【2015】

2015年2月16日

最終ステージにトップ3台が4.6秒差で突入! ミケルセンが痛恨のスピンでWRC初優勝を逸し、オジェが逆転で開幕2連勝!

2015年WRC(FIA世界ラリー選手権)第2戦ラリー・スウェーデン

■スタート:2月12日(木)/フィニッシュ:2月15日(日)
■スペシャルステージ:21本(308.00km)/総走行距離:1441.57km
■ステージ路面:雪/氷

  

今シーズンのWRCで唯一の全面スノーイベントであるラリー・スウェーデンは、わずか4.6秒差の中にトップ3台がひしめきながら最終ステージを迎える激戦となりました。

そして、ラリー初日の終盤にスピンして遅れを取ったところから巻き返してきたセバスチャン・オジェ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)がこの最終ステージでトップタイムを叩き出してきた一方、ラリー中盤からトップを走りWRC初優勝に迫っていたアンドレアス・ミケルセン(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)がここで痛恨のスピンを喫して勝負あり。劇的な幕切れの結果、オジェが開幕戦ラリー・モンテカルロに続く優勝を飾り、力強い戦いを見せ続けたティエリー・ヌービル(ヒュンダイ i20 WRC)が6.4秒差の2位に。最終ステージでのスピン後は観客の手助けを受けて再スタートしたミケルセンは3位でのフィニッシュという結果となりました。

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ラリーは序盤からセバスチャン・オジェ、ヤリ‐マティ・ラトバラ、アンドレアス・ミケルセンのフォルクスワーゲン勢が速さを見せ、その中でもフランス人ドライバーのオジェが北欧出身のチームメイトふたりを抑えてラリーをリードしました。

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ところが、SS6においてオジェの車両のワイパーに不具合が発生。スノーラリーでは使用頻度が特に高い装備であり、ステージ後のリエゾン(移動区間)でオジェは自力での修理を試みましたが果たせませんでした。しかも、ボンネットピンを留めないままに再び走り出してしまったことからボンネットが風圧で勢いよく開き、それに叩かれた衝撃でフロントウィンドーにクラックを入れてしまうことに。そして、視界が十分にクリアではない状態で走行しなければならなかったSS9でオジェはコースアウトを喫して約30秒をロス。かくして、2月13日(金)のデイ1を終えた時点でのディフェンディングチャンピオンはトップから24.7秒遅れの4位へと後退していました。

  

また、昨年大会のウィナーであるラトバラもチームメイトと同じくSS9でコースからはみ出してしまいました。彼の状況はオジェよりはるかに悪く、雪溜まりに完全にスタック。観客の助けを受けて再スタートを切ることはできましたが、ラトバラはここで約8分30秒も失ってしまい、ラリー・スウェーデン2年連続優勝の可能性は早々に消滅してしまいました。

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かくして、ふたりのチームメイトのアクシデントに押し出されるような格好でミケルセンがトップに立ちました。しかしながら、彼も明くる2月14日(土)デイ2のSS12では軽いコースアウトを、そしてSS14ではスピンを喫してタイムロスを重ね、その間に3ステージ連続でトップタイムを刻んできたオジェが急速に追い上げてきました。ところが、デイ2の午後に入ると1番手走者の彼にはことさら不利な路面状況が待ち受けていて、オジェはまたも後退を余儀なくされたのでした。

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一方、このデイ2でひときわ印象的な戦いぶりを見せたのがヒュンダイのティエリー・ヌービルでした。他のワークスチームのワールドラリーカー各車は軽さによるパフォーマンスを優先し、搭載するスペアタイヤを1本だけにして臨んでいましたが、ヒュンダイ勢だけはスペアタイヤ2本積みで出走。デイ2は、1995年のWRCチャンピオンであるコリン・マクレーの名を冠した名物ジャンピングスポット「コリンズ・クレスト」が待ち受けている「Vargåsen」がその最後に来る4本のスペシャルステージのループを午前と午後に2回こなす設定でしたが、ヌービルはどちらのループにおいてもフロントタイヤをスペア搭載してきた新品タイヤに履き替えて「Vargåsen」にアタックしました。この戦略は的中し、ヌービルはデイ2をスタートした時点でミケルセンとの間にあった20秒近い差を見事に削り取って一躍トップに。同じタイヤを使いながらも戦略の違いによって結果が大きく異なってくることの好事例となりました。

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なお、「Vargåsen」2走目のSS18における「コリンズ・クレスト」でヌービルは、このジャンピングスポットにおける歴代最長の飛距離となる44mのビッグジャンプを披露。同所で最も見応えのあるジャンプを披露したクルーに贈られる「コリンズ・クレスト賞」を文句なしで獲得しました。

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そしてラリーは、トップにヌービル、1.5秒差の2位にミケルセン、さらに8.1秒差の3位にオジェというオーダーで最終日のデイ3を迎えました。この日は合計しても50kmに満たない距離しかない3本のスペシャルステージがあるのみでしたが、そのすべてで順位が変動するスペクタクルな争いが繰り広げられました。

  

まず、この日1本目のSS19をスタートしてすぐにヌービルがインターコムのトラブルに見舞われます。コ・ドライバーが読み上げるペースノートの情報を十分に聞き取れない状態での走行を強いられたヌービルは2位に後退し、ミケルセンがトップを奪い返しました。

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続くSS20もヌービルは同じ状態で走らねばならず、そんな彼をオジェがかわして2位に浮上します。トップには変わらずミケルセンが立っていましたが、その3.0秒後方にオジェが迫り、さらに1.6秒差でヌービル。ここまで290km以上のスペシャルステージをこなしてきたところでトップ3台が4.6秒というわずかな差の中にひしめくという緊迫した状況で15.87kmの最終ステージを迎えることになったのです。

  

ここでラリー・スウェーデンの主催者は特別規則を出し、先のSS20を終えた時点での総合成績のトップ3は3位→2位→1位の順でSS21をスタートさせることとしました。したがって、まずはヌービルが走行し、続いてオジェがアタック。彼が記録したステージタイムはヌービルのそれを4.8秒上回り、この時点でヌービルの優勝の可能性はなくなりました。

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そしてミケルセンがスタート。中間計測地点まではオジェと互角のタイムで走行し、ミケルセンのWRC初優勝が濃厚な気配となりました。

ところが、ステージの後半で彼は痛恨のコースアウトを喫してしまいます。再スタートを切ることはできましたが、約40秒をここで失って万事休す。劇的な展開によりオジェが最終ステージでの逆転を果たして優勝し、ヌービルが2位に。ミケルセンは手にしかけていたWRC初優勝を逃して3位に終わりました。

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今回のラリー・スウェーデンでワールドラリーカーが使用できたタイヤにはコンパウンドの違いがなく、各車が真に1種類のタイヤで競技を行うWRC全13戦の中で唯一のイベントでした。そしてミシュランはワークスチームが出場させたワールドラリーカー全車にスタッドタイヤ「ミシュラン Xアイス ノース3」(サイズ:195/65R15)を供給しました。

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この「ミシュラン Xアイス ノース3」は昨年のラリー・スウェーデンで使用された「Xアイス ノース2」の改良版です。最も大きな性能向上ポイントはグリップレベルで、それを実現するためにより鋭く雪面を捉える設計としました。具体的には、トレッド面におけるグルーブ(溝)に対するトレッドブロックの面積比率をわずかですが落とし、各トレッドブロックを少し細くしました。これにより、グルーブに詰まる雪の排出性をより良くし、それと同時に計384本打ち込まれた金属製スタッド(鋲)を雪面に食い込ませる圧力を高めました。また、1本の長さが20mm、突き出し量6.5mm、重さ4gというスタッドの諸元はそのままに、その先端形状をよりシャープにしました。

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ただし、そのままであれば、細くなったことによってトレッドブロックの剛性が下がり、それによってスタッドを食い込ませる力がむしろ落ちてしまい、そのうえスタッドを保持する性能も低下してしまうところです。そこでミシュランはこの「Xアイス ノース3」に新しいコンパウンドを採用し、従来型よりも高いトレッドブロック剛性を実現させました。

  

結果、スタビリティが上がり、そしてスタッドの保持能力も高まった「ミシュラン Xアイス ノース3」は安定して高いパフォーマンスを発揮し続け、トップドライバーたちの激しいドライビングをしっかりと足元から支え抜きました。

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2015年WRC(FIA世界ラリー選手権)第2戦ラリー・スウェーデン

[最終結果]

  1. セバスチャン・オジェ(フランス) フォルクスワーゲン・ポロR WRC
  2. ティエリー・ヌービル(ベルギー) ヒュンダイ i20 WRC
  3. アンドレアス・ミケルセン(ノルウェー) フォルクスワーゲン・ポロR WRC
  4. オット・タナク(エストニア) フォード・フィエスタRS WRC
  5. ヘイデン・パッドン(ニュージーランド) ヒュンダイ i20 WRC
  6. エルフィン・エバンス(イギリス) フォード・フィエスタRS WRC
  7. クリス・ミーク(イギリス) シトロエン DS3 WRC
  8. マーチン・プロコップ(チェコ) フォード・フィエスタRS WRC
  9. ユーリー・プロタソフ(ウクライナ) フォード・フィエスタRS WRC
  10. マッズ・オストベルグ(ノルウェー) シトロエン DS3 WRC