【Basics】

2014年6月16日

15%ナローなタイヤで同等以上の性能を──ミシュラン最新LMP1用エンデュランスレーシングタイヤの挑戦

 

2014年、ミシュランは12種類もの耐久レース用タイヤを新たに開発し投入しました。その中でも、技術規則に大幅な変更が行われたトップカテゴリーのLMP1クラス用のタイヤは、新規定によって従来のものより約15%もナローなものになりましたが、その細くなったタイヤを履いたトヨタTS040ハイブリッドは第82回ル・マン24時間の公式予選において中嶋一貴のドライビングによって従来の予選ラップレコードを大幅に更新するタイムを叩き出してポールポジションを獲得。車両の性能やドライバーの技量の高さとともに、ミシュランの高度な技術力が高らかに示される結果となりました。

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今年から耐久レースのトップカテゴリーであるLMP1クラスは、自動車メーカーのワークスチームを対象としたLMP1-H(Hybrid)クラスとプライベートチームを対象としたLMP1-L(Light)クラスに分けて争われることになりました。そしてLMP1-Hクラスの車両はエネルギー回生システムの搭載が義務づけられ、エンジンの違いなどによる車両間の性能差が大きくならないように調整する規定が細かく設けられました。

また、タイヤに関しても規定サイズの変更があり、タイヤをホイールに組み込んだいわゆる“コンプリートホイール”の状態で、昨年までは16インチであった最大幅が14インチへと細くされ、最大径も28.5インチから28インチへと縮小されました。つまり、そのままであればタイヤのパフォーマンスは自ずと低下してしまう条件となったわけです。

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※写真はWEC開幕戦シルバーストーン

 

しかしながらミシュランは、約15%も幅が細くなったタイヤで従来品と同等以上の性能を発揮させるという極めてチャレンジングな目標を設定し、技術開発に取り組みました。その結果が今年のWEC(FIA世界耐久選手権)およびその一戦である第82回ル・マン24時間に投入しているLMP1クラス用ミシュラン・エンデュランスレーシングタイヤです。従来のLMP1クラス用タイヤは、フロントが幅36cm/外径71cm/内径18インチ、リアが幅37cm/外径71cm/内径18インチでしたが、今年の同クラスのタイヤはフロント、リアともに同サイズで幅31cm/外径71cm/内径18インチに。つまり、フロントで5cm、リアで6cmも細くなっています。

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※写真はWEC第2戦スパ

 

それにもかかわらず、6月12日(木)に行われたル・マン24時間の3回目の公式予選において、中嶋一貴が乗り込んだNo.7 トヨタTS040ハイブリッドは3分21秒789という新しい予選ラップレコードを叩き出しました。しかも、ル・マン24時間サーキットは昨年から今年にかけて、走行スピードをいくらかでも下げることを目的としたコース改修が行われているのです。ハンデとなるいくつもの条件を跳ね返し、高度な技術力を結果で証明するというミシュランの飽くなき挑戦の成果が、ひとつ明解な数値となって現れたのが今回のル・マン24時間におけるポールポジションタイムでした。

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なお、エンデュランスレーシングタイヤのラインアップにはミシュランを象徴する特徴的なタイヤがあります。それがLMP1クラス用の「ハイブリッド・レーシングタイヤ」です。見た目はドライコンディション用のスリックタイヤとまったく変わりませんが、このハイブリッド・レーシングタイヤはドライからハーフウェット、そして完全に雨で濡れてしまった路面コンディションまでカバーしてしまう恐るべきレーシングタイヤなのです。

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ドライ用スリックタイヤ(写真左)とハイブリッド・レーシングタイヤ(写真右)。一目瞭然で見分けられるようにするため、ハイブリッド・レーシングタイヤでは「MICHELIN Total Performance」ロゴの地色を白にしています

 

 

先のWEC開幕戦シルバーストーン6時間でこのハイブリッド・レーシングタイヤはその威力を見せつけています。レース前半でサーキットが降雨に見舞われた際、ハイブリッド・レーシングタイヤを履いたNo.8 トヨタTS040ハイブリッドは、レインタイヤを履いていたNo.7 トヨタTS040ハイブリッドより1周につき約5秒、そしてスリックタイヤを履いていたNo.2 アウディR18 e-tronクワトロに対しては1周につき約20秒も速いラップタイムを刻んでいました。このときハイブリッド・レーシングタイヤを適時に履いたことが、No.8 トヨタTS040ハイブリッドがこのレースを制する原動力となったのです。

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※写真はWEC開幕戦シルバーストーン

 

ミシュラン独自のハイブリッド・レーシングタイヤは、1周が13.629kmもあり、コースの一部では雨が降っているものの、他の区間ではドライコンディション、という状況がしばしば発生するル・マン24時間を一番のターゲットとして開発されたもの。ミシュランがあらゆる商品開発のテーマに掲げている「ミシュラン・トータル・パフォーマンス」コンセプトの象徴とも言えるタイヤです。

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※写真はWEC第2戦スパ

 

なお、今回のル・マン24時間においてミシュランは約8000本のタイヤを用意し、約100人のスタッフを擁して、決勝レース出場54台のうち42台のミシュラン・パートナーチーム車両を全力でサポートしています。

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