【2015】

2015年6月 2日

ル・マン・テストデーはポルシェ勢が1-2! 日産新型LMP1が公式セッションに初登場!

2015年WEC(FIA世界耐久選手権)第3戦 ル・マン24時間「テストデー」

■5月31日(日)

■ル・マン24時間サーキット(フランス):全長13.629km

  

決勝レースを2週間後に控えた5月31日(日)、ル・マン24時間の公式テストである「テストデー」が開催されました。降雨の影響によりドライコンディションにおける走行時間は限られましたが、その中でブレンドン・ハートレーのアタックによって昨年のポールポジションタイムを大きく上回る3分21秒061を記録したポルシェ・チームのNo.17 ポルシェ 919ハイブリッド(T.ベルンハルト/M.ウェバー/B.ハートレー/F.マコヴィッキィ)がトップに。2番手タイムも僚友車のNo.18 ポルシェ 919ハイブリッド(R.デュマ/N.ジャニ/M.リーブ/F.マコヴィッキィ)がマークしました。また、このル・マンで実戦デビューを飾る日産の前輪駆動LMP1マシン、日産GT-R LMニスモが公式な走行セッションに今回初めて登場し注目を集めました。

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■総エントリー台数:64台

・LMP1クラス:14台(ミシュランタイヤ装着車:全車)

・LMP2クラス:21台(ミシュランタイヤ装着車:4台)

・LMP3クラス:2台(ミシュランタイヤ装着車:全車)

・LMGTE Proクラス:9台(ミシュランタイヤ装着車:全車)

・LMGTE Amクラス:18台(ミシュランタイヤ装着車:17台)

  

「テストデー」は全エントラントに参加が義務付けられているものではありませんが、結果的には今年のル・マン24時間に出場するすべてのエントラントが参加しました。1周13.629kmのル・マン24時間サーキットはその約3分の2が一般公道であることからレースウィーク以外に走行することはできず、このテストデーがル・マン24時間と同じコースにおいて行える唯一のテストとなるからです。

  

トップカテゴリーであるLMP1クラスの参加台数は、WEC(FIA世界耐久選手権)の開幕戦シルバーストン6時間では7台でしたが、今回のテストデーでは14台を数えました。

WECの通常のシリーズ戦には2台体制で出場しているアウディ・スポーツ・チーム・ヨーストとポルシェ・チームは、ともにル・マンには3台体制で出場します。特にポルシェは、通常のシリーズ戦では2台を同じカラーリングで走らせていますが、ル・マンでは特別に3台の919ハイブリッドのカラーをすべて異ならせるという趣向で臨みます。

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また、今度のル・マン24時間が初の実戦となる日産GT-R LMニスモが今回のテストデーにおいて初めて公の舞台に登場。同車はプロトタイプカーカテゴリーにおける唯一の前輪駆動車であり、どういった走りを見せるのか注目されました。

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なお、新型車両やル・マン24時間への出場経験のないチームやドライバーにはこのテストデーへの参加が義務づけられており、特に初出場となるドライバーと2010年大会以降の出場者リストに名前のないドライバーはシミュレーターを用いたテストプログラムとこのテストデーにおける10周以上の走行を行わなければならないことになっています。

  

今回のテストデーは午前9時〜午後1時と午後2時〜午後6時の4時間ずつのセッションを2回、計8時間のテスト走行を一日でこなす忙しいスケジュールのもとで実施されました。しかも、午前のセッション1では開始から1時間半が経過したあたりでコースの一部に雨が落ち始め、やがて雨はコース全域に広がって、以後はウェットコンディションでの走行となりました。また、午後のセッション2は雨上がりのウェット路面で始まりましたが、それがどんどん乾いていって一時は完全なドライコンディションに。しかし、その後再び雨が降るという不安定な天候の一日となりました。

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おかげで、ミシュランタイヤを使用するパートナーチームの各車は、ドライコンディションにおけるスリックタイヤ、ハーフウェットコンディションにおけるスリックタイヤや溝のないミシュラン独自のハイブリッド・インターミディエイトタイヤ、そしてフルウェットコンディションにおけるレインタイヤといった様々なコンディションのテストを行うことができました。

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そうした中、総合のトップタイムを記録したのはポルシェ・チームのNo.17 ポルシェ 919ハイブリッドを駆るブレンドン・ハートレーでした。雨上がりのセッション2のドライコンディションのもとでタイムアタックを行い、昨年大会の予選で中嶋一貴がトヨタ TS040ハイブリッドによって記録したポールポジションタイム3分21秒789を大きく上回る3分21秒061を叩き出しました。

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総合2位のタイムを刻んできたのもポルシェ・チームのNo.18 ポルシェ 919ハイブリッドでした。ニール・ジャニがセッション1で雨が降り出す前に自己ベストの3分21秒946をマーク。WEC開幕2戦連続でフロントロウを独占してきているポルシェ勢の速さが改めて印象づけられる結果となりました。

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この2台のポルシェ 919ハイブリッドに続いたのは、先のWEC第2戦スパ・フランコルシャン6時間と第3戦ル・マン24時間の2戦のみの出場となるNo.9 アウディ R18 e-tronクワトロで、マルコ・ボナノーミが3分22秒307という自己ベストタイムを刻みました。同様に出番はスパとル・マンのみの予定のNo.19 ポルシェ 919ハイブリッドがニック・タンディのドライブで4番手タイムをマーク。これにアウディ・スポーツ・チーム・ヨーストのレギュラードライバーたちが駆るNo.7とNo.8のアウディ R18 e-tronクワトロが続きました。

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WECの通常のシリーズ戦と同じく2台体制でのル・マン参戦となるトヨタGAZOOレーシングは、No.1 トヨタ TS040ハイブリッドが7番手タイム、No.2 トヨタ TS040ハイブリッドが8番手タイムを記録するにとどまりました。

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ただしトヨタ陣営には、No.1 トヨタ TS040ハイブリッドのレギュラードライバーである中嶋一貴のル・マン出場へのゴーサインが得られたという大きな収穫がありました。

中嶋はWEC第2戦スパ6時間のフリープラクティスにおいてハイスピードクラッシュに見舞われ、腰椎を圧迫骨折。ル・マンへの出場は絶望的との見方が支配的でした。しかしながら彼は驚異的な回復を果たし、テストデーに元気な姿を現すと、走行前日に行われたメディカルチェックに合格。そしてセッション1が始まると早速マシンに乗り込んで自らのコンディションを確認し、セッション2ではNo.1 トヨタ TS040ハイブリッドの自己ベストタイムをマーク。ル・マン本番を十分戦える状態にあることを証明しました。

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トヨタは、中嶋をはじめとするレギュラードライバーが何らかの理由によってレースに出場できなくなった場合に備えて、昨年までF1を戦ってきた小林可夢偉をリザーブドライバーとして起用することとし、今回のテストデーには小林も招聘してNo.1 トヨタ TS040ハイブリッドで6周の走行を行わせました。なお、彼は2013年にAFコルセのフェラーリF458イタリアでル・マン24時間に出場していますが、LMP1車両で1周13.629kmのル・マン24時間サーキットを走ったのは今回が初めてのことでした。

  

日産GT-R LMニスモも今回が初めての公式セッションへの出走でした。V型6気筒3ℓツインターボガソリンエンジンとMGU(モーター・ジェネレーター・ユニット)の双方の出力を前輪に作用させるという意欲的なデザインの日産のLMP1マシンは、ル・マン本戦と同様に3台登場しました。

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ただし、ミハエル・クルムが乗るNo.22 日産GT-R LMニスモはセッション1の開始から1時間ほどでコース上でストップ。車両が組み上げられたばかりのNo.21 日産GT-R LMニスモはセッション1開始から1時間半が経ったところでようやくコースインを果たし、車両各部の機能チェックに徹する、といった具合でした。

  

3台の日産勢のベストタイムはNo.23 日産GT-R LMニスモをドライブするオリヴィエ・プラがマークした3分43秒383と格下のLMP2車両6台にも遅れを取るものでした。ただし最高速度は高く、セッション1とセッション2の双方において最速の336km/hをマーク。つまり、コーナリングがまだまだであることを示したとも言えますが、非常に野心的なデザインの同車はまだ走り出したばかりの段階であり、今後の進化が期待されるところです。

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LMGTE Proクラスは3メーカーのマシンがトップ3を分け合い、トップから8位までが3秒以内にひしめく結果となりました。

トップタイムを記録したのはアストンマーチン・レーシングのNo.97 アストンマーチン・ヴァンテージV8でしたが、約0.1秒差でコルベット・レーシングのNo.64 シボレー・コルベットC7.Rが続き、約0.5秒とやや水を開けられながらもAFコルセのNo.51 フェラーリ F458イタリアが続くというオーダー。WECで激しいつばぜり合いを繰り広げているアストンマーチン・レーシングとAFコルセに、WECにはシリーズ参戦していないもののル・マンでは何度も勝利を重ねてきたコルベット・レーシングが挑みかかるという構図が浮き彫りになりました。

  

なお、今回のテストデーでは耐久レースの新カテゴリーであるLMP3クラスの枠組が特別に設けられていました。LMP3クラスは耐久レースの入門カテゴリーとしてACOがヨーロッパとアジアのル・マン・シリーズのために昨年創設したもので、規定により全車が日産のV型8気筒5ℓ自然吸気ガソリンエンジンを使用。タイヤもワンメイクで、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズではミシュランが使用されています。

このLMP3クラスの車両はル・マン24時間への出場は認められていないものの、このテストデーには特別に2台のジネッタ・日産が参加。LMGTE車両と同等のペースでの走行を披露していました。

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ジェローム・モンダン(ミシュラン 耐久レースプログラムマネージャー)のコメント:

「雨の影響でドライコンディションにおいてこなしたかったテストプログラムのすべてを行うわけにはいきませんでしたが、今シーズンのWECシリーズの開幕時から果たしてきた私たちのミシュランタイヤの進化を確認することはできました。また、私たちが専用開発したタイヤを使用する日産GT-R LMニスモが今回ル・マンで初めて走行し、いろいろな発見やアイデアを得ることもできました。ドライコンディションで各車がどこまでタイヤを使い込んでいけるのかといったところはレースウィークに入ってもフリープラクティスや予選セッションなどを通してさらなる検証を進めていくことになりますが、今回のテストデーではウェットコンディションでふんだんに走ることができ、一時的なものであっても降雨がほぼ毎年のようにあるル・マンに向けて様々な有益なデータを得ることができたと評価しています」

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テストデー セッション1&セッション2総合結果

■LMP1クラス
1. No.17 ポルシェ 919ハイブリッド(T.ベルンハルト/M.ウェバー/B.ハートレー/F.マコヴィッキィ)  3'21.061
2. No.18 ポルシェ 919ハイブリッド(R.デュマ/N.ジャニ/M.リーブ/F.マコヴィッキィ)  3'21.945
3. No.9 アウディ R18 e-tronクワトロ(P.アルブケルケ/M.ボナノーミ/R.ラスト)  3'22.307
4. No.19 ポルシェ 919ハイブリッド(N.ヒュルケンベルグ/E.バンバー/N.タンディ/F.マコヴィッキィ)  3'22.322
5. No.7 アウディ R18 e-tronクワトロ(M.ファスラー/A.ロッテラー/B.トレルイエ)  3'22.556
6. No.8 アウディ R18 e-tronクワトロ(L.ディ・グラッシ/L.デュバル/O.ジャービス)  3'23.002
7. No.1 トヨタ TS040ハイブリッド(A.デビッドソン/S.ブエミ/中嶋一貴/小林可夢偉)  3'25.321
8. No.2 トヨタ TS040ハイブリッド(A.ブルツ/S.サラザン/M.コンウェイ)  3'26.929
■LMP2クラス
1. No.34 リジェ JS P2・HPD(C.カミング/L.ヴァントゥール)  3'41.919
2. No.36 アルピーヌA450b・日産(N.パンチアティチ/P.シャタン/V.カピレール)  3'42.273
3. No.48 オレカ03R・日産(K.チャンドック/M.パターソン/N.ベルソン)  3'42.405
■LMGTE Proクラス
1. No.97 アストンマーチン・ヴァンテージV8(D.ターナー/S.ミュッケ/R.ベル)  3'58.069
2. No.64 シボレー・コルベット C7.R(O.ギャビン/T.ミルナー/J.テイラー)  3'58.162
3. No.51 フェラーリ 458イタリア(G.ブルーニ/T.ヴィランダー/G.フィジケラ)  3'58.616
4. No.92 ポルシェ 911 RSR(P.ピレ/F.マコヴィッキィ/W.ヘンツラ―/S.ミュラー)  3'59.043
5. No.71 フェラーリ 458イタリア(D.リゴン/J.カラード/O.ベレッタ)  3'59.420
6. No.91 ポルシェ 911 RSR(R.リーツ/M.クリステンセン/J.ベルグマイスター/S.ミュラー)  4'00.272
■LMGTE Amクラス
1. No.98 アストンマーチン・ヴァンテージV8(P.ダラ・ラナ/P.ラミー/M.ラウダ)  3'59.338
2. No.61 フェラーリ 458イタリア(P.マン/R.ジャンマリア/M.クレッソーニ)  4'00.677
3. No.86 ポルシェ 911 RSR(M.ウェインライト/A.キャロル/P.キーン)  4'01.208