【GT300】

2014年11月16日

苦難の2014年最終章。スバルBRZ R&D SPORT、シリーズ最終戦を17位で終える

2014 AUTOBACS SUPER GT第8戦(最終戦)

MOTEGI GT 250km RACE
11月16日(日) 決勝レース
ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡):全長4.801379km
入場者数:予選日15,500人/決勝日32,000人(主催者発表)
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晩秋のツインリンクもてぎでSUPER GT最終戦の決勝レースが行われ、GT300クラスにおいてミシュランタイヤを唯一使用するR&DスポーツのNo.61 スバルBRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人)は不振に終わった前日の公式予選からセッティングを大きく変更して出場。シーズン中に見せてきた速さを取り戻すことはかなわなかったものの、最後まで粘り強く走り続けて17位でフィニッシュし、2014年シーズンの全レースを戦い終えました。

■フリー走行

前日の公式予選を19位という結果で終えたことを踏まえ、No.61 スバルBRZ R&D SPORTを走らせるR&Dスポーツはそれまでとはまったく違ったセッティングで決勝に臨むことを決断。そしてレースに先立って行われるフリー走行において新しいセッティングをトライしました。

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このセッションでNo.61 スバルBRZ R&D SPORTにまず乗り込んだのは井口卓人でした。開始から数分というところで1台の車両がコース上でストップしたためにセッションは一時中断となりましたが、走行が再開されると井口は新しいセッティングがミシュランタイヤの本来の性能をどこまで引き出せるのか懸命に探り、セッティングのバリエーションを数種類テストしていきました。その後、ステアリングは佐々木孝太に引き継がれ、さらなるセッティングのトライが行われていきました。そしてあっという間に30分間のフリー走行は終了。このセッションにおけるNo.61 スバルBRZ R&D SPORTのベストタイムは井口の走行時に記録された1分52秒078でした。

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「昨日までに比べてダウンフォースの量を大幅に増やしました。井口からは『フロントのグリップをかなり回復することができた』というコメントを得ています。しかし、リアの方はまだまだ足りず、コーナーの立ち上がりでトラクションをかけていくときにどうしても滑ってしまう状態で、その解消に時間を費やしました。このセッションにおけるベストタイムは昨日の予選より2秒以上遅いですが、それはユーズドタイヤを使ったことが大きな理由です」

■決勝レース

11月16日(日)午後1時、SUPER GTのいつものレースより1時間早く熱戦の火蓋が切って落とされました。これは11月の寒さと日照時間の短さを考慮しての措置。なお、スタート時の気温は17℃、路面温度は23℃でした。

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1年前のこのレースではポールポジションを奪っているNo.61 スバルBRZ R&D SPORTでしたが、今回はクラス10列目・19番手グリッドという後方からレースを開始。その前半スティントは井口卓人が担当しました。小排気量エンジンゆえにスタートダッシュで劣ることが響いてふたつ順位を落としましたが、その後は集団の激しい争いの中で確実な走りを続けながらじりじりとポジションアップ。16周目には16位にまで浮上していきました。しかし、その先はなかなかペースを上げられない状態となり、レースの折り返しより幾分手前の22周目を終えたところでピットイン。給油、全輪のタイヤ交換、そしてドライバー交替を実施しました。

後半スティントを担当した佐々木孝太も、持てるかぎりのテクニックを駆使してNo.61 スバルBRZ R&D SPORTを駆り続けました。そして27周目には今大会における同車のベストタイムをマーク。それでも今回の上位陣より2秒近くも遅い1分52秒285にとどまりました。

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この週末を通じてセッティングの試行錯誤を続けたものの、No.61 スバルBRZ R&D SPORTはリアのトラクション不足を最後まで解消できませんでした。それでも佐々木孝太は前半スティントより6周も長くなった後半スティントを走り抜き、17位と不本意な順位ながらもBRZ GT300をフィニッシュへと導きました。

この最終戦の結果、佐々木孝太と井口卓人のふたりはGT300クラスのドライバーズランキング6位に。多くの課題を残しながらもNo.61 スバルBRZ R&D SPORTはミシュランタイヤを使用して2年目のシーズンを戦い終えました。

なお、今大会のGT300クラスではNo.11 メルセデス・ベンツSLS AMG GT3(平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム)がポールtoフィニッシュを達成。このレースに決定が持ち越されていたドライバーズチャンピオンはNo.4 BMW Z4 GT3の谷口信輝/片岡龍也のコンビが獲得しました。

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井口卓人 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「今回は一度も歯車が噛み合わなかったという感じです。普段のレースウィークではあり得ないくらいにセッティングを変更し、クルマを良い方向へ持っていこうとチーム一丸となって頑張ったのですが、"これ!"というものが見つかりませんでした。ミシュランタイヤの能力の高さは明らかですし、同じレースでもGT500クラスでは素晴らしい結果が出ています。ところが僕らは、こうして気温や路面温度が下がった中ではタイヤの性能をきちんと引き出すことができませんでした。来年もこの体制で戦えるのであれば、冬のテスト、開幕戦、そして最終戦といった寒い時期の走行でもきちんとタイヤを機能させられるようにしていかなければなりませんし、そのためにもシーズンを通してどのように戦っていくのかをチームとしてイメージできるようにしなければと思います。

 一年間、ご声援ありがとうございました」

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佐々木孝太 (No.61 スバルBRZ R&D SPORT/R&Dスポーツ)のコメント:

「今回は"戦える"という位置にいられなかったので残念で仕方ありません。もっともっとタイヤの能力を引き出したかった。シリーズチャンピオンを獲るためにはどんな時期でもタイヤのポテンシャルをフルに引き出せるクルマでなければいけないのだと痛感しています。

 今年はチームのエースドライバーという立場になって、新しい相棒を迎えて、そして順風満帆とは言えないまでも最終戦の手前まではチャンピオン争いを演じてきました。その点は良かったと思いますが、しかし、最後までしっかりとまとめられなかったというのは大きな反省です。もっともっと苦手なコースをイメージしてレースをしていかなければならなかった......まだまだですね。そうしたところも踏まえて来年も頑張れたら......と思っています」

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スバルテクニカインターナショナル(株) モータースポーツプロジェクト室 辰己英治氏のコメント:

「今回の条件においてタイヤの性能をきちんと引き出せるセットアップを見つけることができなかった。これに尽きると思います。我々の弱点は寒いときだということは明白です。しかし、そういう状況でもそれなりの結果を得られるところまで行かないとシリーズチャンピオンは狙えません。

 昨年は予選での速さが突出していましたが、今年は予選にこだわらず決勝でタイムが落ちない"強いBRZ"を作ろうという目標で臨みました。しかし、実際のところはどのレースでも強さを発揮できるところまでは行きませんでした。速さはあっても、攻めるとタイヤを傷めてしまう。そういう傾向が最後まで残ったと思います。

 ベストだったと思えるレースは、優勝できた第5戦の富士ではなく、第7戦のタイです。最後尾スタートとなったことによって思い切ることができ、タイヤの摩耗が非常に少ないセッティングを導き出すことができました。どのレースでもあのような状態を作り出せるようにすることが今後の目標です」

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日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明とのQ&A:

Q:今回のレースでNo.61 スバルBRZ R&D SPORTが使用したタイヤについて教えてください。

「スリックタイヤに関してはソフトとミディアムの2種類を持ち込み、レースでは、前半、後半のどちらのスティントにおいてもミディアムを使いました。今日のような20℃前後の路面温度は、我々が今回持ち込んだミディアムの対応レンジに収まっていたということです」

Q:No.61 スバルBRZ R&D SPORTの今回のレース、そして今シーズン全体をどのように評価しますか?

「今回は厳しい状況が続いたと思うのですが、それは必ず次へのヒントになると思います。今年は井口選手が新たに加入し、チームもこれまでとは違う感性を得たと思います。これを来季につなげて、新しいパッケージを仕上げてくれたら、さらに強いチームになれると思います。

 BRZ GT300と我々のパッケージは、たとえ雨が降っても、あるいは気温が高くなっても、その状態でコンディションが一定であるかぎりは非常に強いマシンだと思います。逆に言うと、条件の変化が大きいと対応し切れなくなるというのが実情でしょう。これは、チームと我々ミシュランが今後お互いに煮詰めていくべきポイントだと考えています。コンディションの変化がある中でも安定して高いパフォーマンスを出せるようになれば、間違いなくチャンピオン争いを最後まで繰り広げられる強さを発揮することができるはずです」