【第1戦 ラリー・モンテカルロ: レポート】

2014年1月20日

新王者オジェ強し。圧巻の逆転劇で開幕戦モンテカルロを制す

今年で通算82回目の開催となった伝統のラリー・モンテカルロは、デイ1の前半で大きな遅れを取ったところから一気に巻き返してみせた前年王者のセバスチャン・オジェ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)が優勝。2位には非ワークス参戦のブライアン・ブフィエ(フォード・フィエスタRS WRC)、3位にはシトロエンワークスから今年初めてWRCフル参戦を果たすことになったクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)が入りました。

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このラリー・モンテカルロのスペシャルステージ(SS)の路面は基本的にはアスファルト舗装ですが、ひとつのステージの中でも様々なコンディションの路面が出現するのが常。そこで、このラリーではトップカテゴリーのワールドラリーカーは4種類のタイヤを使うことができる特別規則が設けられ(通常のグラベルラリー/アスファルトラリーでは2種類まで)、ミシュランはパートナーチームのワールドラリーカー各車に対して下記の4種類のタイヤを合計82本ずつ用意。その中から各クルーは、ステージ構成や天気予報などを考慮して立てた各々のタイヤ戦略に基づき、今大会中に使用可能な40本のタイヤを事前に選び出してラリー本番に臨みました。

 

[ラリー・モンテカルロ専用スノータイヤ]
■ミシュラン・パイロットアルペンA4(10本)
■ミシュラン・パイロットアルペンA4 スタッド付き(24本)
 (ともにサイズは18/65-18 [ISO/JIS表示215/45R18])
 
[アスファルト舗装用タイヤ]
■ミシュラン・パイロットスポーツS2(ソフトコンパウンド)(24本)
■ミシュラン・パイロットスポーツSS2(スーパーソフトコンパウンド)(24本)
 (ともにサイズは20/65-18 [ISO/JIS表示235/40R18])
 
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(写真左)ミシュラン・パイロットアルペンA4/(写真右)ミシュラン・パイロットスポーツ

 

果たして、2014年のラリー・モンテカルロはそのトリッキーな特性を最初のステージから存分に発揮してきました。各ワークスチームが契約している気象予報会社の多くが「海抜1600m以上のところまで行かなければ雪はないだろう」と予測した中、最も標高が高いところで海抜1200mであるSS1の路面は粉雪に覆われていたのです。

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この25.49kmのSS1と17.98kmのSS2、そして19.34kmのSS3という3本のステージを車両装着4本+車載スペア2本からなる計6本のタイヤでこなすラリー初日の前半は、モンテカルロ専用のスーパーソフトコンパウンド・アスファルト用タイヤ「ミシュラン・パイロットスポーツSS2」を4本履き、スタッドなしのスノータイヤ「ミシュラン・パイロットアルペンA4」2本をスペア搭載して出走するのが結果的にはベストでした。そして、ここでタイヤ選択を的中させ、素晴らしいパフォーマンスを見せたのがロバート・クビサ(フォード・フィエスタRS WRC)でした。

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昨年、彼が初めて本格的にシリーズ参戦した国際ラリーシリーズであるWRC2選手権でチャンピオンを獲得し、今年はいよいよワールドラリーカーでのWRCフル参戦へと乗り出すことになったこの元F1ドライバーは、並みいる強豪を押しのけて2014年最初のステージでトップタイムをマーク。さらに続くSS2も最速タイムで駆け抜け、その類い稀な才能をまざまざと見せつけてきました。

 

ただし、SS3ではクビサの走行時に想定外の降雪があり、彼は路面が雪に覆われた中をあくまでアスファルト舗装用タイヤである「ミシュラン・パイロットスポーツSS2」で走らざるを得ず、大きくタイムダウン。それでもデイ1は総合3位で走り切ってみせましたが、明くるデイ2の午後最初のステージでクラッシュを喫し、リタイアを余儀なくされました。

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一方、デイ1をトップで上がったのはブライアン・ブフィエ(フォード・フィエスタRS WRC)でした。Mスポーツ・フォードのサテライトチームからの出場で、当座の出場予定はこのモンテカルロかぎりのプライベーターという立場でしたが、IRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)として開催された2011年のラリー・モンテカルロのウィナーであり、昨年大会も総合5位でフィニッシュしている実力を遺憾なく発揮。デイ2に入ってもワークス勢を押さえ込んでトップを走り続けました。

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しかし、クビサがクラッシュしたデイ2の午後最初のステージでブフィエはスピンを喫して大きくタイムロスしてしまいます。そこで代わってラリーリーダーとなったのはセバスチャン・オジェでした。ディフェンディングチャンピオンはデイ1の前半でのタイヤ選択が外れ、SS3を終えた時点ではトップから1分19秒もの遅れを取っていましたが、その後は本来のパフォーマンスを発揮し続けてトップタイムを連発。それでも首位を行くブフィエとのギャップはかなりあり、捉えるのは難しそうに見えましたが、彼のスピンのおかげで一気にトップを奪うことに成功したのでした。

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なお、デイ2のコースの大半は雨交じりのウェットアスファルトで、ほとんどのクルーがスーパーソフトコンパウンド「ミシュラン・パイロットスポーツSS2」を使用。一方、モナコに拠点を移したラリー最終日のデイ3では、有名なチュリニ峠の一帯に30cmほども雪が積もっていたことから、大半のクルーが車両装着の4本をスタッド付き、そしてスペア搭載の2本をスタッドなしの「ミシュラン・パイロットアルペンA4」とするタイヤ選択で臨みました。

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デイ2半ばでトップに立って以降、オジェは昨シーズンを通じて見せた強力なパフォーマンスを再び披露し続け、着実にリードを広げていきました。そして最終的には2位に1分20秒近くの大差を築き上げてフィニッシュ。IRCとして開催された2009年大会を制しているオジェですが、WRCイベントとしてのラリー・モンテカルロでは初めてとなる勝利を手にしました。

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ラリー前半をリードしたブフィエは、最終的にオジェには大差をつけられたものの、プライベーターとしては殊勲の2位に。3位はシトロエンワークスのレギュラーシートを得てキャリア初のWRCフル参戦に乗り出したクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)が獲得。ワールドラリーカーで初めて出場したモンテカルロでの表彰台登壇を果たしました。

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なお、このラリー・モンテカルロで約10年ぶりとなるWRC復帰を果たしたヒュンダイワークスは2台ともにラリー初日でリタイアを喫するという結果となりました。ただし、シトロエンから移籍したダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)は、適切なタイヤ選択と豊富な経験を駆使した素晴らしいドライビングによってSS4終了時点で総合2位を走行するという見事なパフォーマンスを披露。続くSS5で電気系トラブルに見舞われてリタイアに追い込まれてしまいましたが、今後の戦いに期待を大いに抱かせる初陣となりました。

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2014年WRC(FIA世界ラリー選手権)第1戦ラリー・モンテカルロ
スタート:1月16日(木)/フィニッシュ:1月18日(土)
スペシャルステージ:全15カ所=計383.88km/総走行距離:1396.76km
ステージ路面:アスファルト舗装あるいは雪・氷
[最終結果]
1.              セバスチャン・オジェ(フランス)                       フォルクスワーゲン・ポロR WRC
2.              ブライアン・ブフィエ(フランス)                       フォード・フィエスタRS WRC
3.              クリス・ミーク(イギリス)                                 シトロエンDS3 WRC
4.              マッズ・オストベルグ(ノルウェー)                   シトロエンDS3 WRC
5.              ヤリ‐マティ・ラトバラ(フィンランド)            フォルクスワーゲン・ポロR WRC
6.              エルフィン・エバンス(イギリス)                       フォード・フィエスタRS WRC
7.              アンドレアス・ミケルセン(ノルウェー)            フォルクスワーゲン・ポロR WRC
8.              ヤロスラブ・メリカレク(スロバキア)                フォード・フィエスタRS WRC
9.              マッテオ・ガンバ(イタリア)                              プジョー207 S2000
10.            ユーリー・プロタソフ(ウクライナ)                   フォード・フィエスタR5