【2015】

2015年10月12日

WEC富士4年目のウィナーはマーク・ウェバー組のNo.17 ポルシェ 919ハイブリッド! ポルシェワークスが31年ぶりに富士での耐久レースを制す!

2015WECFIA世界耐久選手権)第6戦 富士6時間 決勝レース

■10月11日(日)

■富士スピードウェイ(静岡県駿東郡):全長4.563km

  

4年目の開催となったWEC富士6時間の決勝レースが行われ、ウェットからハーフウェット、そしてドライへと路面コンディションが転じていく中での難しいレースとなりましたが、優勝はポルシェ・チームのNo.17 ポルシェ 919ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト/マーク・ウェバー/ブレンドン・ハートレー)がさらい、チームメイトのNo.18 ポルシェ 919ハイブリッド(ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ)が2位に。ポルシェワークスが31年ぶりに富士スピードウェイでの国際格式の耐久レースで総合優勝を飾ると同時に、今シーズン3度目の1-2フィニッシュを果たす結果となりました。

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今大会の総出場台数は31台。このうち、トップカテゴリーであるLMP1クラスの全車(9台)とGTカテゴリーの全車(LMGTE Proクラス7台、LMGTE Amクラス7台)の計23台がミシュランタイヤを使用。ミシュランは計2300本のタイヤを富士スピードウェイに持ち込んで各パートナーチームの戦いを支えました。

なお、6時間の決勝レースにおいて各車が使用できるタイヤは、プロトタイプカテゴリー、GTカテゴリーともに6セット=24本まででした。

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【決勝レース】

[10月11日(日)/コース:ウェット〜ドライ/気温:16℃/路面温度:18℃(レーススタート時)]

  

予報どおりWEC富士の決勝日は雨天の中で迎えることになりました。午前11時の決勝レーススタート時の天候も雨で、コース上にはかなりの水量がある状態。そこでレースはセーフティカーがレーシングカーの隊列を先導したままの状態で開始され、結局セーフティカーによる先導走行は40分近くにわたって続くことになりました。

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セーフティカーがピットロードへと退き、ドッグファイトが解禁となったのは18周目のことでした。すると、フロントロウを占めていた2台のポルシェ 919ハイブリッドはそろってダッシュに失敗。2台のアウディ R18 e-tronクワトロが先行し、これに2台のトヨタ TS040ハイブリッドが続き、2台のポルシェは5位&6位に順位を落とした状態で事実上のオープニングラップを終えました。

  

ただし、ポルシェ勢はすぐに目の前のトヨタ勢に襲いかかっていきました。事実上のスタートから2周後には、4位を走行していたNo.2 トヨタ TS040ハイブリッドが2台のポルシェ 919ハイブリッドに立て続けにかわされます。もっとも、No.18 ポルシェ 919ハイブリッドはNo.2 トヨタを抜きにかかったところでスピンを喫し、相手に接触してこれを巻き添えに。両車に大きなダメージがなかったのは幸いでした。

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その後、このレースで最も見応えある攻防が、中嶋一貴がステアリングを握るNo.1 トヨタ TS040ハイブリッドとマーク・ウェバーが乗るNo.17 ポルシェ 919ハイブリッドとの間で繰り広げられました。23周目に入るメインストレートでNo.17 ポルシェがNo.1 トヨタをパス。しかし、複合の第1〜2コーナーに続く左90度コーナーで中嶋はウェバーのインを奪って抜き返します。ところが中嶋はここでややアウトにはらみ、それを見逃さなかったウェバーが再び先行しました。

そしてヘアピンを抜け、高速の300Rを全開で抜けてタイトなダンロップコーナーへ。ここでのハードブレーキングを制したのは中嶋でした。彼が乗るNo.1 トヨタは目下2連勝中のNo.17 ポルシェを相手にポジションを落とすことなく24周目に入るストレートを駆け抜け、日本のレースファンから大いなる喝采を浴びました。

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しかしながら、No.1 トヨタ TS040ハイブリッドがスピードに勝るポルシェ勢をその先も抑え込み続けることはできませんでした。先のブレーキング競争でNo.17 ポルシェ 919ハイブリッドがラインを乱して失速した間にチームメイトのNo.18 ポルシェ 919ハイブリッドが前に出ていましたが、そのNo.18 ポルシェが25周目のメインストレートでNo.1 トヨタをパス。やがてNo.17 ポルシェもNo.1 トヨタをかわしていきました。

  

一方、セーフティカー退去後からトップに立ったNo.7 アウディ R18 e-tronクワトロはマルセル・ファスラーの力強いドライビングによって約15秒のリードを築き上げていました。これを追うのはオリバー・ジャービスが乗る僚友車のNo.8 アウディ R18 e-tronクワトロでしたが、こちらはフロントウィンドーが曇る問題に悩まされ、思うようにペースを上げることができずにいました。

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そんなNo.8 アウディ R18 e-tronクワトロの背後にポルシェ勢が急速に接近してきました。そして36周目、No.17 ポルシェ 919ハイブリッドがNo.8 アウディをかわして2位に浮上。その4周後、No.8 アウディがLMP1クラスワークス車両の先陣を切ってピットへ向かいます。そしてLMP1ハイブリッド各車が1回目のピットストップを終えてみると、トップには引き続きNo.7 アウディ R18 e-tronクワトロが立ち、2位にNo.18 ポルシェ、3位にNo.17 ポルシェ、4位にNo.8 アウディというオーダーとなっていました。

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アウディは今回、大幅なパフォーマンスアップを果たしたR18 e-tronクワトロを引っさげてこの富士スピードウェイに乗り込んでいました。実際、No.7 アウディはスタートから2時間が経過した時点でも依然としてポルシェ勢を抑えてトップを走行していました。しかし、このときの富士スピードウェイは、雨はほぼ止み、コース上の水量は減る一方の状況でした。

  

やがて、パワーに勝るポルシェ勢がじりじりと差を詰めにかかってきました。そして72周目に入るメインストレートでNo.18 ポルシェ 919ハイブリッドがNo.7 アウディ R18 e-tronクワトロをパス、ついにトップへと浮上していきました。

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ほどなくしてLMP1ハイブリッド各車は2回目のルーティンストップのタイミングを迎えました。ここでほとんどの車両が、トレッド面にグルーブ(溝)がないもののある程度のウェットコンディションにも対応してしまう「ミシュラン・ハイブリッド」を装着。もっとも、アンドレ・ロッテラーに交替したNo.7 アウディ R18 e-tronクワトロだけは「低温用ソフト」のスリックタイヤを投入するという賭けに出てきました。

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路面がそのまま乾いていく一方であればアウディ陣営の選択は「吉」と出たかもしれませんが、実際にはその先もまだ小雨が降ったり止んだりを繰り返し、路面がスリックタイヤの使用に適した状態になるのはまだ先のことでした。アウディ陣営は数周でNo.7 アウディ R18 e-tronクワトロをピットに呼び戻し、「ミシュラン・ハイブリッド」につけ替えるという苦渋の決断をせざるを得ず、ここでのロスタイムでNo.7 アウディは勝負権を逸する結果となってしまいました。

  

そのNo.7 アウディ R18 e-tronクワトロをNo.17 ポルシェ 919ハイブリッドがかわして2位に上がったのは108周目のことでした。これでポルシェの1-2態勢となりましたが、トップを走るNo.18 ポルシェ 919ハイブリッドはフルコースコーションが出た際にルーティンのピットストップのタイミングを迎えたのに対して、No.17 ポルシェはまだコースがレースモードの状態でピットに入らなければならなかったことから、両車の間にはいつの間にか1分を超えるギャップが生まれていました。

  

やがて小雨がパラつくこともなくなり、富士スピードウェイのコースは低温のもとでも車両が走行するライン上は確実に乾いていく状況となってきました。自ずとラップタイムも上がっていき、やがて何台もの車両が昨年の予選タイムと同等かそれ以上のラップタイムを刻んできました。ただし、レースが最後の1時間に突入しても、2台のポルシェ 919ハイブリッドが1分近いギャップをはさみながら1-2態勢で走行し続ける状況に変わりはありませんでした。

  

ところが、レースもフィニッシュまで残り20分強というところで、トップを走るNo.18 ポルシェ 919ハイブリッドにドライブスルーペナルティの裁定が下ります。これはレース中盤に黄旗区間で追い越しを行っていたことに対するものでした。

  

もっとも、このペナルティを消化しても、No.18 ポルシェは2位を走るNo.17 ポルシェ 919ハイブリッドに対して30秒を超えるリードを持っていました。No.18 ポルシェの優勝は確実な状況でしたが、ここで同車は大きくペースダウン。そしてフィニッシュまで残り5分を切ったところでポジションが入れ替わり、No.17 ポルシェが第4戦ニュルブルクリンク6時間、第5戦サーキット・オブ・ジ・アメリカズ6時間、そして今回の富士6時間と3戦連続でファーストチェッカーを受ける結果となりました。

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なお、富士スピードウェイで開催された国際格式の耐久レースにおいてポルシェワークスが勝利を挙げたのは、1984年のWEC in JAPANをシュテファン・ベロフ/デレク・ベルのコンビがポルシェ 959で制して以来、31年ぶりのことでした。

  

前を行く2台のポルシェ 919ハイブリッドがフィニッシュ間際に順位を入れ替えた後、3位を走行していたNo.8 アウディ R18 e-tronクワトロが突如ピットロードへ向かいました。そしてこの間にチームメイトのNo.7 アウディ R18 e-tronクワトロが前に出て、3位でフィニッシュ。その直後にNo.8 アウディが4位でチェッカーを受けました。

  

この結果、今大会で優勝を飾ったNo.17 ポルシェ 919ハイブリッドのティモ・ベルンハルト/マーク・ウェバー/ブレンドン・ハートレーのトリオはLMPカテゴリーのドライバー選手権ランキングでトップに立つことになりましたが、No.7 アウディ R18 e-tronクワトロのマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエのトリオもわずか1ポイント差で食い下がる格好に。今シーズンのWECは第7戦上海6時間と最終戦バーレーン6時間の2戦をまだ残しており、最後まで予断を許さない戦いが続くものと見込まれます。

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過去3大会の母国ラウンドを制してきたときとはまったく状況が異なる今シーズンのトヨタですが、レース前半はウェットコンディションで推移したこともあって、今大会では第3戦ル・マン24時間以降ではベストと言える善戦を見せました。アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴のトリオがドライブしたNo.1 トヨタ TS040ハイブリッドは、レース途中にピットロード入口のホワイトラインをまたいでしまったことによるドライブスルーペナルティを受けながらも、4位のNo.8 アウディ R18 e-tronクワトロと結果的には同一周回で走り切り、5位でのフィニッシュを果たしました。

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GTカテゴリーの上位クラスであるLMGTE Proクラスは、AFコルセの2台のフェラーリF458イタリアがまずレースを引っ張りましたが、予選は4位に終わっていたポルシェ・チーム・マンタイのNo.91 ポルシェ 911 RSRが次第にポジションを上げていき、スタートから1時間18分というところでNo.71 フェラーリ F458イタリアをかわしてトップに立ちました。

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しかし、No.91 ポルシェ 911 RSRのリードは長く続かず、やがて昨年のFIA世界耐久GTドライバーカップチャンピオンであるジャンマリア・ブルーニ/トニ・ヴィランダーのNo.51 フェラーリ F458イタリアがトップに。同車はヴィランダーの手によりスタートからの3スティントをタイヤ交換なしに同じセットのレインタイヤで走り続け、フルコースコーションが訪れたのを機にブルーニに交替しタイヤもスリックに履き替えるという戦略を見事に的中させ、最終的には後続に1周以上の大差を築き上げることに成功。開幕戦シルバーストーン6時間以来となる今季2勝目をマークしました。

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LMGTE Proクラスの2位の座はレースの最終盤に激しく争われました。フィニッシュまで残り10分というところで、ジェームズ・カラードがドライブするNo.71 フェラーリ F458イタリアにパトリック・ピレが乗るNo.92 ポルシェ 911 RSRが追いつき、サイドbyサイドのドッグファイトを展開。そして前に出たNo.92 ポルシェが1.7秒差でNo.71 フェラーリを下し、ピレとフレデリック・マコヴィッキィのコンビが今季4回目となる2位に食い込みました。

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GTカテゴリーの下位クラスであるLMGTE Amクラスは、アメリカのテレビドラマ『グレイズ・アナトミー』などへの出演で知られるアメリカの人気俳優パトリック・デンプシーがチームオーナー兼ドライバーを務めるデンプシー‐プロトン・レーシングのNo.77 ポルシェ 911 RSRがWECシリーズ初優勝を飾りました。スタートドライバーはデンプシーが務め、続いてステアリングを握ったマルコ・シーフリートが次々にポジションを上げてトップを奪取。最終スティントでは再びデンプシーが乗り込み、キャリアを通じて初めてとなる世界選手権レースのファーストチェッカーを受けました。

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決勝レース結果(各クラストップ6/トップ3

■LMP1クラス

  1. No.17 ポルシェ 919ハイブリッド(T.ベルンハルト/M.ウェバー/B.ハートレー) 216周
  2. No.18 ポルシェ 919ハイブリッド(R.デュマ/N.ジャニ/M.リーブ) +0'14.306
  3. No.7 アウディ R18 e-tronクワトロ(M.ファスラー/A.ロッテラー/B.トレルイエ) - 1周
  4. No.8 アウディ R18 e-tronクワトロ(L.ディ・グラッシ/L.デュバル/O.ジャービス) - 2周
  5. No.1 トヨタ TS040ハイブリッド(A.デビッドソン/S.ブエミ/中嶋一貴) - 2周
  6. No.2 トヨタ TS040ハイブリッド(A.ブルツ/S.サラザン/M.コンウェイ) - 13周

■LMP2クラス

  1. No.26 リジェ JS P2・日産(R.ルシノフ/J.カナル/S.バード) 198周
  2. No.36 アルピーヌ A450b・日産(N.パンシアティシ/P.L.シャタン/V.カピレール) +0'32.372
  3. No.28 リジェ JS P2・日産(G.ヤカマン/L.F.デラニ/R.ゴンザレス) - 1周

■LMGTE Proクラス

  1. No.51 フェラーリ F458イタリア(G.ブルーニ/T.ヴィランダー) 193周
  2. No.92 ポルシェ 911 RSR(P.ピレ/F.マコヴィッキィ) - 1周
  3. No.71 フェラーリ F458イタリア(D.リゴン/J.カラード) - 1周
  4. No.91 ポルシェ 911 RSR(R.リーツ/M.クリステンセン) - 1周
  5. No.95 アストンマーチン・ヴァンテージV8(C.ニガード/M.ソレンセン) - 2周
  6. No.97 アストンマーチン・ヴァンテージV8(D.ターナー/J.アダム) - 3周

■LMGTE Amクラス

  1. No.77 ポルシェ 911 RSR(P.デンプシー/P.ロング/M.シーフリート) 187周
  2. No.98 アストンマーチン・ヴァンテージV8(P.ダラ・ラナ/P.ラミー/M.ラウダ) +0'17.210
  3. No.83 フェラーリ F458イタリア(F.ペロード/E.コラール/R.アグアス) - 1周