【2015】

2015年4月27日

大荒れのアルゼンチンでシトロエンのクリス・ミークがWRC初優勝を達成!

2015年WRC(FIA世界ラリー選手権)第4戦ラリー・アルゼンチン

■スタート:4月23日(木)/フィニッシュ:4月26日(日)
■スペシャルステージ:12本(315.96km)/総走行距離:1735.56km
■ステージ路面:グラベル

  

ラリー・アルゼンチンは、ほとんどのトップドライバーが何らかのトラブルやアクシデントに見舞われる大荒れの一戦となりました。その中でシトロエン・レーシングのクリス・ミーク(シトロエン DS3 WRC)は、SS2で首位に立つとそのポジションを一度も譲ることなくラリーをフィニッシュ。歓喜のWRC初優勝を手にしました。また、2位にはマッズ・オストベルグ(シトロエン DS3 WRC)が入り、シトロエンは約3年ぶりとなる1-2フィニッシュを飾りました。

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今年のラリー・アルゼンチンはスタート前から波乱含みでした。発端は2カ月近く前に開催地域の一帯を記録的な豪雨が襲ったこと。一部では洪水を発生させたほどの大量の降雨はスペシャルステージとして使用されるグラベルロードの路面を覆っていた砂や泥を洗い流し、その下に潜んでいた無数の石や岩が露出することに。ステージコンディションは総じて荒れ気味となっていました。

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一部の区間にはぬかるんだ泥の分厚い層ができ、その後も降雨のたびに大量の水を含んで路面が一向に乾燥しない状況が続きました。特に酷い状態だったのが今大会の呼び物であった全長56.77kmものロングステージであるSS8およびSS10「San Marcos - Characato」の前半区間で、ラリーカーでもスタックしてしまいそうなほどでした。大会主催者はコースコンディション改善のための作業をぎりぎりまで続けましたが、ラリーの開催週を迎えたところで、SS8およびSS10のスタートから14km強のコースの使用を断念。これらのステージは42.50kmでの実施へと変更を余儀なくされました。

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そしてラリーは、往復で460kmを超える非常に長いリエゾン(移動区間)をこなしながらサン・ルイスの街で行われたスーパーSSで幕を開けました。ここでトップタイムを刻んできたのは開幕3戦を圧倒的な強さで制してきたセバスチャン・オジェ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)でした。ところが彼は、明くる4月24日(金)の朝一番に行われたSS2でエンジントラブルに襲われ、いきなりリタイアに追い込まれてしまいました。

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このSS2では、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ i20 WRC)とアンドレアス・ミケルセン(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)がそれぞれホイール&タイヤを岩などに当ててパンクさせていました。ヌービルは左リアタイヤで、ステージ途中ながらも停車してタイヤ交換を行い、4分を超えるタイムロスを喫しました。一方、ミケルセンの場合は右フロントタイヤでしたが、彼はステージ中でのタイヤ交換によるタイムロスを嫌ってパンクしたタイヤのままSS2を走行。しかしその判断は正しくはなかったようで、右フロントサスペンションに過度な負荷をかけることになってしまいました。ミケルセンは続くSS3は走り切りましたが、その後のサービスまでの40km強のリエゾンを走ることは諦めなければならないほどにサスペンションを破損させており、リタイアする以外に選択肢はありませんでした。

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51.99kmのロングステージであったこのSS2で一番時計を記録したのはクリス・ミークでした。それも、ハンドブレーキ(サイドブレーキ)が機能しなくなり、タイトターンで小回りが効かない状態になりながらも、2番手タイムのダニエル・ソルド(ヒュンダイ i20 WRC)を30秒以上も上回るという圧倒的なトップタイムでした。

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続くSS3でのミークは右リアタイヤを何らかの理由によってパンクさせて20秒近くタイムを失いましたが、SS2で築いた大量リードに守られて首位の座は保ちました。そしてサービスを挟んで迎えた51.99kmのSS4と19.71kmのSS5では立て続けにトップタイムをマーク。後続との差を50秒以上へと拡大することに成功しました。

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ラリーリーダーのポジションをいよいよ盤石なものにしていったように見えたミークでしたが、ラリー3日目となる4月25日(土)の朝一番のSS7ではブレーキングが遅れてコースアウトを喫してしまいます。ただし、幸いにも車両にダメージを与えることはなく、約15秒のタイムロスでコースに復帰できました。そして、その後の彼は後続とのギャップを見ながら、とにかく確実にフィニッシュを迎えることに集中しました。一時は1分10秒近くにまで広がった2位とのタイム差は最終的には18.1秒にまで縮まってしまいましたが、ミークはSS2で立った首位のポジションから一度も陥落することなくフィニッシュ。この7月には36歳を迎える遅咲きのイギリス人ドライバーが悲願のWRC初優勝を果たしました。

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なお、WRCにおけるイギリス人ドライバーの優勝は、2002年7月のサファリ・ラリーをコリン・マクレー(フォード・フォーカスRS WRC02)が制して以来のこと。そして、国際ラリーにステップアップしようとした際の若き日のミークの最大の支援者が実はマクレーでした。長年待ち望んだ栄冠を手にしたミークは感涙にむせびながら「この勝利をコリンに捧げます」と語り、2007年にヘリコプター事故により他界した1995年のWRCチャンピオンを偲びました。

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2位に入ったのはミークのチームメイトのマッズ・オストベルグでした。ゼッケン4のDS3 WRCには、オジェがリタイアを喫したSS2でエンジンが停止してしまう場面があり、オストベルグは肝を潰すことになりましたが、エンジン再始動後は問題なく走行。トラブルやアクシデントに見舞われていくドライバーが続出する中でこのノルウェー人ドライバーは着実なドライビングを続け、前戦ラリー・メキシコに続く2位表彰台を獲得しました。

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この結果、オストベルグはドライバーズポイントランキングでオジェに続く2位に浮上しました。また、シトロエンは今回、2012年8月のラリー・フィンランドでセバスチャン・ローブ&ミッコ・ヒルボネンによって決めて以来となる1-2フィニッシュを達成。そして、2004年大会以降、今大会を含めて11回開催されたラリー・アルゼンチンで通算10回目となる勝利を飾り、この国でのずば抜けた強さを改めて示す結果となりました。

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一方、フォルクスワーゲン陣営にとっては散々な一戦となりました。オジェとミケルセンが早々にリタイアを喫した中、唯一生き残っていたヤリ‐マティ・ラトバラ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)も無事にラリーを続けることはできなかったのです。SS4ではリアブレーキ、SS5ではフロントデフのトラブルが彼を直撃。それでも2位オストベルグに25.1秒差の3位でラリー最終日を迎えましたが、この日最初のステージに向かうリエゾンの途上でエンジンがストップ。これでラトバラは3戦連続でリタイアを喫することとなってしまいました。

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このラトバラのラリー終盤でのリタイアにより、3位にはMスポーツ・フォードのエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタRS WRC)が繰り上がりました。荒れたコンディションの中でミスなく走ることに徹したことが良好なリザルトにつながり、トップカテゴリーのワールドラリーカーによるWRC参戦18戦目にして初の表彰台に上りました。

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このエバンスを抑える形でラリー終盤までは4位を走っていたのがヒュンダイのダニエル・ソルドでした。今回の彼は非常に力強いパフォーマンスを見せ、SS2やSS8ではセカンドベスト、SS6ではトップタイムを叩き出していました。しかし、ラリー3日目の最後のステージであったSS10のウォータースプラッシュで電気系統にトラブルが出てしまいエンジンが停止。再始動を果たせずリタイアとなりました。

ただし、一定の基準を満たせば翌日からの競技への再参加を認める「ラリー2規定」に基づいて出走したラリー最終日の2本のステージでのソルドはトップタイムとセカンドベストを記録。今後の戦いに大きな手応えをつかみながら今大会を終えることができました。

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冒頭で記したとおり、今大会のステージコンディションは総じて荒れ気味で、特にラリー2日目の4月24日(金)のステージは角が尖った石や岩が地表から露出した区間が各所に出現する状況となっていました。そこで、このラリーではソフトコンパウンドのミシュラン LTXフォースS4が標準タイヤであるところ、金曜日に関してはミシュラン・パートナーチームの各クルーはハードコンパウンドのミシュラン LTXフォースH4を少なくとも2本携えてアタックしていきました。

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ステージ数は少なかったものの、1本あたりのステージ距離は長く、そのコースはことのほか荒れ気味とあって、いずれにせよタイヤにとっては例年以上に厳しいラリー・アルゼンチンでした。しかしながら、ミシュラン LTXフォースはドライビング中に岩に叩きつけられるなどの要因以外によるパンクやトラブルは一切出さず、高いグリップ性能を安定的に発揮し続けて、パートナーチームの戦いを力強く支えました。

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2015年WRC(FIA世界ラリー選手権)第4戦ラリー・アルゼンチン  

[最終結果]

  1. クリス・ミーク(イギリス) シトロエン DS3 WRC
  2. マッズ・オストベルグ(ノルウェー) シトロエン DS3 WRC
  3. エルフィン・エバンス(イギリス) フォード・フィエスタRS WRC
  4. マーチン・プロコップ(チェコ) フォード・フィエスタRS WRC
  5. ダニエル・ソルド(スペイン) ヒュンダイ i20 WRC
  6. カリド・アル‐カシミ(UAE) シトロエン DS3 WRC
  7. アブドゥラジズ・アル‐クワリ(カタール)(WRC2優勝) フォード・フィエスタRRC
  8. ディエゴ・ドミニク(パラグアイ)(WRC2) フォード・フィエスタR5
  9. グスタボ・サバ(パラグアイ) シュコダ・ファビアS2000
  10. フェデリコ・ヴィラグラ(アルゼンチン) フォード・フィエスタ