【GT300】

2014年10月 5日

地元タイからスポット参戦のi-mobile-AASポルシェ911 GT3Rがポールポジション! スバルBRZ R&D SPORTは2番手タイムを記録する

2014 AUTOBACS SUPER GT第7戦

BURIRAM UNITED SUPER GT RACE

10月4日(土) 公式予選
チャン・インターナショナル・サーキット(タイ):全長4.554km
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今シーズンのSUPER GTで唯一の海外ラウンドとなる第7戦タイの公式予選が行われ、地元タイのチームでミシュランタイヤを使用するi-mobile-AASのNo.99 ポルシェ911 GT3R(V.インタラプバサク/A.インペラトーリ)が前日の練習走行に続いてトップタイムをマーク。スポット参戦ながらも堂々のポールポジションを獲得しました。

一方、GT300クラスにシリーズ参戦する唯一ミシュランユーザーであるNo.61 スバルBRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人)は、Q1(予選第1セッション)を4位で通過し、Q2(予選第2セッション)では2番手タイムを記録しましたが、予選後の再車検において左フロントタイヤ後方のフロアパネルが何らかの原因により規定の車高を下回る位置にまで下がっていたことが判明。同車の予選タイムはすべて抹消となり、明日の決勝レースは最後尾からスタートすることとなりました。

■公式練習

今回がSUPER GT初開催のサーキットということで前日には2時間の練習走行が特別に行われましたが、予選日の午前にはいつもどおり公式練習のセッションが2時間にわたって実施されました。

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前日の段階では、新舗装の路面はまだまだ"出来上がって"おらず、グリップレベルが低く滑りやすい状態であったことから、タイヤ(特にフロント)の摩耗が激しい傾向にありました。その中でNo.61 スバルBRZ R&D SPORTは練習走行で2番手のタイムをマーク。ライバルより高いレベルのグリップを確保できていることを示していましたが、この土曜日の公式練習ではそのグリップレベルをどれくらい長く保つことができるかをテーマに、決勝レースにおけるロングランを想定したセッティングメニューがこなされました。

そのNo.61 スバルBRZ R&D SPORTにはまず佐々木孝太が乗り込んで走行を開始。セッション開始から10分の段階で1分37秒110を記録してタイミングモニターのトップにその名を位置させました。そして、セッションが2度の赤旗によって中断されながらも、No.61 スバルBRZ R&D SPORTは43周を周回。前日の練習走行で刻んだ自己ベスト1分35秒263を1秒近く上回る1分34秒300を記録し、2位につけてこのセッションを終えました。

そしてこのセッションにおけるトップタイムは前日の練習走行に続いてNo.99 ポルシェ911 GT3Rがマーク。またもミシュランタイヤ装着車2台がトップ2を占める結果となりました。

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なお、GT300クラスのほとんどの出場車両がこのセッションでは1分35秒台に入れ、そのうちトップ4は1分34秒台を記録。路面の出来上がりにリニアに対応していくことができるSUPER GTのドライバーとマシンのレベルの高さを垣間見ることができるセッションとなりました。

■Q1(予選第1セッション)

この日もチャン・インターナショナル・サーキットは快晴の空模様。気温34℃、路面温度40℃というコンディションでQ1が実施されました。

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まず好タイムを記録したのは今大会における台風の目となりそうな地元チームのミシュランユーザー、No.99 ポルシェ911 GT3Rでした。タイ人のポルシェ使いであるブティコン・インタラプバサクが1分37秒台を出してひとまずトップへ。そして他の車両もタイムアタックを本格化させていきました。

そんな中、ポイントリーダーとして今大会を迎えたNo.0 BMW Z4 GT3がコースオフ。その一方で同じマシンを使うNo.60 BMW Z4 GT3が1分36秒台へとタイムを入れてトップに浮上していきました。

このNo.60 BMW Z4 GT3のタイムを上回る1分36秒509を記録してきたのが、井口卓人がこのセッションを担当したNo.61 スバルBRZ R&D SPORTでした。しかし、すぐにNo.99 ポルシェ911 GT3R、そしてNo.50 アストンマーチン・ヴァンテージV12 GT3がBRZを上回るタイムをマークしていきます。ただし、午前の公式練習に比べると全体的なタイムの伸びは鈍いものがありました。

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それでもやがて1分35秒台へとタイムを入れてくる車両が現れました。それがランキング3位につけるNo.7 BMW Z4 GT3でしたが、ほどなくして井口が乗るNo.61 スバルBRZ R&D SPORTが1分35秒175をマークして再びトップに。このQ1ではQ2に進出できる13位までのタイムを出すことができれば良いのであり、R&DスポーツはBRZのQ1におけるタイムアタックを終了させることに。その後、3台に上回られはしましたが、No.61 スバルBRZ R&D SPORTは決勝レースに向けたタイヤの温存を十分に果たしながら4位でQ1を突破しました。

なお、最終的にこのQ1におけるトップとなったのは、セッションの前半では鳴りを潜めていたNo.55 ホンダCR-Z GTで、1分34秒807を記録。2位はNo.10 メルセデスベンツSLS AMG GT3で、この2台が1分34秒台突入を果たしました。一方、セッション序盤で上位を占めたBMW Z4 GT3勢はその後タイムが伸びず、1分35秒686を記録して12位につけたNo.4 BMW Z4 GT3が最上位でした。

■Q2(予選第2セッション)

午後5時40分から行われたGT300クラスのQ2ですが、気温は34℃と変わらないものの、路面温度は49℃にまで上昇していました。

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Q1を突破した13台が出走したこの12分間のセッションでは、ミシュランタイヤを装着する今回スポット参戦のNo.99 ポルシェ911 GT3Rが序盤から1分34秒台の好タイムをマークしてきました。同車は地元タイのチームであるi-mobile-AASからの出場ですが、このQ2を担当したドライバーは以前フォーミュラ・ニッポンやSUPER GTのGT300クラスにシリーズ参戦した経験を持つスイス人のアレキサンドレ・インペラトーリでした。

その後もNo.99 ポルシェ911 GT3Rは意欲的なアタックを続け、やがて1分33秒507という素晴らしいタイムを叩き出します。同車が履いたミシュランタイヤはWEC(FIA世界耐久選手権)など他のレースでも使われているポルシェ911 GT3R用のスリックであり、それでもSUPER GT用の開発タイヤを履く各車を上回るスピードを発揮してみせたことで、ミシュランタイヤの地力の高さを図らずも示す格好になりました。

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一方、ミシュランタイヤを履いてGT300クラスに唯一シリーズ参戦しているNo.61 スバルBRZ R&D SPORTにはこのセッションでは佐々木孝太が乗り込み、計測周回3周目には1分34秒510をマーク。佐々木はポールポジション獲得を狙ってさらにアタックを続け、1分34秒207にまでタイムを縮めましたが、No.99 ポルシェ911 GT3Rには届きません。

同じくポールポジションを狙っていたNo.3 日産GT-R NISMO GT3は最後のアタックで失敗したのを機にピットへ引き上げてしまいました。しかし、No.61 スバルBRZ R&D SPORTと佐々木孝太は諦めませんでした。コースの端に溜まった砂ぼこりを巻き上げながら渾身のアタックを行い、ついに1分34秒を切る1分33秒888をマーク。佐々木はさらなるタイム短縮を狙って走り続けましたが、ハードなアタックのすえにコースから4輪とも脱輪させることとなり(その周回のタイムは抹消となるペナルティが科せられます)、これで佐々木はアタックを打ち切りました。

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この結果、今大会のGT300クラスは地元チームからスポット参戦のNo.99 ポルシェ911 GT3Rが金曜日の練習走行、土曜日の公式練習、そして公式予選という3セッションすべてでトップタイムを記録してポールポジションを獲得するという快挙を達成。2番手となるタイムをNo.61 スバルBRZ R&D SPORTが記録し、タイプの異なるミシュランタイヤを装着する2台が明らかに優勢なスピードを示す結果となりました。

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ただし、公式予選後の再車検の結果、No.61 スバルBRZ R&D SPORTは悪夢のような事態に直面することとなりました。左フロントタイヤ後方のフロアパネルが規定の車高を下回る位置まで落ちていたことが発見され、同車にはQ1およびQ2のタイムをすべて抹消するというペナルティが科せられたのです。これによりNo.61 スバルBRZ R&D SPORTは明日の決勝レースを最後尾からスタートすることになりました。

※下記のドライバーのコメントは予選タイム抹消の裁定が下る前の予選終了時点で収録したものです。

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井口卓人 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「僕が担当したQ1では、今回のレースウィークで自分としては初めてニュータイヤを履いたという状況であったことや、決勝のためにタイヤを温存したいと考えていたことなどがあり、目論見よりもタイムを出すのに時間がかかってしまったのは反省点です。ただ、ピットに戻ってからそのことをチームに伝えたことにより、Q2で孝太さんが素晴らしいタイムを出すことができたのはとても良かったと思っています」

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佐々木孝太 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「今回、金曜日から走ってきたおかげでクルマはかなり煮詰まりました。最終的には、自分もポールポジションを獲るつもりでQ2を走ることができ、それが実際の好タイムになって現れたのだと思います。また、ミシュランが素早くタイヤをウォームアップできる内圧を適切に導き出してくれました。練習走行のときには、わざとタイヤを日なたに置かないといった工夫をして、冷間の状態から走らせるということもテストしていたんですけれどね。ともかく、あらゆる状況を想定し、ベストな走りをしようと心掛けた結果が、今回の1分33秒888という予選タイムにつながったのだと思います」

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「今回の予選タイム抹消の裁定に関しては、残念としか言いようがありません。どこの時点でフロアパネルが下がってしまったのかは、正直、分かりません。昨日の練習走行で他車と接触した後遺症なのか、どこかで縁石に乗ったときにそうなってしまったのか......。

 その結果はともかく、記録することができたラップタイムそのものは非常に良いと思います。ミシュランタイヤの優れた特性をBRZが引き出せるようになってきました。前戦の鈴鹿1000km以降、細かく修整してきたことが結果として現れたように思っています」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:今回のGT300クラスの予選タイムのトップ2はミシュランタイヤ装着車が記録し、その2台だけが1分33秒台に入るという結果になりましたが?

「No.61 スバルBRZ R&D SPORTに関しては、シーズンを通して積み重ねてきているものがあるので、ここが未知のコースとは言っても、この結果はある程度予測することができました。金曜日の練習走行の段階からすでにその感触はあり、予選でも順調に走らせることができるだろうと感じていました。

 一方、No.99 ポルシェ911 GT3Rについてですが、彼らが使用しているのはWEC(FIA世界耐久選手権)など他のレースでも使われているポルシェ911 GT3R用のスリックで我々は直接は関わっておらず、『これがBRZに対して速いのか遅いか?』といったことは判断できません。タイヤが走りにどう影響したのかということも分析を行っていません」

Q:とはいえ、WECなどで使用されているミシュランタイヤがSUPER GTでも良好なパフォーマンスを示したということは言えるかと思いますが?

「そうですね。タイヤ自体はWECをはじめとした耐久レース用のものの中からこのタイの温度レンジに合わせて持ってきただけなのですが、よりスプリント傾向の強いSUPER GTにおいてもポテンシャルは悪くないということが確認できました。また、このタイヤはそもそもはSUPER GTよりも長いスティントのレースで使われるものなので、明日の決勝レースでも耐久性に関してはかなり良い性能が期待できると思います。それは昨日の練習走行の時点でも確認できました」

Q:今回No.61 スバルBRZ R&D SPORTのタイムの出方がQ1とQ2で状況がかなり違っていたように見受けられました。それはなぜだったのでしょう?

「Q1を終えてQ2を迎えたところでいよいよ路面が出来上がったのかな、という感じで、正確なことは我々にもまだ分析できていません。基本的には、多くの車両による走行が重ねられるほど路面状況は良くなります。ただ、2時間の走行セッションを2回行って迎えたQ1の段階でQ2並みのタイムが出ていても良かったと思うのですが、そうはなりませんでした。Q1とQ2の間にGT500のQ1がありましたが、それが路面状況を大幅に変えたということはないと思います」