【2015】

2015年6月 6日

ル・マン24時間とは?

名実ともに世界最高の耐久レースであるル・マン24時間。その起源は、いまから100年近くも前に主催者であるACO(Automobile Club de l'Ouest=西部自動車クラブ)が市販車の耐久性を競う24時間レースを企画したことにあり、1923年に第1回大会が行われました。以来、1936年のフランス自動車業界のストライキと1940年から48年までの第二次世界大戦の影響によって中止された以外は毎年開催されており、今年で83回目を迎えます。

MICHELIN_2015_Endurance_Le Mans_Basics_whats-LM_01.jpg※写真は2014年大会

  

ホストタウンであるル・マン市はフランス西部の都市で、サルト県の県庁所在地でもあります。ル・マン24時間は、毎年1月1日から数えて24回目の週末に行われるのが慣例となっていましたが、ここ数年は様々な理由から1週移動させたタイミングでの開催となることが多くなっています。常に時代の先端を行くレーシングカーが覇を競っており、1993年からは現在のようにプロトタイプカーとGTカーの混走でレースが行われています。

MICHELIN_2015_Endurance_Le Mans_Basics_whats-LM_02.jpg※写真は2014年大会

  

開催サーキットの正式名称はその名も「ル・マン24時間サーキット」といいます。ただし、地域名に由来する「サルト・サーキット」という通称の方がよく知られているかもしれません。いずれにせよこのサーキットは常設のものではなく、ル・マン24時間のときだけ作り出される特別なものです。コースは1周が13.629kmありますが(※1923年の第1回大会時は1周17.262kmでした)、その約3分の2はル・マン市内の公道を使用し、走行セッションが行われるときだけ一般交通を一時閉鎖してコースとされるのです。一方、ピットやパドックなどの施設は常設コースであるブガッティ・サーキットのものを使用します。

MICHELIN_2015_Endurance_Le Mans_Basics_whats-LM_03.jpg※写真は2015年テストデー

MICHELIN_2015_Endurance_Le Mans_Basics_whats-LM_04.jpg※写真は2014年大会

  

「ル・マン24時間サーキット」の名物のひとつは「ユノディエール」という名の全長が約6kmにもなるストレートです。1990年に2つのシケインが設けられて三分割されたものの、それでも約2kmの直線区間に3回立て続けに挑んでいくというコース設定であり、車両の高速性能が特に問われるサーキットであることは間違いありません。ちなみに、シケインが設けられる前のユノディエール・ストレートでは、1988年にミシュランタイヤを装着するWMプジョーが405km/hの最高速度を記録しています。

  

この世界一の伝統とステータスを誇る耐久レースには、世界中から出場申請が殺到します。ただし、それが受理されるかどうかはACOの選考委員会の決定次第です。参加が認められる台数に対してエントリー数が3倍を超えることもあり、今はテストデーとして位置づけられている事前走行が、本番のレースウィークに臨めるエントラントだけに絞り込むための予備予選として行われていた時期もありました。

MICHELIN_2015_Endurance_Le Mans_Basics_whats-LM_05.jpg※写真は2015年テストデー

  

ル・マン24時間は、世界の4輪モータースポーツを統括するFIA(国際自動車連盟)による直接のコントロールを受けず、主催者であるACOが自らの意志のもとで統括・運営するという独立性の高いレースであるという点で非常にユニークな存在です。その影響力は大きく、2012年にスタートしたWEC(FIA世界耐久選手権)はFIAが統括するレースシリーズですが、技術規則はル・マンのものを適用して開催されています。そして、ル・マン24時間は第3戦としてWECシリーズに組み込まれています。また、同じくル・マンの技術規則を適用したシリーズ戦としてアメリカン・ル・マン・シリーズ、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、アジアン・ル・マン・シリーズが開催されています。

  

ACOはル・マン24時間を「自動車メーカーが新しい技術を試す場であるべき」とうたっています。1968年大会におけるガスタービンエンジン搭載のホーメットTXの参戦などはその一例です。

近年の例を見ても、世界の4輪モータースポーツの中でもディーゼルエンジン搭載車が総合優勝を争うレースの先駆けとなったのがル・マン24時間でした。そして2011年からは、トップカテゴリーであるLMP1クラスの技術規則に内燃機関と電気モーターを組み合わせたハイブリッドパワーユニット技術に関連する条項が盛り込まれるようになり、今年LMP1クラスに出場するトヨタ、アウディ、ポルシェ、日産の4つの自動車メーカーのワークスチームのすべての車両がハイブリッドマシンとなっています。

MICHELIN_2015_Endurance_Le Mans_Basics_whats-LM_06.jpg※写真は2015年テストデー

  

なお、昨年大会を終えた時点でル・マン24時間において最も多く総合優勝を獲得してきた自動車メーカーは通算16勝のポルシェで、これに13勝のアウディ、9勝のフェラーリと続きます。最多優勝ドライバーはデンマーク出身で2014年大会をもって引退したトム・クリステンセンで、これまでに9度の優勝を遂げています。24時間で最も長い距離を走ったのは1971年大会で優勝したポルシェ917(H.マルコ/G.V.レネップ)で、396周=5335.313kmを走破しました。1990年に2つのシケインがユノディエール・ストレートに設けられたこともあって、40年を経た今もこの記録は破られることなく最長記録であり続けています。

MICHELIN_2015_Endurance_Le Mans_Basics_whats-LM_07.jpg最多勝記録更新に挑むポルシェ 919ハイブリッド(写真は2015年テストデー)

  

MICHELIN_2015_Endurance_Le Mans_Basics_whats-LM_08.jpg通算9回の総合優勝を飾り、2014年大会をもって引退したトム・クリステンセン(写真は2014年大会)