番手のタイムを出せたのは、タイヤのパフォーマンスがこのコースに合っているからだと思います。ミシュランタイヤは転がり抵抗が低いので、スピードが伸びやすい。タイヤからもちょっとした加速を得られる、という感じで、そもそもの加速力でハンデがある僕らのBRZにとってはそれがすごく大きいですね。それに、ライバルに比べてインフィールドでもアクセルを踏んでいけていて、そのアドバンテージも大きいと感じています」

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「序盤にランボルギーニとの接触がありました。横から当たって、リアセクションを破損したのですが、その後の走りに影響はありませんでした。その後しばらくピットに入っていましたが、それは故障を直すためではなく、ちょうどそのときにリアサスペンションのセッティングも変更しようということになったからです。

 今回は、いつものようにセッティングを研ぎ澄ますという感じではありません。路面もかなり汚れていたので、今の段階でセッティングを煮詰めてもあまり意味がないからです。ですから、まずはドライバーふたりがコースに慣れ、そしてロングランにおけるデータを集めることに集中しました」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:今回のチャン・インターナショナル・サーキットに対する評価を聞かせてください。

「まだ分かりません(苦笑)。本当にまだこれからですよ。マシンが走れば走るほど路面にはラバーが乗っていき、当然グリップ力が上がっていきますから、明日の午前の公式練習を終えた段階でも現時点とはずいぶんと状況が変わってくると思います。

 ただ、ライン上のグリップ力が上がるということは、それ以外の部分とのギャップが広がるということでもあります。ラップタイムが上がっていくことと引き換えに、よりシビアな状況になっていくものと思っています」

Q:このサーキットでは公式テストもプライベートテストも行われておらず、どのチームも今日初めてここを走った、という状況でした。まったくデータがないサーキットに対して、それに合わせたタイヤをどのようにして用意されたのですか?

「距離やコーナーのRなど、コース図等から手に入り得る情報に基づいてコーナーの通過速度等を導き出し、タイヤにかかる負荷を想定して、用意すべきタイヤの仕様を決定していきました。

 今回はタイヤの持ち込みセット数が普段よりも2セット多くなっていて、ドライ9セット/レイン11セットとなっていますが、路面のμ(摩擦係数)だけは事前には分からないので、通常よりは対応レンジを"浅く広く"取らなければなりませんでした。そして今日の走りを見るかぎり、そう大きくは外れていないと感じました。

 ただし、タイヤについて一番的確な評価を行えるのは"路面が出来上がって、コースを把握したドライバーがアタックしたとき"なんです。その状況下で、タイヤにかかる負荷がどれくらいなのかという情報が一番欲しいところで、今日の段階ではそこにはまだまだ遠いです。このコースがどれだけタイヤに厳しいのかというのが分かるのはもっと先のことだと思います」

Q:今回スポット参戦し、今日の練習走行でトップタイムを出したNo.99 ポルシェ911 GT3Rが履くミシュランタイヤについて教えてください。

「彼らはそもそもはGTアジアシリーズに出場しているチームで、今回SUPER GTにゲストエントラントとして選ばれて出場してきました。タイヤは、 WEC(FIA世界耐久選手権)など他のレースでも使われているポルシェ911 GT3R用のスリックを履いています。

 ただ、今日彼らがトップタイムを出したことについては何ら不思議なことはありません。インペラトーリは優れたドライバーですし、マシンもウェイトハンディがなくてベースが完成されたポルシェ。そこにきて、誰もが走ったことのないサーキットであることや、まだコースコンディションが整っていないという条件が噛み合った結果だと思います。それにしても、SUPER GT用に開発したわけではないタイヤでも非常に良い仕事をしたとは言えると思います。それもまた、ミシュランのレーシングタイヤであることに変わりありませんから、とても誇らしく思います」