【レースレポート】

2015年11月15日

逆転成る! MOTUL AUTECH GT-Rが2年連続シリーズ制覇を達成! ミシュランタイヤ装着車がこの5年で4度目のGT500チャンピオンを獲得!

2015年SUPER GTシリーズ第8戦(最終戦) MOTEGI GT 250km RACE 決勝レース

  • ■11月15日(日)
  • ■ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡):全長4.801379km
  • ■入場者数:予選日 17,000人/決勝日 33,000人(主催者発表)

  
GT500クラスのチャンピオン決定戦となったSUPER GT最終戦の決勝レースが開催され、12番手グリッドからのスタートであったNo.1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は、ミシュランタイヤの高いパフォーマンスに支えられたふたりのドライバーの力走とNISMOチームの優れたピットワークによって大幅なポジションアップに成功し、2位でのフィニッシュを果たしました。

  
この結果、松田/クインタレッリのコンビはドライバー選手権においてランキング2位からの逆転を果たし、2年連続でのシリーズチャンピオン獲得を成し遂げました。また、チーム選手権においてもNISMOチームがチャンピオンに輝きました。そして、これまでの5シーズンのうち実に4シーズンにおいてミシュランタイヤ装着車が世界屈指のタイヤ競争が繰り広げられているSUPER GTの最高峰クラスを制することになりました。

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なお、やはりチャンピオン獲得の可能性を残して今大会に臨んでいたNo.46 S Road MOLA GT-R(本山 哲/柳田真孝)はレース中盤に周回遅れのGT300車両の追突を受けて無念のリタイアとなりました。

  

  

【決勝レース】 250km=4.801379km×53周

[天候:曇り/コース:ウェット→ドライ/気温:20℃/路面温度:19℃(レーススタート時)]

  

前日の公式予選はウェットコンディションのもとで行われましたが、一夜明けて迎えた決勝日も朝方から雨がち。午前9時から行われた30分間のフリー走行もウェットセッションとなりました。しかし雨は昼前には上がり、午後に向けて天候は回復傾向にあると思われました。

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ところが、気まぐれな空は決勝レースのスタートまで30分を切った段階で再び雨を降らせました。その雨は10分間ほどでやみましたが、スリックタイヤでの走行が困難なほどにコースを濡らすには十分でした。出場各車はスターティンググリッド上でレインタイヤを装着。ただし、スタート前のローリングラップが始まる頃には雲の切れ目から青空が顔をのぞかせるほどになっていました。

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No.1 MOTUL AUTECH GT-R

第1スティント:ロニー・クインタレッリ→第2スティント:松田次生/2位(53周)

  

優勝を飾った前戦オートポリスに続いてNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rはロニー・クインタレッリに第1スティントを任せました。10台を超える前走車が巻き上げる水煙を浴びる12番手グリッドからのスタートでしたが、きっちりダッシュを決めるとオープニングラップのうちに2つポジションアップ。2周目にはNo.39 レクサスRC Fの後退を受けて9位へと浮上していきました。

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このとき、ドライバー選手権でNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rを2ポイント先行しランキングトップのNo.12 日産GT-R GT500はスターティンググリッドと同じ5番手の位置につけていました。このライバル車両に追いつくために、クインタレッリはNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rを全力でプッシュしていきました。そして6周目にはNo.24 日産GT-R GT500、8周目にはNo.19 レクサスRC Fをオーバーテイク。10周目には前を走っていたNo.36 レクサスRC Fがトラブルに見舞われたことから、No.1 MOTUL AUTECH GT-Rは6位にポジションを上げました。

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これでNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rの前を走るのはNo.12 日産GT-R GT500となりました。すでに15秒近いギャップが横たわっていましたが、クインタレッリはコース上のレコードラインが乾きゆく中でレインタイヤを持たせるタイヤマネージメントを行いながらその上で全力プッシュを続けます。そのペースは上位車両各車より確実に速く、No.1 MOTUL AUTECH GT-Rは5位を走るNo.12 日産GT-R GT500との差を確実に削り取っていきました。

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レコードライン以外のコース上は湿ったままの状態で、周回遅れのGT300車両をかわしていくときには普段以上のリスクが伴う状況でした。それでも、レースが折り返しを迎えるよりかなり前の段階からピットストップを行ってスリックタイヤに換装する車両が続出します。そして23周目終了時にはNo.12 日産GT-R GT500もピットへ。するとNISMOチームもクインタレッリにピットインの指示を出し、24周目を終えたところでNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rはピットに滑り込みました。

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今度はNISMOチームのスタッフが素晴らしい仕事ぶりを見せつける番でした。給油、レインタイヤからスリックタイヤへの交換、そしてクインタレッリから松田次生へのドライバー交替という一連の作業を、ライバルチームを大幅に上回る33秒という短時間で済ませます。そしてNo.1 MOTUL AUTECH GT-RはピットでNo.12 日産GT-R GT500をかわすことに成功。実質的には2位につけて第2スティントを戦い始めることになったのでした。

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ただし、ピットアウトしたNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rの背後にはすぐにNo.100 ホンダNSX-CONCEPT GTとNo.12 日産GT-R GT500が迫ってきました。先にピット作業を済ませていた2台のタイヤはすでに温まっており、ピットアウト直後のNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rは苦しい状況に置かれましたが、松田は果敢かつ巧みなドライビングを見せてこの2台の猛攻を抑え続けます。

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するとここでもう一台のミシュランタイヤ装着車であるNo.46 S Road MOLA GT-Rが周回遅れにしたGT300車両からの追突を受けてクラッシュ。その処理のためにセーフティカーが導入され、コース全域が追い越し禁止になります。これでNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rは背後に迫ってきたライバル2台を完全に後方に従える状態に持ち込むことができたのでした。

  

レースを続けていたGT500クラスの全車がピットストップを済ませた段階で、トップにはNo.37 レクサスRC Fが立ち、2位にはNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rがつけていました。そして31周目を終えたところでセーフティカーがコースから退いてレースが再開されると、その直後の第1コーナーでNo.37 レクサスRC Fがアウトにはらみ、相手のミスを見逃さなかった松田がすかさず前へ。これでNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rがついにトップに立つことになりました。

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レース後半に入ってもレコードライン以外のコース上は湿り気を帯び、そのうえタイヤカスなどによって汚れて非常に滑りやすい状態でした。その中で、次々に現れる周回遅れの車両を処理しながらNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rは力走を続けました。ただし、背後につけるNo.37 レクサスRC Fはチャンピオン争いからすでに脱落しており、ある意味、失うものは何もないという立場。それだけに同車のチャージは激しいものがありました。

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そして43周目、松田が周回遅れのGT300車両の処理に慎重を期した際にNo.37 レクサスRC Fが前に出ます。しかし、No.1 MOTUL AUTECH GT-Rにとってそれは大きな問題ではなく、その後もNo.12 日産GT-R GT500の前でフィニッシュするという唯一最大のミッションの達成を目指して走り続けました。

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もちろん、チャンピオン獲得を諦めるつもりはないNo.12 日産GT-R GT500も、その前を走るNo.100 ホンダNSX-CONCEPT GTも、最後まで全力でプッシュし続けてきました。しかし、No.1 MOTUL AUTECH GT-Rをドライブする松田もまた全力を尽したドライビングで後続の2台の追撃を抑え切りました。そしてチームスタッフがピットウォールから身を乗り出させながら出迎える中を2位でフィニッシュ。チャンピオン争いにおける直接のライバルであったNo.12 日産GT-R GT500は4位に終わり、シーズンを通じてNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rをドライブした松田次生/ロニー・クインタレッリのコンビが2年連続でGT500クラスのチャンピオンに輝きました。

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なお、ミシュランタイヤ装着車によるGT500クラス制覇は、2011年のS Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)、2012年のS Road REITO MOLA GT-R(柳田/クインタレッリ)、2014年のMOTUL AUTECH GT-R(松田次生/クインタレッリ)に続く4度目。ブリヂストン、横浜ゴム、ダンロップ、そしてミシュランという4社の間で世界屈指のタイヤ競争が繰り広げられているSUPER GTの最高峰クラスにおいて、ミシュランはこの5シーズンのうちの4シーズンにおいて王者の栄冠を手にすることになりました。

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No.46 S Road MOLA GT-R

第1スティント:柳田真孝→第2スティント:本山 哲/リタイア(25周)

  

前戦のオートポリスに続いてNo.46 S Road MOLA GT-Rの第1スティントを担当したのは柳田真孝でした。13番手グリッドからのスタートでしたが、最初の2周で3つ順位を上げることに成功。その後は、ひとつ前のポジションにつけるNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rに続くように走り続けました。

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しかし、レコードライン上が乾いていくとNo.46 S Road MOLA GT-Rのペースが鈍り、5周目には2つポジションを落としてしまいます。

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何らかのトラブルを抱えたNo.46 S Road MOLA GT-Rはその後もペースを上げていくことが難しく、11番手前後を走り続けたすえに19周目を終えたところで早めのピットストップを実施。車両への対策を施すとともに、スリックタイヤへの交換をライバルより早く行うことで巻き返しを図ろうとしました。

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ところが本山 哲が乗り込んで戦列に復帰してから7周後、No.46 S Road MOLA GT-Rは追い抜いたGT300車両に追突されてクラッシュ。車両後部が大破して走行不能状態となり、同車は最終戦にして今季初のリタイアを喫することになりました。

  

この結果、本山 哲/柳田真孝のコンビはドライバーズランキング6位、そしてMOLAチームもチームランキング6位で今シーズンを終了しました。

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MICHELIN_2015_SUPER GT_08_Motegi_race_21.jpgロニー・クインタレッリ (No.1 MOTUL AUTECH GT-R/NISMO)のコメント:

「スターティンググリッドに並んでいるときに軽い雨が降って、全車がウェットタイヤでスタートすることになりましたが、私たちにとってはラッキーでした。正直言ってスタートする前はタイヤ選択にものすごく悩んでいたのですが、結果的にはベストなタイヤを選択したことになり、レースの前半を優位に戦うことができました。雨の量が少ないときのミシュランタイヤのパフォーマンスは本当に素晴らしくて、自分でもそれを信じていましたが、今日のスタート直前の雨は本当に恵みの雨になってくれました。おかげでフルプッシュできて、レースの戦略的にも楽になりました。チームのピット作業も素晴らしかったし、ツギオさんの粘り強い走りも素晴らしかったですね」

  

  

MICHELIN_2015_SUPER GT_08_Motegi_race_22.jpg松田次生 (No.1 MOTUL AUTECH GT-R/NISMO)のコメント:

「この結果を出すことができた一番の要因は、ロニーがレース前半で頑張ってくれたこと、そしてルーティンのピットワークでチームが素晴らしい仕事をしてくれたことだと思います。ドライバー交替やピット作業はシーズン中ずっと練習してきたことだし、チームのあの頑張りがあったから僕もアウトラップで踏ん張れました。タイヤを素早く温めることができたのも大きかったですね。僕のスティントでもタイヤのパフォーマンスは十分でしたが、それでも乾いたラインは1本しかなく、バックマーカーが登場するたびにヒヤヒヤさせられました。精神的にはとてもタフなレースになりましたが、王者らしい、良いレースができたと思います」

  

  

MICHELIN_2015_SUPER GT_08_Motegi_race_23.jpg柳田真孝 (No.46 S Road MOLA GT-R/MOLA)のコメント:

「エンジンなのか駆動系なのか、正確なところは分かりませんが、振動や異音が出てきて、パワーも少しダウンしたような感じでした。それでペースを上げることができず、ポジションも落とさざるを得なくなりました。でも、タイヤのパフォーマンスに関してはまったく問題ありませんでした。

これでシーズンが終わってしまいましたが、今年1年間で課題になったことをひとつひとつ解決していって、来シーズンもまた良いパフォーマンスでレースを戦えるようにしたいです」

  

  

MICHELIN_2015_SUPER GT_08_Motegi_race_24.jpg本山 哲 (No.46 S Road MOLA GT-R/MOLA)のコメント:

「ルーティンのピットストップが良いタイミングで、ピットアウトしてからはスムーズにタイヤをウォームアップすることができました。路面も次第に乾いてきていたし、タイヤが温まってからはどんどんペースを上げることができました。でも、2コーナーを立ち上がってGT300クラスの周回遅れをかわした直後にリアに突っ込まれてしまいました。もう少し気をつけてほしいなと思いましたが、それも含めてSUPER GTのレースですから......。

今年は速さを見せることができました。ポールポジションも獲ったし、優勝もできました。シリーズ6位に終わったのは悔しいところもありますが、でも良いシーズンになったと思っています」

  

  

MICHELIN_2015_SUPER GT_08_Motegi_race_25.jpg日本ミシュランタイヤ(株) モータースポーツマネージャー 小田島広明のコメント:

「昨日の予選はノーマルのレインタイヤを使用しましたが、今日は乾きかけの路面向けのレインタイヤ、いわゆる『ドライングタイヤ』を2台とも選択してスタートし、その後、1号車(No.1 MOTUL AUTECH GT-R)がミディアム、46号車(No.46 S Road MOLA GT-R)がソフトのスリックタイヤに換えました。

昨日の予選は持ち込んだタイヤの性能的な狭間に入るようなコンディションであったために後方のポジションとなってしまいましたが、今日のレースでは乾きかけの路面でのスタートで、我々のドライングタイヤが機能するコンディションに十分当てはまり、チャンスはあると期待していました。荒れるレースになってアクシデントが起こることも懸念していましたが、それもなく良かったです。

46号車は、あのポジションからタイトルを狙うには勝つしかないので、早めにスリックに換えるという判断をし、我々もチームにそう提案しました。またその結果、先にタイヤを交換した46号車のタイムの推移から、1号車のタイヤ交換タイミングをより高い精度で予測することが可能になります。図らずも、ミシュラン装着車の間でのチームプレーとなったわけです。46号車のタイムはすぐに上がり、作戦としては非常に良かったと思いますし、あのまま行けばジャンプアップできたと思いますが、レーシングアクシデントは仕方ないところです。

1号車は、ロニーがスティントの序盤で12号車(No.12 日産GT-R GT500)を射程に入れるところまで行ったのと、後半スティントで松田選手がピットアウトした後にセーフティカーが入ったことが幸いしました。その後、トップに立ったものの、最後は2位でゴールしました。37号車(No.37 レクサスRC F)がかなりアグレッシブな運転をしていたので、無理に勝負を仕掛けることをせず、あのポジションで十分結果が残せるということで、ドライバーが冷静に判断したと思います。

今シーズン、開発としてうまくいったところと課題として残る部分がありました。タイヤは十分良かったものの別な理由で取りこぼしたこともありましたし、今回の予選のようにタイヤとして課題のある部分もありました。1年間を振り返ると、我々がサポートしている2チームがともに最終戦までチャンピオン候補として残ったことは、開発が順調に行っていることの証だと思いますし、最終的に2年連続でチャンピオンを獲れたのは何よりでした」

  

  

MICHELIN_2015_SUPER GT_08_Motegi_race_26.jpgミシュラン・グループ コンペティションディレクター パスカル・クアノンのコメント:

「SUPER GTはタイヤに関して技術的に非常に難しいシリーズです。4つのタイヤメーカーが参加してしのぎを削っている世界でも希少なモータースポーツシリーズなのです。これは素晴らしいことで、だからこそ我々ミシュランは参加しているのです。このようなシリーズで勝つことは並大抵のことではありません。非常にレベルの高いSUPER GTはミシュランにとって"研究室のための研究室"のようなシリーズだとも言えます。ここで学んだことを後に生かすことができるからです。これからもミシュランはSUPER GTに参加し続けたいと考えています。

今日は素晴らしい結果を得ることができ、私自身、その現場に立ち合うことができて光栄でした」