【第9戦 ラリー・ドイツ: レポート】

2014年8月25日

波乱の展開を経てティエリー・ヌービル&ヒュンダイがWRC初優勝を飾る!

 

今シーズンのWRCで初の全面舗装路イベントとして開催された第9戦ラリー・ドイツはヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 WRC)が制し、ヌービルはキャリアを通じて初めてのWRC優勝をマークしました。2位にはチームメイトのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)が入って、今年からWRCフル参戦に再び乗り出したばかりのヒュンダイが念願のWRC初優勝を1-2フィニッシュという最高の結果で飾りました。

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前戦までの6戦はグラベルラリーが続いたWRCですが、路面が舗装のラリーに変わってもフォルクスワーゲン・モータースポーツのダブルエースであるセバスチャン・オジェとヤリ‐マティ・ラトバラが飛び抜けた速さを見せるというこれまでの構図が変わることはありませんでした。ラリー初日のデイ1に設定された6本のステージのうちの5本を終えた段階でのラリーリーダーはオジェで、これをラトバラが5.5秒差で追撃。一方、ラトバラと後続との間にはこの時点で30秒を超える差がついていました。

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ところが、続くSS6でトップを行くオジェがコースアウトを喫し、ドライバー選手権における圧倒的なポイントリーダーがあっけなくリタイアとなってしまう波乱が起こりました。オジェは一定基準を満たせば翌日からの競技への再参加を認めるラリー2規定に基づいてデイ2最初のSS7から出走しましたが、この日2本目のSS8でまたもコースアウト。今度はガードレールを突き破る激しいクラッシュとなり、車両は安全基準をクリアできないほどに破損。クルーに大きなケガがなかったのは幸いでしたが、今季これまでに5勝を挙げてきたディフェンディングチャンピオンは散々な形でラリーを終えました。

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いずれにせよ、デイ1終盤にオジェが1回目のコースアウトを喫した時点でラリーはラトバラのトップ独走となりました。前戦ラリー・フィンランドで快心の勝利を挙げたこのフィンランド人ドライバーは、路面条件の悪さで定評のあるバウムホルダー軍事演習地内のステージ群をこなすデイ2も順調に乗り切り、後続に1分近いマージンを築き上げました。ところが、明くるデイ3最初のステージでラトバラは痛恨のコースアウトを喫し、デイ1におけるチームメイトのオジェと同じようにブドウ畑の中に突っ込むことに。キャリア初の舗装路イベントでの優勝に近づきながら痛恨のリタイアを喫しました。

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このラトバラのリタイアによって、トップにはシトロエン・レーシングのクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)が立ちました。前戦のラリー・フィンランドで素晴らしいドライビングを見せて評価を一気に高めていた彼は、グラベルほど得意ではないと見られていた舗装路でも好走。フォルクスワーゲン勢の自滅によって初優勝をつかむ可能性が俄然高まる事態となりました。ところが、ラトバラがクラッシュした次のステージでミークもクラッシュ。左後輪が車体からもぎ取られ、あえなくリタイアに追い込まれてしまいました。

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これによりトップにはティエリー・ヌービルが繰り上がりました。このベルギー人ドライバーはラリー直前の事前走行セッションであるシェイクダウンでi20 WRCを横転させるクラッシュを喫し、徹夜で修理された車両を駆ってのラリー出場となりましたが、夜通しの作業を行ってくれたメカニックたちの頑張りに応えるドライビングを続けました。そしてライバルの相次ぐ自滅を受けて、ラリーも残り2本のステージとなったところでトップに浮上し、待望のWRC初優勝を手にしました。それは韓国のヒュンダイにとっても初めてとなるWRCでの総合優勝でした。

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2位には、このラリーの前年大会でキャリア初優勝を飾っているダニエル・ソルドが入りました。彼にとってはこのラリー・ドイツにおいて通算4回目となる2位獲得でしたが、これによりヒュンダイはWRC初優勝を飾ると同時に1-2フィニッシュを決めるという最高の結果を手にしました。

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今回のラリー・ドイツは、おしなべて秋を思わせるような低めの気温のもと、不順な天候に見舞われながらの開催となりました。その中でミシュラン・パートナーチーム各車両のタイヤ戦略は微妙な違いを見せていましたが、ドライコンディションのもとで行われたデイ1ではハードコンパウンドの「ミシュラン・パイロット スポーツH2」(サイズ:20/65-18 [ISO/JIS表示235/40R18])が、雨の影響を受けた残る2日間はソフトコンパウンドの「ミシュラン・パイロット スポーツS2」(H2と同サイズ)が主に使用されました。

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なお、舗装路イベントでは今大会からヘビーウェットコンディション専用の新型アスファルト用WRC公式タイヤ「ミシュラン・パイロット スポーツFW」(サイズ:18/65-18 [ISO/JIS表示215/45R18])の使用が認められましたが、このタイヤを使うことが本当に有効となるコンディションにはならなかったことから、「パイロット スポーツFW」の真の実戦デビューはまたの機会に持ち越されました。

 

2014年WRC(FIA世界ラリー選手権)第9戦ラリー・ドイツ

スタート:8月22日(金)/フィニッシュ:8月24日(日)
スペシャルステージ:全18カ所=計326.02km/総走行距離:1305.79km
ステージ路面:アスファルト(一部コンクリート)
[最終結果]
1.              ティエリー・ヌービル(ベルギー)                       ヒュンダイi20 WRC
2.              ダニエル・ソルド(スペイン)                                ヒュンダイi20 WRC
3.              アンドレアス・ミケルセン(ノルウェー)          フォルクスワーゲン・ポロR WRC
4.              エルフィン・エバンス(イギリス)                       フォード・フィエスタRS WRC
5.              ミッコ・ヒルボネン(フィンランド)                   フォード・フィエスタRS WRC
6.              マッズ・オストベルグ(ノルウェー)                   シトロエンDS3 WRC
7.              マーチン・プロコップ(チェコ)                           フォード・フィエスタRS WRC
8.              デニス・クイパース(オランダ)                           フォード・フィエスタRS WRC
9.              ポンタス・ティドマンド(スウェーデン)(WRC2優勝)    フォード・フィエスタR5
10.           オット・タナク(エストニア)                               フォード・フィエスタR5