【2015】

2015年11月16日

セバスチャン・オジェが盤石の走りで今季8勝目をマーク! ミシュランは5年目のWRC公式タイヤ供給任務を終了

2015年WRC(FIA世界ラリー選手権)第13戦ラリー・GB

■スタート:11月13日(金)/フィニッシュ:11月15日(日)
■スペシャルステージ:19本(312.16km)/総走行距離:1458.15km
■ステージ路面:グラベル(一部アスファルト)

  

強い低気圧の影響を受けた不順な天候のもとながら、ラリー・GB(グレートブリテン)は一本のスペシャルステージもキャンセルされることなく開催され、今シーズンのチャンピオンをすでに決めているセバスチャン・オジェ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)がシリーズ最終戦も制して今季8勝目を挙げました。2位には北アイルランド出身のクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)が入り、イギリス人ドライバーが自国開催のWRCイベントで14年ぶりに表彰台登壇を果たしました。そして、シトロエンとヒュンダイが熾烈に争ったマニュファクチャラー選手権ランキング2位の座はシトロエンが手中にしました。

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11月第2週のイギリス・ウェールズ地方は例年のこの時期にも増して不順な天候に見舞われていました。ラリー初日のデイ1では雨は降らず、青空が顔をのぞかせることさえありましたが、デイ2やデイ3の天候は荒れ気味で、大雨の中で実施されたスペシャルステージが何本もありました。しかし、雨と霧と泥が付き物のこのラリー・GBはそもそも厳しいコンディションのもとで行われるのが常の一戦。今大会もことさら大きな混乱が起こることなく開催されました。

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ただし、戦いにおいてはその序盤で思いがけない事態が起こりました。このラリー・GBへの出場が今回で14回目を数え、2回の優勝経験を持つヤリ‐マティ・ラトバラ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)が、まだ2本目のスペシャルステージのスタート直後にコースアウトを喫し、あっけなく優勝争いから脱落してしまったのです。

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これにより、ラリーは序盤からセバスチャン・オジェの独壇場となりました。"チャンピオン=ポイントランキングトップ"であることから、デイ1とデイ2の各スペシャルステージを1番手で走る役割が自動的に与えられましたが、通常のグラベルラリーでは路面の掃除役となってしまうのに対して、ぬかるんだ泥と砂利から路面が形成されているこのラリー・GBではむしろきれいな状態のコースを走れることに。そうしたこともプラスに作用して、オジェはオープニングステージからトップタイムを連発。デイ1に設けられた6本のステージのうち5本を制してラリーをリードしました。

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そのオジェにただひとり食い下がったのがクリス・ミークでした。スリッパリーな濡れたグラベル路で腕を磨いてきた彼はコンスタントに好タイムを叩き出し、オジェが築くマージンを30秒以上に広げることはありませんでした。

ただし、シトロエンがマニュファクチャラー選手権ランキング2位を得るためには彼が上位でフィニッシュすることが必要であり、そのことを痛いほど自覚しているミークがリスクを冒してまでオジェに挑んでいくことはありませんでした。

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一方のオジェも、前戦のラリー・スペインでは最終ステージでクラッシュしてリタイアを喫してしまったという苦い記憶がまだ生々しく、リードをさらに広げようと無理をすることはありませんでした。そして、天候が一段と悪くなったラリー最終日のデイ3では明らかにマージンを大きく取った走りに徹しました。もちろんそれは後続とのギャップを十分に計算してペースコントロールを行ってのものであり、最終的にオジェは26.0秒のリードを保ってシーズン8勝目をマーク。今年獲得した3度目のタイトルに華を添えてシーズンを締めくくりました。

また、これによりフォルクスワーゲンは今シーズンのWRC全13戦のうち12戦で優勝を飾るという圧倒的な結果を残すことになりました。

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なお、このラリー・GBのデイ1当日にパリでテロが発生し多数の犠牲者が出たことを受け、表彰台では恒例のシャンパンファイトは行われませんでした。そして、優勝したオジェとコ・ドライバーのジュリアン・イングラシアの母国でもあるフランスの国旗が彼らの車両のフロントウィンドーにあしらわれ、悲劇の犠牲になった人々への哀悼の意が示されました。

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2位にはミークがしっかりと入りました。これで彼は、第4戦ラリー・アルゼンチンにおいて飾ったキャリア初のWRC優勝に続く今シーズンのセカンドベストとなるリザルトを手にし、2001年大会でリチャード・バーンズがスバル・インプレッサWRC2001を駆って3位に入って以来となるイギリス人ドライバーのラリー・GB表彰台登壇を果たしました(なお、バーンズはその3位入賞をもってチャンピオン獲得を決めています)。

そしてミークの2位入賞により、シトロエンはマニュファクチャラー選手権においてヒュンダイを下してランキング2位を獲得しました。

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前戦のラリー・スペインでキャリア初優勝を飾ったアンドレアス・ミケルセン(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)は、体調不良によって検査を受ける必要が出たためにラリー前の公式テストセッションである「シェイクダウン」には参加できませんでしたが、それでも優勝のオジェから遅れること36.2秒差の3位でフィニッシュ。ミケルセンはドライバー選手権のランキングにおいても、チームメイトのオジェとラトバラに続く3位となりました。

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4位にはダニエル・ソルド(ヒュンダイ i20 WRC)、5位にはヘイデン・パッドン(ヒュンダイ i20 WRC)とヒュンダイ勢が続きました。しかし、ミークが2位に入ったことにより、マニュファクチャラー選手権でヒュンダイはシトロエンに6ポイント届かずランキング3位となりました。

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いまやイギリスに拠点を置く唯一のマニュファクチャラーチームとなったMスポーツ・フォードですが、母国イベントは悲喜こもごもの一戦となりました。開催地であるウェールズ出身のエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタRS WRC)はデイ1半ばの時点で5位につけていましたが、その後タイヤをパンクさせて後退。最終的には6位まで盛り返してフィニッシュしました。また、もうひとりのドライバーであるオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)は4位と上々のポジションにつけてデイ3を迎えましたが、その日最初のステージで岩にホイールをぶつけてサスペンションを破損。完全リタイアを余儀なくされて今シーズンを終えることになりました。

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今回のラリー・GBにミシュランはグラベル用WRC公式タイヤのソフトコンパウンドである「ミシュラン LTXフォース S4」をプライマリータイヤ(主タイヤ)、ハードコンパウンドの「ミシュラン LTXフォース H4」をオプションタイヤ(別案タイヤ)として用意して臨みました。路面温度が低く、濡れた滑りやすい路面が続く各スペシャルステージのほとんどでソフトコンパウンドの「ミシュラン LTXフォース S4」が使用されましたが、期待されたとおりのグリップ性能と耐久性を発揮し、パートナーチーム各車両の戦いを力強く支えました。

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今年はミシュランがWRC公式タイヤサプライヤーとして活動した5度目のシーズンでした。WRCでは自由なタイヤ競争が認められていますが、トップカテゴリーであるワールドラリーカーを使用して参戦するすべての自動車メーカーのワークスチームがミシュランを選択して全13戦に出場しました。そしてミシュランは、セバスチャン・オジェによって通算23個目のドライバーズタイトルを、フォルクスワーゲンによって通算25個目のマニュファクチャラーズタイトルをそれぞれ獲得することができました。

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来る2016年のWRCは全14戦で争われる予定となっており、開幕戦ラリー・モンテカルロは1月22〜24日に開催されます。

  

  

2015年WRC(FIA世界ラリー選手権)第13戦ラリー・GB

[最終結果]

  1. セバスチャン・オジェ(フランス) フォルクスワーゲン・ポロR WRC
  2. クリス・ミーク(イギリス) シトロエン DS3 WRC
  3. アンドレアス・ミケルセン(ノルウェー) フォルクスワーゲン・ポロR WRC
  4. ダニエル・ソルド(スペイン) ヒュンダイ i20 WRC
  5. ヘイデン・パッドン(ニュージーランド) ヒュンダイ i20 WRC
  6. エルフィン・エバンス(イギリス) フォード・フィエスタRS WRC
  7. マッズ・オストベルグ(ノルウェー) シトロエン DS3 WRC
  8. ステファン・ルフェーブル(フランス) シトロエン DS3 WRC
  9. ロバート・クビサ(ポーランド) フォード・フィエスタRS WRC
  10. ロレンツォ・ベルテッリ(イタリア) フォード・フィエスタRS WRC

  

  

2015年WRC最終ポイントランキング

[ドライバー選手権]

  1. セバスチャン・オジェ(フランス) 263 points
  2. ヤリ‐マティ・ラトバラ(フィンランド) 183 points
  3. アンドレアス・ミケルセン(ノルウェー) 171 points
  4. マッズ・オストベルグ(ノルウェー) 116 points
  5. クリス・ミーク(イギリス) 112 points
  6. ティエリー・ヌービル(ベルギー) 90 points
  7. エルフィン・エバンス(イギリス) 89 points
  8. ダニエル・ソルド(スペイン) 87 points
  9. ヘイデン・パッドン(ニュージーランド) 84 points
  10. オット・タナク(エストニア) 63 points

[マニュファクチャラー選手権]

  1. フォルクスワーゲン 413 points
  2. シトロエン 230 points
  3. ヒュンダイ 224 points
  4. Mスポーツ・フォード 181 points