【レースレポート】

2015年8月31日

ミシュラン・パートナーチーム苦闘の鈴鹿1000km。S Road MOLA GT-Rが6位、MOTUL AUTECH GT-Rが7位に

2015年SUPER GTシリーズ第5戦 第44回インターナショナル鈴鹿1000km 決勝レース

  • ■8月30日(日)
  • ■鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市):全長5.807km
  • ■入場者数:予選日 26,000人/決勝日 36,000人(主催者発表)

  

1000kmのレース距離で争われる第5戦鈴鹿の決勝は、小雨混じりのウェットコンディションで始まり、やがて雨が上がってレース中盤以降は概ねドライコンディションでの開催となりました。その中でミシュラン・パートナーチームの2台は苦しいレース展開を余儀なくされることになりましたが、No.46 S Road MOLA GT-R(本山 哲/柳田真孝)は6位、No.1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は7位でのフィニッシュを果たし、それぞれ貴重なシリーズポイントを獲得しました。

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今シーズンのSUPER GT第5戦として行われた今大会「鈴鹿1000km」ですが、そもそもは1966年から毎年夏に鈴鹿サーキットで行われ、今回で44回目の開催を数えた日本屈指の伝統を誇る耐久レースです。また、300kmレースが大半であるSUPER GTシリーズ戦の中では突出した1000kmというレース距離で争われ、通常のシリーズポイントにエクストラポイントが上乗せされることから、シリーズを優勢に戦う上でも重要な一戦なのです。

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この伝統の鈴鹿1000kmにおける2台のミシュラン・パートナーチーム車両ですが、これまでに34ポイントを獲得してドライバーズポイントランキングで2位につけるNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rは燃料リストリクター装着+ハンデウェイト18kg搭載、同じく24ポイントを獲得してランキング5位につけるNo.46 S Road MOLA GT-Rは燃料リストリクターなし+ハンデウェイト48kg搭載という状態での出走でした。

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【決勝レース】 946.541km=5.807km×163周

(※レース終了の最大延長時刻に達したため、当初の予定より10周少ない周回数でチェッカーフラッグ提示・レース終了に)

[天候:雨〜曇り/コース:ウェット〜ドライ/気温:27℃/路面温度:28℃]

  

例年暑さへの対策が重要な要素のひとつとなるこの鈴鹿1000kmですが、今年は比較的涼しい中での開催となりました。そして、路面は濡れているものの雨はほとんど上がりかけているコンディションのもと、午後0時39分にレースがスタートしました。

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No.46 S Road MOLA GT-R

第1スティント:本山 哲→第2スティント:柳田真孝→第3スティント:本山→第4スティント:柳田→第5スティント:本山→第6スティント:柳田/6位(162周)

  

基本的にはウェットコンディション用であるものの、ある程度のドライコンディションでの使用にも対応した「ドライングタイヤ」を装着したNo.46 S Road MOLA GT-Rは本山 哲がスタートドライバーを担当。スタート位置と同じ4位をキープしてオープニングラップを終えました。

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ところが、No.46 S Road MOLA GT-Rはその後のレース序盤のうちに2度にわたって他車の接触を受け、その都度ポジションを落として11位にまで後退することになってしまいました。

  

その後、No.46 S Road MOLA GT-RはGT300車両の周回遅れが発生するトラフィックの中で順位を上げ下げしながら走行を続け、30周目を終えたところで最初のピットストップを実施。ここで標準的なウェットタイヤに換え、本山から柳田真孝に交替してコースに復帰しました。

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GT500クラスの各車両が1回目のピットストップを終えた時点で、柳田が新たに乗り込んだNo.46 S Road MOLA GT-Rは8位前後につけていました。雨脚は強まったり弱まったりを繰り返していましたが、コース上から水がなくなることはありませんでした。しかし、GT500クラスの上位グループが40周を走破する頃になると空が明るくなり、やがてコース上に日差しが入るようになってきました。

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そして52周目を走り終えたところでNo.46 S Road MOLA GT-Rはピットイン。ここで再びドライングタイヤを選択し、本山に交替してコースへと復帰します。ところが、その後急速に路面が乾いていき、ドライングタイヤでは厳しいコンディションになっていきました。そこでNo.46 S Road MOLA GT-Rは58周目を終えたところで再度ピットへ。タイヤをドライングからミディアムソフトのスリックに交換し、ドライバーは本山のままでピットアウトしました。

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この時点で路面は完全に乾き切ってはいませんでした。こうしたコンディションで格別に高いパフォーマンスを発揮するミシュランタイヤの威力を発揮し、No.46 S Road MOLA GT-Rは他車が2分02〜04秒台で走行する中を2分00秒を切るハイペースで疾走し追い上げていきました。

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その後、GT300車両のアクシデントやコース上のオイルの処理のために2度にわたってセーフティカーが導入され、No.46 S Road MOLA GT-Rは追い上げに水を差される格好になりました。それでも本山は89周目を終えてピットインするまでに6位にまでポジションアップ。ミディアムのスリックを履いてピットアウトした柳田も4〜6位あたりにつけて周回を重ねていきました。

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長丁場のレースも後半に入り、一時は青空も見えた鈴鹿サーキット上空の雲行きが再び怪しくなってきました。そんな中、No.46 S Road MOLA GT-Rは120周目を終えたところで5回目のピットストップを実施。ここでタイヤをミディアムからミディアムソフトに変更しましたが、次に139周目を終えたところで行った6回目のピットストップでは再びミディアムタイヤを選択。何とか追い上げを図ろうというチームの試行錯誤が見て取れました。

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このレースでNo.46 S Road MOLA GT-Rの最終スティントを担当した柳田は6位につけて周回を重ねていきました。すると、すでに5時間半近くにわたって行われてきたレースも残り10分となったところでまたも雨が降り出し、各車はヘッドライトを点灯させる状況になりました。濡れた路面がライトに照らし出されて幻想的とも言えるシーンが作り出されましたが、やがて大会特別規則で定められたレース終了の最大延長時刻である午後6時25分を迎えてチェッカーフラッグが提示され、レースは1000km=173周に達することなく、トップが163周をこなしたところで終了に。そしてNo.46 S Road MOLA GT-Rはトップから1周遅れの162周を走行しての6位でフィニッシュを迎えました。

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No.1 MOTUL AUTECH GT-R

第1スティント:ロニー・クインタレッリ→第2スティント:松田次生→第3スティント:クインタレッリ→第4スティント:松田→第5スティント:クインタレッリ/7位(162周)

  

ロニー・クインタレッリが乗り込んでポールポジションからスタートしたNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rでしたが、ここまでノーポイントでウェイトハンデを一切課せられていないNo.64 ホンダNSX-CONCEPT GTには先行を許し、レース序盤は2位につけて周回を重ねていきました。

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No.1 MOTUL AUTECH GT-RはNo.46 S Road MOLA GT-Rと同様にドライングタイヤを履いてスタートしていました。コースの場所によって路面の水量は異なっていましたが、レース序盤のうちはコース上から水がなくなることはなく、しかし減る一方であったことも確かでした。やがてNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rを含む上位陣のラップタイムは2分00秒を切るレベルに達します。そして32周目を終えたところでNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rはピットへ。第2スティントに向けて選んだのもドライングタイヤで、新たに松田次生が乗り込んで戦列に復帰していきました。

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ところが、そこで思わぬ事態が待ち受けていました。No.1 MOTUL AUTECH GT-Rが35周目に入るメインストレートを抜け、第1〜2コーナーにアプローチしたところで、目の前を走行していたGT300クラスの車両がスピン。No.1 MOTUL AUTECH GT-Rは松田の瞬時の回避操作によってGT300車両とのクラッシュは逃れましたが、やはりスピンを喫してグラベルのエスケープゾーンに飛び出してしまう形になったのでした。

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No.1 MOTUL AUTECH GT-Rは何とかコースに復帰したものの、これでトップからほぼ1周遅れとなってしまいました。しかしながら、気を取り直した松田のドライビングとミシュランのドライングタイヤのパフォーマンスによってトップランナーと同等以上のペースで周回を重ねます。そして60周目を終えたところでピットイン。ここへきて急速に乾いてきた路面に対応して新たにミディアムのスリックタイヤを履き、クインタレッリが乗り込んでピットを後にしました。

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その後、レースは2度にわたってセーフティカーが導入される混乱した展開となりましたが、No.1 MOTUL AUTECH GT-Rは8位前後にまで順位を回復していきました。そして99周目を終えたところで3回目、さらには135周目を終えたところで4回目のピットストップを実施。クインタレッリから松田、そして最後は再びクインタレッリがドライブしました。タイヤに関しては、レース後半におけるNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rは一貫してミディアムのスリックをチョイス。総合成績では1周多く周回している上位車両を抜き去る速さで走行し続け、最終的には162周を周回し7位でフィニッシュしました。

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MICHELIN_2015_SUPER GT_05_Suzuka_race_18.jpg本山 哲 (No.46 S Road MOLA GT-R/MOLA)のコメント:

「スタートでは"もう少しコンディションが良くなるだろう"と読んで硬めのレインタイヤ(※ドライングタイヤのこと)をチョイスしたのですが、思っていたよりもコース上の水の量が多くて苦戦してしまいました。それでも、少しコンディションが良くなってきた第1スティントの後半には硬めのレインタイヤが良いパフォーマンスを発揮してくれて、納得できるドライビングができたと思います。

今回は少しだけポイントを伸ばすことができて(※6ポイントを獲得して累計30ポイントに)、次の菅生でのレースではクルマが軽くなります(※今回は燃料リストリクターなし+ハンデウェイト48kg搭載だったのに対して、次戦は燃料リストリクター装着+ハンデウェイト10kg搭載状態での出走に)。パワー的にはきつくなるけど、車重が軽くなる分、コーナーでは速く走れるようになると思います。次の菅生でも頑張ります」

  

  

MICHELIN_2015_SUPER GT_05_Suzuka_race_19.jpg柳田真孝 (No.46 S Road MOLA GT-R/MOLA)のコメント:

「ウェットコンディションのもとでは、アクシデントもあったし、いろいろ厳しい戦いになりましたが、ドライでは良いパフォーマンスを発揮できていたと思います。レインではうまくクルマを合わせ込めなかったものが、ドライでは合わせ込めた、という感じでした。ドライでは最後までフィーリングは悪くなかったし、良いペースで走ることができました。今回は少しだけポイントも獲ることができて、次回からはクルマも軽くなることを考えれば、最低限の仕事はできたのかなと思います。でも、どんなコンディションでも合わせ込んで、もっともっとクルマを速くしていきたいですね」

  

  

MICHELIN_2015_SUPER GT_05_Suzuka_race_20.jpg松田次生 (No.1 MOTUL AUTECH GT-R/NISMO)のコメント:

「昨日とはコンディションが違っていて、結果的にはクルマを合わせ込むことができず、雨の中では苦しい戦いになってしまいました。でも今日は、僕のミスが大きかった。硬めのレインタイヤでグリップが出る前だったけど、目の前でスピンしたGT300のマシンを避け切れずにスピンしてしまいました。ドライでは良いペースで走れましたが、セーフティカーのタイミング、特に2回目のセーフティカーが自分たちには不利に働いてしまいました。でも、今日は全般的に少しスピードが足りなかったので、いろいろなロスがなくても3位が精一杯だったかもしれないですね。

これでシーズンも残り3戦になりました。最終戦のもてぎでチャンピオン争いができるよう、次の菅生とオートポリスで頑張ります」

  

  

MICHELIN_2015_SUPER GT_05_Suzuka_race_21.jpgロニー・クインタレッリ (No.1 MOTUL AUTECH GT-R/NISMO)のコメント:

「次生さんのスティントで何がどうだったのか詳しくは分かりませんが、そこで遅れてしまって、あとはただ走るだけのレースになってしまいました。それでも、ドライバーもチームも諦めることなく走り続けました。だから、ノーポイントになってもおかしくない状況でしたが7番手でゴールできて、それは最悪の結果じゃなかったわけですけど......それでもやっぱり悔しいレースになってしまいました。

ウェットからドライへと変わっていったレースで、それぞれのコンディションに対して十分な合わせ込みができませんでした。今日のレースでは僕たちのパッケージングのウィークポイントが出たので、これをそのままにしていると次のレースでも勝てません。何とか解決して次の菅生に臨みたいですね」

  

  

MICHELIN_2015_SUPER GT_05_Suzuka_race_22.jpg日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明のコメント:

「スタート時の雨の量は天気予報より多かったのですが、1号車(No.1 MOTUL AUTECH GT-R)のロニーはそれでもうまくコントロールしてくれて、そして雨量が減ったときにどんどん上がっていきました。松田選手に替わった後にコースアウトして1周近くロスし、そこで勝負権がなくなってしまったのは残念でした。46号車(No.46 S Road MOLA GT-R)も、本山選手のドライビング中に2度もぶつけられてポジションを下げてしまいました。今回はタイヤのパフォーマンスだけではない部分が結果に影響した長丁場のレースでした。それでも6位と7位で終えたわけですから、最低限のダメージコントロールはできたかなと思っています。

タイヤの評価としては、コンディションが目まぐるしく変わっていった中で、それぞれのコンディションに対して適切なタイヤチョイスができたとは思います。しかしながら十分とは言えず、少し課題が残っているかなと考えています」